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- 初めの一歩は絵で学ぶ 生化学 からだの不思議を解き明かす
商品情報
内容
どんどん面白くなるからだの化学!
微生物学は感染症の治療のためだけでなく、医薬品の創製にもかかわる学問で、医療関係者および学生にとって「生化学」は医療従事者にとって基礎となる分野です。しかし、代謝や酵素、遺伝子の仕組みと働きは複雑で、苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。
本書では、そんな「生化学」をイラストやマンガを使ってわかりやすく解説します。左ページに解説、右ページに対応するイラストを配置し、難しい内容でもイメージを思い描きながらやさしく学ぶことができます。 医療従事者の基礎力UPはもちろん、これから医師・薬剤師・看護師・栄養士などを目指す学生の方にもおすすめの1冊です。
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序文
まえがき
21世紀は生命科学の時代である。その基礎になっているのが「生化学」である。生化学? 生物学と化学を足して2で割ったような名前。たしかに,実態もその通りで,生化学は,生物がどのように生きているかを分子(物質)レベルで答えようとする学問である。
これだから,生化学は,看護学部,医学部,薬学部,理学部,工学部などで必須科目になっている。だが,生化学の知識を必要とする人は,こういった分野の学生諸君に限らない。たとえば,医療やバイオ産業で商品開発や営業に携わる人,今後,これらの分野に進もうとする学生たちなどである。この分野でプロの職業人になろうとするなら,生化学の知識は欠かせない。では,生化学とはどんな学問なのか。かつての生物学は,植物の分類や光学顕微鏡による形態の観察が中心であったが,1953年に遺伝子DNAが二重らせん構造であることが発表されてから,状況が一変した。すなわち,生物学は,生命現象を分子レベルで追跡する学問に変身したのだ。こうして生化学が誕生した。
さらに1973年になると,酵素を用いてDNAを切ったり貼ったりする組み換えDNA 技術が発明され,バイオテクノロジー(遺伝子工学)が産うぶ声ごえをあげた。
もちろん,バイオテクノロジーは生化学の重要な分野の1つだ。では,生化学で取り扱う具体的な項目を挙げてみよう。生体分子がどんな格好をしているのか,この分子が化学反応によってどんな分子に姿を変えていくのか,化学反応を進める主役である酵素はどんなしくみで働くのか,遺伝情報はどのようにして親から子に受け継がれていくのか,栄養素はどのように体内で役立っているのか,ビタミンやミネラルはなぜ必要なのか,などである。
生化学の取り扱う範囲がとてつもなく広いことがわかる。しかも生化学は,魅力的で興味深い分野であるから,多くのすぐれた科学者を惹きつけてきた。このおかげで研究成果がどんどん発表され,アメリカの生化学の教科書は,枕ほどの分厚い書物になってしまった。学生はもちろん,大学の教師も戸惑っている。
多くの難しい化学式や化学名を暗記させられた学生は,生化学の醍醐味を知る前に嫌気がさしてしまう。一方,教師は,どうすれば学生が生化学を勉強してくれるかと苦心するが,なにしろ,取り扱う内容が多すぎる。では,どうすればいいのか。
まず,生化学の全体像を理解することが先決である。そこで本書は,生化学の全体像を理解することを目標に,生化学についてこれだけは知っておいてほしいという項目や日常生活にかかわる項目を選び,できるだけ平易に解説し,さらに理解を助けるために,マンガや図を多く用いた。マンガや図を見て意味が即座にわかり,解説を読んで理解が深まる。本書を読むことで生化学の基礎が自然に身につくしくみである。
読者の方々は,人が生きるのにこれほど精密なしくみが働いているのに驚き,生きていることが不思議な出来事であることを実感されるに違いない。そして読者が生化学の楽しさを味わっていただければ,著者として嬉しく思う。なお,本文中の人名については敬称を省略させてもらった。本書をまとめるにあたって,ビーコム社の島田栄次氏,崎山尊教氏,さし絵を担当してくださったヤマダリツコ氏,そして株式会社じほう出版局の皆さんに感謝いたします。
2013年8月
生田 哲
目次
第1章 からだの中で起きていること
1- 1 私たちのからだは食べものからつくられる
1- 2 食べものの運命を追う
1- 3 ヒトは60兆個の細胞からできている
1- 4 人体の構成成分とその働き
1- 5 私たちはエネルギーを消費して生きている
1- 6 細胞の増殖のしかた
1- 7 人体を構成するシステム
1- 8 すべての生きものは細胞からできている
1- 9 複雑な構造の真核細胞
1-10 単純な構造の原核細胞
1-11 細胞を生かす三大栄養素
1-12 糖質は脳とからだのエネルギー源
1-13 全身を1分以内にかけめぐる血液
1-14 大量の酸素を運ぶヘモグロビンの秘密
1-15 からだの中で起こっている化学反応
1-16 体内の化学反応を円滑に進める酵素
1-17 生体の「エネルギー通貨」ATPの秘密
1-18 エネルギーを表す単位“cal(カロリー)”
1-19 生体を維持する3 つの「仕事」(1)
1-20 生体を維持する3 つの「仕事」(2)
1-21 生きることの基本は電気だ!
