免疫性神経疾患-病態と治療のすべて<アクチュアル 脳・神経疾患の臨床>

吉良 潤一 (専門編集) / 辻 省次 (総編集) / 中山書店

  • ページ数 : 570頁
  • 書籍発行日 : 2016年3月
  • 電子版発売日 : 2021年11月10日
¥15,400(税込)
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商品情報

内容

神経内科領域では,免疫性神経疾患を中心に「個別化医療」の考え方が進み,患者1人1人の予後や薬剤反応性を予想したうえでの治療がのぞまれている.本書では日進月歩で進む免疫性神経疾患について約100人の専門家が最新知見を解説.総論では神経免疫学の基礎・バイオマーカーの測定法と解釈・治療法や治療薬について言及し,各論では多発性硬化症をはじめとする約50の神経疾患について詳述している.

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序文


神経内科領域でも,最近では切れ味のよい分子標的療法が,免疫性神経疾患を中心に日常臨床で用いられるようになりました.このような免疫分子を標的とする生物学的製剤・モノクローナル抗体では,思わぬ重篤な副作用が出現することがあります.したがって,切れ味のいい病態修飾薬が免疫系のどこに作用するかをよく理解したうえで,使用することが不可欠といえます.そこで,本書では,シリーズ《アクチュアル 脳・神経疾患の臨床》として初めて免疫性神経疾患全般をテーマに取り上げました.

免疫性神経疾患は多種多様であり,新たな自己抗体が発見されると,その数は増えていきます.近年では,免疫性神経疾患の治療薬の進歩も著しいため,新しい治療薬が導入されると,新たな章が付け加えられるということになります.このため,本書はこのシリーズでは,おそらく最も大部なものとなりました.このような多種類の疾患と多様な治療薬を記載するものは,えてして辞典のような教科書になりがちです.本シリーズのコンセプトは,「最新の動向を反映した神経内科医のプロフェショナリズムを究める」ということですから,責任編集者としては,教科書とは一味違うものを目指しました.

そこで本書ではまず,最近の知見に基づいた免疫系の仕組みを,「免疫を知る」というセクションで解説しています.また免疫性神経疾患の治療に際しては,診断マーカーや治療反応性に関連するバイオマーカーが着実に開発されつつありますので,次に「免疫を測る」というセクションを設けて,画像も含めて様々な免疫性神経疾患のバイオマーカーについての解説を入れました.そのあとに,免疫性神経疾患で共通する治療法について,「免疫を治す」のセクションで概観しています.以上の総論に続いて各論として,「免疫性神経疾患の病態と治療を学ぶ」のセクションで,個々の疾患について最近の成績も含めて詳しく解説しています.最後に,「Topics ここが知りたい」のセクションを設け,最先端の研究成果を解説しています.

このような免疫性神経疾患の発症機転と病態修飾薬の作用機序を十分に理解した上で,患者さんお一人お一人の予後や薬剤反応性の予想の下に,最適な治療薬を選択して治療を開始する個別化医療の実践が進むことを願っています.本書がその一助ともなれば幸いです.


2016年2月

九州大学大学院医学研究院神経内科学教授
吉良潤一

目次

Ⅰ.免疫を知る-神経免疫学の基礎

免疫系オーバービュー-自然免疫と適応免疫 (近藤誉之)

T細胞と細胞性免疫 (能登大介,三宅幸子)

B細胞・形質細胞・免疫グロブリンと液性免疫,補体 (宮﨑雄生,新野正明)

マクロファージと樹状細胞 (山﨑 亮)

好中球,好酸球,好塩基球,肥満細胞 (三須建郎,黒澤和大,藤原一男)

血小板と凝固・線溶因子 (髙 昌星)

主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と抗原認識 (深浦彦彰)

リンパ器官の構成(リンパ節と脾臓)および免疫細胞の神経系への移動と接着分子 (髙橋和也)

病原微生物に対する免疫とワクチン (齊藤峰輝)

神経系内の免疫担当細胞-グリアの神経免疫における役割 (竹内英之)

免疫寛容と自己免疫疾患の発症メカニズム (宮本勝一)

Ⅱ.免疫を測る─バイオマーカーの測定法と解釈

末梢血バイオマーカー・免疫セマフォリン (中辻裕司)

髄液免疫マーカー (新野正明,宮﨑雄生,菊地誠志)

全般的な自己抗体-神経系に特異的でない自己抗体の意義 (富岳 亮)

抗神経抗体-神経系に特異的な自己抗体の意義 (髙橋利幸)

抗糖脂質抗体の意義 (海田賢一)

神経筋接合部ならびに炎症性筋疾患における自己抗体 (鈴木重明)

サイトカイン,ケモカインとその受容体 (松下拓也)

リンパ球サブセットと表面マーカー (森 雅裕)

