抗がんエビデンスを得た生薬フアイア 各種がん・免疫疾患に科学的根拠が続々登場

  • ページ数 : 144頁
  • 書籍発行日 : 2021年7月
  • 電子版発売日 : 2021年6月18日
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商品情報

内容

2018年、英国の学術専門誌Gutに一本の論文が掲載。それは、肝臓がん手術後の患者を対象に生薬フアイアを投与した結果、投与しない群と比較して生存率と無再発率で有意差があったという内容。中国では抗がん新薬として使用される一方、免疫亢進による症状にも投与されるフアイア。この生薬由来成分を、2013年イグノーベル賞受賞医師である新見正則が各種エビデンスを元に分析。本邦医学界に一石を投じる渾身の一冊

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序文

第0章 まえがき

私はオックスフォード大学大学院で移植免疫学を学んできました。通常、臓器移植を行う時には拒絶反応が起こります。その拒絶反応を安全に抑えることができれば、これまで無力だった、臓器の機能不全による治療不可能な病気に打ち克つことができます。

この拒絶反応は、主に人間が持っている免疫システムが反応して起こります。免疫をコントロールすることが、臓器移植の大きな成功の鍵となります。


免疫と病気には深い関係があります。

免疫システムの不調を表す状態は、わかりやすく言うと免疫低下、免疫亢進、免疫混沌の3つに大きく分類することができます。免疫混沌は聞き慣れない言葉ですが、この概念を知っておくと免疫と様々な病気の関係がわかりやすくなります。

免疫が低下することで生じるがん(悪性腫瘍)や感染症、免疫が亢進(暴走)することで生じる喘息やリウマチなどの自己免疫疾患や花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患などが有名です。

さらに、一見免疫とは無関係と思えるような不妊症や精神疾患、そして心血管イベントや認知症などについても、免疫異常の関与が推測されます。現代医学的に予防や治療に限界がある領域には免疫異常が関与している可能性があります。これが免疫混沌です。


がんなどの免疫低下に対する治療薬の代表はニボルバム(商品名オプジーボ)です。ニボルバムは免疫チェックポイント阻害剤であり免疫の働きにブレーキがかからないようにする薬剤です。ニボルバムが登場するまでは西洋医学の治療薬では明らかに免疫力を上げる薬剤はなかったのですから、がん治療に使用されるこの薬剤の開発は大きな研究成果です。


次に免疫が亢進して生じる喘息などの疾患に対する治療は、免疫システム全体を下げること、つまり免疫抑制剤を使用することで症状を楽にします。その代表がステロイド剤です。

そして不妊症など原因がよくわからない症状を引き起こす、免疫混沌に対しては、免疫を中庸にすることが大切なのです。

しかし、西洋医療で免疫システムを中庸に保つ治療法は確立されておらず、これまでは睡眠、休養、栄養、運動などをコントロールし基本的な生活習慣を整えることが経験的に有用とされてきました。


しかし、それまでの考え方を覆すような医学的報告が2018年にされました。中国の研究チームから免疫疾患に効果を発揮する天然生薬であるフアイアの研究成果が発表されたのです。

フアイアとは学術名 Trametes robiniophila Murr というキノコおよび、その菌糸体から抽出した生薬成分です。2018年に発表されたこの研究内容は、「臨床で1000例規模に及ぶ肝臓がん手術後の患者さんに対しフアイアを投与し観察した結果、96週間後にフアイアを服用した群はしなかった群に比べて、無再発生存率で明らかな有意差があった」という驚くべきものでした。


免疫低下状態であるがんや感染症に対して免疫を上げる効果で高いエビデンスを獲得したフアイア。これだけでもその効果を実証した大規模臨床試験なのですが、同時に様々な疾患に対しても臨床研究がなされ、免疫亢進状態である喘息、乾癬、IgA腎症にも有効であるというデータが次々と発表されました。免疫の低下、亢進、混沌の3つの状態に同時に効果を発揮する薬剤は現在のところ西洋医薬品でもひとつも見当たらず、フアイアは免疫システムを中庸にする生薬であることが世界に認められ、免疫を専門とする医療分野で注目を集めたのです。