1-22 興奮はこうして伝わる
Column おさらいしよう! 化学の基礎
第2章 からだをつくる分子たち
2- 1 食べものの消化と吸収
2- 2 主な栄養素の運命
2- 3 DNA とRNA の姿
2- 4 DNA の立体構造
2- 5 美しい二重らせん
2- 6 細胞をつくるタンパク質
2- 7 アミノ酸の性質
2- 8 タンパク質はどのようにしてできるのか?
2- 9 タンパク質の多様性は無限大
2-10 タンパク質のかたちを決定する2 つの原理
2-11 タンパク質はどんな格好をしているのか
2-12 糖質はヒトのエネルギー源だ
2-13 糖質の最小単位「単糖類」
2-14 二糖類,三糖類,オリゴ糖
2-15 糖がたくさんつながった多糖類
2-16 ブドウ糖のつながり方で米の粘り具合が決まる
2-17 脂質とは何か?
2-18 融けやすい脂肪酸と融けにくい脂肪酸
2-19 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
2-20 脂肪酸の融点の違い
Column β―カロチンのナゾ
第3章 生体の触媒
3- 1 化学反応を穏やかにする酵素の秘密
3- 2 タンパク質以外の成分を要求する酵素
3- 3 命を与える物質「ビタミン」
3- 4 ビタミン発見の歴史
3- 5 ビタミンには水溶性と脂溶性がある
3- 6 水溶性ビタミンは体内に蓄積できない
3- 7 人体の4%を構成するミネラル
3- 8 メジャー・ミネラルの働き
3- 9 侮ってはならないマイナー・ミネラルの働き
Column 酵素は6 種類に分けられる
第4章 ヒトが生きていくために
4- 1 ヒトは呼吸代謝によって生きる
4- 2 解糖系,TCA回路,電子伝達系
4- 3 酸素は有毒物質である
4- 4 酸素を使う利点は何か?
4- 5 脳は酸素不足に弱い
4- 6 体内でのビタミンの働き
4- 7 脳が食欲をコントロールする
4- 8 基礎代謝
4- 9 血液型とは
4-10 血液型はこうして決まる
4-11 血液はどのように固まるのか?
4-12 カルシウムは生命の基本だ
4-13 生体はどのようにカルシウムを利用するのか?
4-14 高齢者を襲う骨粗しょう症
4-15 骨と女性ホルモン
Column 遺伝子の欠陥を修正するビタミンとミネラル
第5章 からだの情報学
5- 1 親から子へ,細胞から細胞へ伝わる遺伝子
5- 2 遺伝子の居場所
5- 3 ゲノムとは何か?
5- 4 ヒトゲノムのごく一部分が遺伝子である
5- 5 DNA が自らのコピーをつくる「複製」
5- 6 転写のプロセス
5- 7 DNA の情報はDNA→ RNA→タンパク質と流れる
5- 8 秘密の遺伝暗号
5- 9 大腸菌からヒトまで共通の遺伝暗号表
5-10 全64種類のコドンの働き
5-11 翻訳のしくみ
5-12 原核細胞と真核細胞の転写と翻訳のしかた
5-13 RNA のスプライシング
5-14 真核細胞のタンパク質は糖鎖がついて完成
5-15 DNA にミススペリングが起こっている
5-16 ミススペリングを発生させる外的な要因
5-17 DNA のミススペリングとその修復
5-18 DNA ダメージを修復する5 つのステップ
5-19 p53が細胞の自殺を命令する
5-20 DNA を破壊する活性酸素,DNAを守る抗酸化物質
5-21 抗酸化物質が活性酸素を分解する
Column ミススペリングはがんを引き起こす
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書籍情報
- ISBN:9784840745000
- ページ数:193頁
- 書籍発行日:2013年9月
- 電子版発売日:2021年6月4日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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