疾患感受性遺伝子,疾患抵抗性遺伝子 (吉村 怜)

画像検査所見-MRI,PET,SPECT,神経超音波 (越智一秀)

電気生理学的検査所見 (三澤園子)

神経・筋病理所見 (中野雄太,尾本雅俊,神田 隆)

Ⅲ.免疫を治す─治療薬・治療法

免疫性神経疾患治療の考え方 (吉良潤一)

副腎皮質ステロイド薬 (佐藤 滋,藤原一男)

血液浄化療法 (松尾秀徳)

免疫抑制薬-細胞毒性薬を中心に (河内 泉,西澤正豊)

免疫グロブリン大量静注療法 (野村恭一)

インターフェロンβ,インターフェロンα (甲田 亨)

フィンゴリモドとフマル酸 (田中正美)

モノクローナル抗体療法 (荒木 学)

胸腺摘除術 (村井弘之)

免疫性神経疾患治療の今後の展望 (越智博文)

Ⅳ.免疫性神経疾患の病態と治療を学ぶ

多発性硬化症 (越智博文)

tumefactive MS (眞﨑勝久,吉良潤一)

バロー病 (眞﨑勝久,吉良潤一)

視神経脊髄炎 (中島一郎)

急性散在性脳脊髄炎 (鳥巣浩幸,原 寿郎)

アトピー性脊髄炎,ホプキンズ症候群 (藤井敬之,吉良潤一)

HTLV-I関連脊髄症 (中村龍文,中嶋秀樹)

自己免疫性脳炎 (髙橋幸利,西田拓司,山口解冬)

橋本脳症 (米田 誠)

stiff-person症候群とprogressive encephalomyelitis with rigidity and myoclonus (武藤多津郎)

肥厚性脳・脊髄硬膜炎 (米川 智,吉良潤一)

ギラン・バレー症候群 (上田昌美,楠 進)

フィッシャー症候群,Bickerstaff型脳幹脳炎 (竹下幸男,神田 隆)

慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー (千葉厚郎)

多巣性運動ニューロパチー (千葉厚郎)

中枢・末梢連合脱髄症 (緒方英紀)

POEMS症候群(クロゥ・深瀬症候群) (三澤園子,桑原 聡)

チャーグ・ストラウス症候群 下島恭弘,池田修一

抗VGKC複合体抗体関連疾患-アイザックス症候群,モルヴァン症候群,抗VGKC複合体抗体関連辺縁系脳炎 (渡邊 修)

自己免疫性自律神経節障害 (中根俊成,樋口 理)

急性自律神経性感覚性ニューロパチー (小池春樹,祖父江元)

重症筋無力症 (吉川弘明)

ランバート・イートン筋無力症候群 (吉村俊祐,白石裕一,本村政勝)

多発筋炎,皮膚筋炎 (清水 潤)

封入体筋炎 (池添浩二)

壊死性ミオパチー (鈴木重明)

neuropsychiatric SLE(NPSLE) (雪竹基弘)

神経ベーチェット病,神経スウィート病 (久永欣哉)

シェーグレン症候群 (松下拓也)

神経サルコイドーシス (熊本俊秀)

傍腫瘍性神経症候群 (長山成美,田中惠子)

IgG4関連疾患に伴う神経障害 (大山 健,飯島正博,祖父江元)

GVHD関連神経・筋障害 (中西浩隆,小池春樹,祖父江元)

Topics ここが知りたい

免疫性神経疾患のガイドラインにはどのようなものがあり,どう使うのがよいか (松井 真)

慢性ウイルスキャリア・既感染者における免疫療法はどうすればよいか (郡山達男)

disease modifying drugで多発性硬化症の長期予後は改善するか (中原 仁)

小児の免疫性神経疾患の治療はどうすればよいか (梶本まどか,松重武志,大賀正一)

妊娠・授乳期の免疫治療はどうすればよいか (清水優子)

腸管免疫を標的とした免疫療法で免疫性神経疾患の治療は可能か (門脇 淳,山村 隆)

小脳性運動失調症に免疫療法は有用か (南里和紀,大熊美咲,米田 誠)

神経変性疾患にワクチン療法・抗体療法は有効か (松原悦朗)

神経炎症は抑制できるか (錫村明生)

多発性硬化症における個別化医療は可能か (佐藤準一)

免疫性神経疾患のトリガーとなる微生物の遺伝子多型は重症度を決めるか (古賀道明)

disease modifying drugは患者QOLを改善するか (新野正明,菊地誠志,宮﨑雄生)

超高額な免疫療法はわが国の医療経済を破綻させるか (荻野美恵子)

ワクチン接種は免疫性神経疾患を悪化させるか (三井良之,楠 進)

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書籍情報

  • ISBN:9784521743318
  • ページ数:570頁
  • 書籍発行日:2016年3月
  • 電子版発売日:2021年11月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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