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- 初めの一歩は絵で学ぶ 微生物学 細菌・ウイルス・真菌の生態と感染症
商品情報
内容
「わからない、むずかしい」を解消する、初めの一歩シリーズ第3弾!
微生物学は感染症の治療のためだけでなく、医薬品の創製にもかかわる学問で、医療関係者および学生にとって必須の知識と言えます。病原微生物の性質を理解するため、細菌・真菌・ウイルスなどの特徴や、感染・治療について、イラストを用いてわかりやすく解説。微生物学を学ぶ最初の1冊、あるいは改めて復習したい方にもおすすめです!
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序文
はじめに
約138億年前にビッグバンが起こり,地球は約46億年前に誕生した。原始生命体が誕生したのは約30~40億年前と推定されている。その後,生物は真正細菌,アーキアと真核生物(微生物では真菌)の3つの方向へ進化していった。アーキアは高温や強酸性などの過酷な環境でも適応できたが,多くの真正細菌と真菌はそのような過酷な環境では適応できなかったため,それぞれの種に応じた自然環境をみつけて今日まで生存してきている。
われわれ,ホモ・サピエンスの誕生はわずか数10万年前であるが,微生物はそこにも新しい住処をみつけた。ヒトの腸管,皮膚あるいは口腔粘膜にも微生物が存在する。そこに存在する微生物は,共生というライフスタイルを選んだのである。そしてさらに共生しないと生存できない方向へ進化した微生物もいる。その共生に成功した微生物は,宿主のエネルギー供給を利用することで,自身は生存に最低限の能力しかもたなくなった。ヒトとの平和な共生を好まずに攻撃をしかけてくる微生物や,毒素を産生して圧倒的にヒトより優位な立場をとろうとする微生物も誕生した。このような攻撃に対して,人類はワクチンと抗菌薬を手に入れることができた。
これだけ科学や医学が進歩を遂げても,世界レベルでみれば死因の第1位は感染症なのである。新たな抗菌薬が誕生してもそれに対して耐性を示す病原菌も新たに誕生する。森林の伐採により人類が新たな病原体と突然遭遇することもある。特定の地域にしか存在しなかった感染症が,交通手段の発達で世界中に広がることもある。感染症の多様化は病原体の生物進化の結果だけではなく,環境や社会的背景にも影響を受けることがある。いかなる感染症であっても,その原因は微生物という細胞である。その基礎を学ぶ学問が微生物学なのである。
本書では,初めて微生物を学ぶ人あるいは簡単にもう一度復習したい人を対象に「微生物とは?」からはじまり,「微生物の細胞構造」から「感染症の各論」と「抗菌薬」の順に編集した。特に,イラストや表に各々の項目の半分の紙面を割いている。これにより複雑な機序も容易に理解することができると信じているからである。私の講義中に,菌名を覚えるのが大変ですと訴える学生がいる。私は年を重ねるごとに人の名前はなかなか覚えられなくなったが,菌名は一度耳にするだけで,今でも簡単に覚えることができる。それは名前の由来が興味深いからである。本書では,紙面の許す限り,ところどころで微生物の学名の由来も記している。微生物名を聞いたときは,どのように名付けられたのかを想像してみるのも面白い。これも多くの人に微生物学を好きになってほしいと願う私なりの工夫である。
本書の企画を最初に株式会社じほう鹿野章氏からいただいたときは大変嬉しかった。こんなにイラストをふんだんに使える書籍はほかにはないからである。これで微生物好きの人が増えると密かに心の中で微笑んだのである。「初めの一歩は絵で学ぶ」は,これまで私が心に秘めていた想いを形にしてくれた本である。
本書をまとめるにあたっては,多くの方々にご協力をいただいた。株式会社ビーコムの島田栄次氏,イラストを担当してくださった土田菜摘氏は,私の多くの願いを寛容に受け入れてくださった。研究室のスタッフからは読者目線で貴重な意見をいただいた。そして何よりも本書の執筆の機会を与えてくださった株式会社じほう出版局の鹿野章氏,また折に触れ適切な助言をくださった南友美子氏に心から感謝の意を表したい。
2014年7月
杉田 隆
目次
第1章 微生物学序論
第2章 細菌学総論
第3章 細菌の遺伝学
第4章 感染論
第5章 細菌学各論
第6章 ウイルス学
第7章 真菌学
第8章 原虫学
第9章 化学療法
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書籍情報
- ISBN:9784840745918
- ページ数:181頁
- 書籍発行日:2014年7月
- 電子版発売日:2021年6月9日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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