モダンフィジシャン 39-4 認知症の人の食べるを守る

  • ページ数 : 98頁
  • 書籍発行日 : 2019年4月
  • 電子版発売日 : 2019年4月5日
¥2,750(税込)
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商品情報

内容

【Modern Physician 2019 Vol. 39 No. 4】
食べることは生きること、最後の砦をいかに守るか、守れるか?
認知症のフェーズ別ケア、疾患別ケア、上手な連携のためのトピックスで最新情報をアップデート。認知症の人の特性に合わせて食べる力を引き出します。

非常にわかりやすいと定評のある臨床雑誌
「一般臨床医の方にも、専門的な事柄や最新の知見などをわかりやすく」をモットーに制作している内科系総合雑誌です。

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序文

巻頭言

認知症の食べる障害を支える視点

高齢期の「食べる」障害は,脳卒中を原因した摂食嚥下障害を基軸としてその学問が体系づけられてきた経緯がある.脳卒中が原因の摂食嚥下障害は,発症からの期間(急性または慢性),障害部位(片側または両側か)などによりその様相は回復過程も含め大きく異なる.一方,認知症の摂食嚥下障害の病態は,加齢に加え認知症の影響を受けることになるが,認知症の原因疾患によりその様相は異なる.高齢者認知症の原因は約60 種類以上あると言われており,アルツハイマー病(Alzheimerʼs disease:AD),脳血管性認知症(cerebrovascular dementia:VaD),レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB),前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)は,その頻度が多さから四大認知症と呼ばれている.このうち,VaD を除くAD,DLB さらにFTLD は変性性認知症と呼ばれ,その進行に伴いさまざまな症状が出現する.

変性性認知症の食べる障害は,認知症の神経心理学的症状に由来した周辺症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)に加え,その進行と老化および合併症による身体機能の低下等の内的要因,食に関する環境の不具合等の外的要因が複合的な原因として生じる.

ADの進行に伴う食支援は,軽度から重度前段におけるケアニーズは,認知機能の低下により認知症の人をとりまく「環境とのかかわりの障害」により生じる周辺症状(BPSD)であり,重度以降となるとADの進行により生じる「身体機能の障害」に起因する課題が主となる点が重要である.この2 つの障害のケアニーズのターニングポイントは,失禁や歩行障害が顕在化した時期とするのが妥当と筆者は考えている.AD の摂食嚥下機能を評価する視点として,これまでの「身体機能障害」の評価を中心としたものから,記憶障害,遂行機能障害さらに見当識障害などによる「食環境とのかかわりの障害」も含めた評価が認知症の摂食嚥下障害への対応には必要である.具体的には,前半のAD摂食嚥下障害は,食べたことを忘れる,食事の場面が理解できない,食具(スプーン,箸など)の使い方がわからなくなる(失行)などを主眼とした対応が必要となり,その後に咀嚼障害などが顕在化し,さらに進行した時点で嚥下障害が顕著に現れる.

古くから知られているADと比較し,DLBはその概念,診断基準の確立も新しく,さらにその病態の多様性もあり,DLBの摂食嚥下障害に関する報告は十分とは言えないが,全身のADLが比較的維持されている時期から嚥下障害が認められるケースが多く,その対応は認知症の食支援の大きな課題の1つとなっている.つまり,多くのDLBは嚥下機能などの「身体機能の障害」がADより早期に現れることが多く,症例によっては認知機能障害による「環境とのかかわりの障害」より「身体機能の障害」が先行することも少なくない.DLBの特徴的な「身体機能の障害」として,意識レベルの変動により自立摂食が困難なるケース,自律神経系障害による難治性の便秘などにより食欲が低下するケースなどが知られている.また,DLBの特徴的な食に関連した「環境とのかかわりの障害」として,幻視により,白飯などに振られたゴマ,調味料を「食事に異物(虫など)が混入している」などと訴えて食事を拒否するケースが知られている.

FTLDは他の認知症と比べ,過食,異食といった「環境とのかかわりの障害」がADより早い段階から顕著に生じる傾向にあり,「摂食異常行動」としてFTLDの特徴さらに鑑別診断として挙げられる.具体的には,衝動的な食欲による過食を起こし,どんどん口に入れるいわゆる「掻き込み食べ」が見られる.こういった点に注目し,食品関連問題アンケート(Food-Related Problems Questionnaire:FRPQ)が開発されており,早期のADとFTLDの鑑別に有効であるとの報告もある.

今回,それぞれの専門家にどのようにしたら認知症の人の食べるを守れるかについて依頼し,渾身の原稿をお寄せいただいた.毎日の臨床にお役立ていただける知恵が満載である.それぞれの立場の方に患者さんのためにお役立ていただけることを願っている.


平野 浩彦

東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科

目次

巻頭言

《認知症の人の食を取り巻く課題》

1.認知症の進行と食にまつわる課題

2.認知症の人の食を守るためのアセスメントの視点

3.認知症の人の食への意欲を引き出す接し方

《フェーズ別にみた認知症の人の食にまつわる課題と対応》

1.初期の認知症の人の食にまつわる生活支援

2.急性疾患を発症した認知症の人の食にまつわる課題と対応

3.在宅の認知症の人の食にまつわる課題と対応

4.認知症の人の終末期の食にまつわる課題と対応

《認知症の疾患別食べるための対応方法》

1.アルツハイマー型認知症(AD)の食を守るケア

2.レビー小体型認知症(DLB)の食を守るケア

3.前頭側頭型認知症(FTD)の食を守るケア

4.脳血管障害後遺症のある認知症の人の食を守るケア

《上手な連携のために知っておきたいトピックス》

1.薬物の有害事象によって生じる食べられない症状への支援

2.栄養に関する支援の臨床

3.高齢者医療に携わる医師の立場からみた認知症ケアと栄養管理の接点

4.歯科との上手な連携で認知症の人の食を守る

5.認知症の人の口腔衛生を守る

■私の処方■

レム睡眠行動異常症

低亜鉛血症

産科危機的出血

■診療の秘訣■

高齢者における低栄養とその評価

アドヒアランス・コンコーダンスを意識した高齢者高血圧診療

肝臓病とサルコペニア

患者の状態に立ち戻る(X線にうつる影)

■心臓リハビリテーション■

レジスタンストレーニング(運動指導含む)

■認知症の診断とともに患者さんに伝えたいこと■

家族を援助するために伝えたい言葉


○アンケート巻末

○次号予告巻末

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書籍情報

  • ISBN:9784001003904
  • ページ数:98頁
  • 書籍発行日:2019年4月
  • 電子版発売日:2019年4月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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