子どものけいれん・てんかんー見つけ方・見分け方から治療戦略へ

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2013年3月
  • 電子版発売日 : 2021年11月24日
¥9,350(税込)
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商品情報

内容

熱性けいれん8%,てんかん1%—高い有病率から見えてくる小児科医とけいれん・てんかんの密接な関係.推論の積み重ねといわれるてんかん診療を,初心者でも初期対応できるよう,脳波,画像,臨床症状,誘発因子から進める診断と,熱性けいれんへの対応,救急でのけいれん重積治療,病型に対応した薬物治療・特異的禁忌をまとめた.

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序文

てんかんやけいれんは,できれば関わりたくないと思っているドクターが多い分野であろう.その大きな原因の一つが,得体の知れなさにあると私は考えている.ほとんどの病気は,採血や画像検査などを行うと何かしらその存在を確信させるものが見つかる.しかし,てんかんではそうした証拠は多くの場合は見つからない.このような不気味なものを好んで扱うのは,よほどの物好きだと思われても仕方がないかもしれない.一方で見方を変えると,このように一見つかみどころがないものを客観性と合理性に基づいて整理していく作業は,謎解きのようでおもしろいということもできる.本書は,エキスパートが小児のてんかんやけいれんをわかりやすく解説することに重点を置いて編集した.読者がてんかんやけいれんの謎解きに少しでも興味をもっていただけたら,私たちの目論見はうまくいったといえよう.

物事を合理的に考えるうえで重要なのは,言葉である.「私が言うてんかん」と「他のドクターが言うてんかん」とが違うものを指していたら,議論はおかしな方向に向かってしまうであろう.てんかんやけいれんは,先ほど述べたように実態がつかみづらい.このようなぼんやりとしたものを合理的に扱うためには,思考過程の整合性とともに言葉を正確に使うことはとても重要である.正確な言葉なくして,合理的な議論はできないことは明らかである.しかし,現状はどうであろうか.私にはてんかんに関する用語が十分に適切に使われているとは思われない.私が若いころには言葉の使い方を厳しく指導する上級医が少なくなかったが,今はそのような場面を見かけることがかなり減ったように感じられる.本書については言葉の使い方にはかなり配慮したつもりである.読者にも言葉の問題は頭の片隅に置いていただきたいと思う.

現在国際抗てんかん連盟が,てんかんに用いる用語の改訂作業を進めている.これが,さらなる混乱をもたらしかねない.たとえば,これまで使用していた特発性という概念は使用が推奨されなくなり,素因性(genetic)という用語が代わって推奨されている.特発性のなかには良性の要素が多分に含まれているが,素因性という言葉には含まれない.SCN1A 変異によるてんかんは素因性といえるが,その中核的な表現型は治療抵抗性てんかんの代表の一つであるDravet 症候群である.稀発の強直間代発作のみをもつ全般てんかんは,これまでは特発性全般てんかんに分類されていたと思われるが,新分類ではあまり適当な用語がない.素因性全般てんかんということになるのであろうが,素因性である証拠は現在のところ何もない.部分発作を焦点性発作と改めることにはあまり抵抗はないが,複雑部分発作に該当する概念が用意されていないことには戸惑いを覚えざるをえない.しかし,現実には場面に合わせてさまざまなレベルの用語を使用しているようである.昨年末に米国てんかん学会に参加したが,場面に合わせて用語を選んで用いているのが実情であった.新しい用語とその使用法については敏感であるべきであるが,相互理解が保証されている場面では緩やかな使い分けが実際的ということであろう.したがって,本書ではできる限り新しい用語を用いる一方で,古い用語も実情に合わせて残している.

さて,本書の一番の狙いは,読者にてんかんやけいれんの正しい知識を知っていただくことである.しかし,あまり肩ひじを張らず,気楽な読み物として読んでいただきたい.本書がてんかんやけいれんの理解向上に寄与することができればたいへん嬉しく思う.


2013年2月

順天堂大学医学部小児科 准教授
奥村彰久

目次

Part1 けいれん・てんかんの見つけ方・見分け方

1章 てんかんとは

 1 てんかんとは

2章 けいれん・てんかんに関する誤解

 2 けいれん・てんかんに関する誤解

3章 てんかんの基礎知識

 3 てんかんの発作型

 4 てんかん症候群分類の考え方

4章 てんかんの基礎疾患

 5 てんかんの基礎疾患

5章 発達障害児におけるてんかん

 6 発達障害児におけるてんかん

6章 てんかんの検査

 7 発作間欠期脳波

 8 発作時脳波

 9 脳磁図

 10 頭部MRI

 11 SPECT

 12 PET

 13 遺伝子解析とマイクロアレイ染色体検査

 14 代謝疾患

 15 神経心理学的検査

7章 てんかんの境界領域

 16 熱性けいれん

 17 軽症胃腸炎に伴うけいれん

8章 てんかんと鑑別すべき疾患・症候

 18 てんかんと鑑別すべき疾患・症候

Part2 身近なけいれん・てんかんの治療戦略

1章 急性期のけいれん,発作疑いの対応・重積の治療

 1 急性期のけいれん,発作疑いの対応・重積の治療

2章 てんかん治療の全体像

 2 てんかん治療の全体像−治療の開始から経過観察,服薬終了までの概略

3章 小児のてんかんの予後

 3 小児のてんかんの予後

4章 小児期に多いけいれん性疾患・てんかんの治療

 4 熱性けいれんと憤怒けいれん

 5 良性乳児発作/てんかん

 6 Dravet症候群

 7 Panayiotopoulos症候群

 8 中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(BECTS)

 9 West症候群

 10 Lennox-Gastaut症候群

 11 特発性全般てんかん−CAE,JAE,JME,EGMA

 12 症候性焦点性てんかん−側頭葉てんかんを中心に

 13 重症心身障害児のてんかん治療で留意すべき点

5章 抗てんかん薬の特徴と選択において留意すべき点

 14 抗てんかん薬の特徴と選択において留意すべき点

6章 抗てんかん薬以外のてんかんの治療戦略

 15 ケトン食の実際とその他の代替療法

 16 てんかん外科をいつ考慮すべきか?

7章 てんかんとともに暮らす

 17 予防接種,感冒時,他疾患罹患時,受診時の対応

 18 保育園・幼稚園・学校生活を快適に過ごすための留意点

 19 成人期を迎えるにあたって留意すべき点

 20 てんかん児の認知,精神症状の合併症とその対応

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書籍情報

  • ISBN:9784521736983
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2013年3月
  • 電子版発売日:2021年11月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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