医学のあゆみ281巻3号 B型肝炎ウイルスに対する飽くなき挑戦

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2022年4月
  • 電子版発売日 : 2022年4月13日
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内容

企画:田中靖人(熊本大学大学院生命科学研究部消化器内科学講座)

・B型肝炎ウイルス(HBV)感染による死亡数は増加傾向であるばかりか,アフリカでは小児期の新規感染が現在も増加している.現在のHBVキャリアは約2.9億人,年間100万人に迫る死亡数と推定されている.
・B型慢性肝炎の現時点での治療目標である,HBs抗原の陰性化を達成できる症例は少ない.また,核酸アナログとIFN以外のカテゴリに属する治療薬は長らく上市されておらず,新規治療法の開発が待たれる.
・本特集では,B型慢性肝疾患に対する現状の治療とその問題点に加えて,ウイルス自体を標的とした新規治療法の開発およびHBVに対する免疫治療の試みについて,わが国を代表するエキスパートの先生方に執筆いただく.

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序文

は じ め に

ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV),結核,マラリアは世界三大感染症といわれているが,診断・治療薬の進歩により,これらの感染症による死亡数は減少傾向である.一方,肝炎ウイルス感染症,とくに,B 型肝炎ウイルス(hepatitis Bvirus:HBV)感染による死亡数は増加傾向であるばかりか,アフリカでは小児期の新規感染が現在も増加している.現在のHBV キャリアは約2.9 億人,年間100 万人に迫る死亡数と推定されている.

2021 年にWHO は肝炎ウイルス撲滅に向けた目標設定を4 つに変更し,2030 年までに各国に即した目標を達成するように勧告した.オプションを以下に示す.

Option A:B 型肝炎の母子感染のエリミネーション

Option B:C 型肝炎のエリミネーション

Option C:B 型肝炎のエリミネーション(母子感染含む)

Option D:B 型・C 型肝炎ともにエリミネーション(当初の目標)

たとえば,アフリカではOption A を目標とする.HBV キャリア率が10%で,母子感染対策が不十分であるため,垂直あるいは水平感染が大きな問題となっている.対策としては,出生時のHB ワクチン接種(ユニバーサルワクチネーション)に加えて,ウイルス量が高い母親の妊娠後期にテノホビル(TDF)を予防投与することで,ウイルス量を低下させ,母子感染のリスクを極力低下させる試みが検討されている.一方,先進国ではC 型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)キャリアの拾い上げと直接作用型抗ウイルス薬(directacting antivirals:DAA)によるHCV 排除が積極的に実施されている.HBV に対する治療は,1986 年にインターフェロン(interferon:IFN)が,2000 年に核酸アナログ製剤がわが国で認可された.その後,IFN はペグインターフェロン(Peg-IFN)へ,核酸アナログ製剤はラミブジン(LAM)・アデホビル(ADF)からエンテカビル(ETV)・テノホビル(TDF/TAF)へと改良され,これらの薬剤でB 型肝炎の病勢を抑えることができるようになった.しかし,B 型慢性肝炎の現時点での治療目標であるfunctional cure,すなわちHBs 抗原の陰性化を達成できる症例は少ない.また,核酸アナログ製剤とIFN 以外のカテゴリに属する治療薬は長らく上市されておらず,新規治療法の開発が待たれる状況にある.

本特集では,B 型慢性肝疾患に対する現状の治療とその問題点に加えて,ウイルス自体を標的とした新規治療法の開発およびHBV に対する免疫治療の試みについて,わが国を代表するエキスパートの先生方に執筆いただいた.HBV に対する飽くなき挑戦はすでにはじまっている.


企画:田中靖人(熊本大学大学院生命科学研究部消化器内科学講座)

目次

特集 B型肝炎ウイルスに

対する飽くなき挑戦

はじめに 田中靖人

B型肝炎の自然経過と治療の現状 ─ IFNを中心に 八橋 弘

B型肝炎治療の現状と問題点 ─ 長期核酸アナログ治療の 効果と問題点 鈴木文孝

高感度HBコア関連抗原測定法(iTACT-HBcrAg)の臨床応用 井上貴子・田中靖人

HBV培養細胞系を利用したウイルス侵入メカニズムの解析と 創薬研究の進展 塩野谷果歩・渡士幸一

HBV侵入阻害効果を持つ胆汁酸誘導体 奥村彰規・伊藤清顕

HBVのcccDNAを標的としたゲノム編集遺伝子治療の開発 杉山真也

HBV RNA阻害薬 渡邊丈久・田中靖人

TLR7アゴニスト ─ HBV感染に対する免疫作動薬 森 泰三・考藤達哉

NASVAC経鼻ワクチンによるfunctional cure 吉田 理・日浅陽一

連載

COVID-19診療の最前線から ─ 現場の医師による報告16

 COVID-19後遺症 ─ COVID-19重症患者の後遺症への対応が急がれる 本多英喜・藤谷茂樹

バイオインフォマティクスの世界❺

 メタボロミクスにおける「質量分析インフォマティクス」 山本博之

TOPICS

神経内科学

 脳の神経細胞群が行う掛け算の仕組み 山田 洋

細菌学・ウイルス学

 脊椎動物ゲノムに隠された1億年にわたるボルナウイルス感染の歴史 川崎純菜・堀江真行

FORUM

中毒にご用心 ─ 身近にある危険植物・動物❾

 カツオノエボシ ─ さわるな! 危険! 稲葉大地・他

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書籍情報

  • ISBN:9784006028103
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2022年4月
  • 電子版発売日:2022年4月13日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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