これまで免疫システムを中庸に安定させる西洋医薬品が開発できない中で、なぜ天然生薬であるフアイアが西洋医学でここまでの効果のエビデンスを突然獲得することになったのか。免疫を専門とする科学者の間で大きな関心が寄せられました。

その後2019年に、フアイアの免疫システムを中庸に保つメカニズムについて解明された内容が、1905年創刊の査読つきの米国生化学・分子生物学会による学術誌で、最も権威のある生化学ジャーナルのひとつである JBC(Journal of Biological Chemistry)で発表されました。フアイアに含まれる成分のひとつ、TPG-1という多糖タンパク質が発見され、それが免疫システムに作用していることがわかりました。


TPG-1は「第三の生命鎖」と呼ばれる糖鎖の一種であり、細胞間の情報伝達において不可欠なコミュニケーションの役割を果たしています。免疫システムの安定化はこの細胞間コミュニケーションにより機能していることもわかっています。TPG-1を多く含むフアイアは細胞を取り巻く糖鎖を整え、その結果様々な免疫異常の症状に効果を発揮しているのです。

フアイアが免疫異常により起こる様々な病気の治療、予防、再発予防に大きな効果を発揮していることが明らかになり、その重要な成分のひとつである糖鎖は、今後もさらなる応用、研究が期待されています。


本書では、この不思議な振る舞いをする生薬フアイアの魅力について解説してまいります。この書籍は医師だけでなく、長期に渡り病と付き合っている方に寄り添う医療従事者、その家族、そして患者さん本人にもできるだけわかりやすく書いております。本書を手に取った皆様には、フアイアの効果、成分、作用機序、そしてその可能性に魅力を感じていただき、臨床にお役立ていただきますと幸いです。


この書籍を免疫を専門としない医師や、そして患者さんにも読みやすい内容とするために、ついつい難しい論理展開となる私の文章を平たく、そしてわかりやすくするために、ライターである江川雄一さんにお手伝いをいただきました。(注)本文中に引用した研究論文(カッコ付き数字にて記載)は和訳したタイトルにて掲載しました。原題・雑誌名・発表年は巻末のエビデンス一覧にてご参照ください。

目次

第1章 免疫と病気

免疫の低下、亢進、混沌について

免疫システムの異常に対するこれまでの医療

免疫システムがよくわかる~臓器移植の例~

第2章 フアイアとは

フアイアとの出合い

フアイアとは

天然フアイアを求めて安国へ

フアイアの免疫システムへの働き

フアイアの免疫低下への働き 学術専門誌 Gutへの掲載

フアイアの免疫亢進への作用

フアイアの免疫混沌への作用

中庸に保つ作用は、あくまでも「期待できる」レベル

フアイアの安全性について

第3章 フアイア有効成分の発見~糖鎖とは~

フアイアの主要成分 TPG-1の発見

糖鎖とは

糖鎖を構成する単糖類

第4章 エビデンスレベルとは

第5章 フアイアの臨床での使用法

フアイアの副作用

フアイアQ&A

第6章 各疾患に対するフアイアの効果

疾患への働き一覧 フアイアが免疫疾患に及ぼす作用

各疾患へのエビデンス

肝臓がん

肝臓がん以外のがんに対するエビデンス

乳がん

胃がん・大腸がん

肺がん

その他のがん

腎臓病に対するエビデンス

喘息に対するエビデンス

乾癬に対するエビデンス

第7章 コンパニオン・アニマルへのフアイア療法の可能性

あとがき


付録

エビデンス&重要論文一覧

参考文献

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書籍情報

  • ISBN:9784880028873
  • ページ数:144頁
  • 書籍発行日:2021年7月
  • 電子版発売日:2021年6月18日
  • 判:四六判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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