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- 医学のあゆみ274巻12号 多様な疾患の原因となるDNA損傷応答不全
商品情報
内容
企画:中西 真(東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野)
・損傷を受けたDNAは損傷の種類に応じた多様な仕組みにより適切に修復されなければならない.これらの仕組みに異常が生じると,がんや発生異常などのさまざまな疾患の原因となる.
・DNA損傷応答機構の研究の歴史は非常に古く,1960年代の後半には大腸菌においてDNAの組換えに必要な遺伝子が同定されている.その後もさまざまな種類のDNA損傷に対応する修復機構が同定されている.
・今後,DNA損傷応答機構への理解がさらに深まることで,がんや老化をはじめとするDNA不安定症に対する新たな予防・治療薬の開発につながるものと期待できる.
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序文
はじめに
生命体にとって自己を規定するゲノム情報を安定に維持することは必須の属性である.真核生物のゲノム情報は主に核内に存在するDNAの塩基配列としてコードされている.しかし,DNAは常に放射線や紫外線,酸化的ストレスといった外的・内的なストレスにより傷害を受けている.したがって,損傷を受けたDNAは損傷の種類に応じた多様な仕組みにより適切に修復されなければならない.これらの仕組みに異常が生じると,がんや発生異常などのさまざまな疾患の原因となる.
DNA損傷応答機構の研究の歴史は非常に古く,1960年代の後半には大腸菌においてDNAの組換えに必要な遺伝子が同定されている.その後,さまざまな種類のDNA損傷に対応する修復機構が同定され,その詳細な仕組みが理解されつつある.一方,DNA損傷修復研究にヒトの遺伝性疾患研究も大きな役割を果たしてきた.色素性乾皮症は紫外線により生じたDNA損傷の修復に異常を持つ疾患で,日本においては約2万人に1人の割合で存在する比較的頻度の高い常染色体劣性遺伝病である.8つの相補性群に分類されるが,このうちの7つの相補性遺伝子がヌクレオチド除去修復に関わっており,原因遺伝子の同定がこの修復系の理解におおいに貢献した.さらにファンコニ(Fanconi)貧血や毛細血管拡張性運動失調症と遺伝子脆弱性,ミスマッチ修復異常と大腸がん発症など,原因遺伝子の同定と疾患病態の理解が,これら修復の仕組みの理解を深めてきた.近年になり,DNA損傷の蓄積が加齢性変化の主要な原因のひとつであることがいくつかの異なる分野の研究から支持されるようになってきた.とりわけ,DNA損傷は細胞老化誘導の主要な原因であるため,DNA損傷修復の異常は個体内での老化細胞の蓄積を介してさまざまな加齢性病態に関与すると考えられる.
DNA損傷応答機構の解明は,それらを原因とするさまざまな病態の理解につながるのみならず,疾患治療法の開発にもおおいに役立つと考えられる.がん細胞ではある種のDNA損傷応答に異常をきたしていることを逆手に取り,別の損傷応答機構を阻害することでがん細胞特異的に合成致死を誘導する薬物の開発が進められている.今後,DNA損傷応答機構への理解がさらに深まることで,がんや老化をはじめとするDNA不安定症に対する新たな予防・治療薬の開発につながるものと期待できる.
中西 真(東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野)
目次
特集 多様な疾患の原因となるDNA損傷応答不全
がん治療に伴うDNA損傷修復とシグナル伝達――DNA二本鎖切断の修復機構から免疫応答まで……柴田淳史
DNA二重鎖切断修復とゲノム安定性……宮川清
眠りから覚めたSchlafen 11(SLFN11)――DNA障害型抗がん剤の真の効果予測バイオマーカーとなるか?……高橋佑歌・村井純子
ヌクレオチド除去修復の進行に必要とされるヒストン翻訳後修飾酵素の役割……丹伊田浩行
ファンコニ貧血の原因遺伝子群とクロスリンク修復経路――最近の研究展開……望月綾子・高田穣
マイクロRNA生合成因子DGCR8は転写と共役したヌクレオチド除去修復を制御する――DGCR8-mediated UV response pathway……谷口俊恭
BRCA遺伝子変異による臓器特異的な発がん……郷田敦史・他
DNA損傷応答による細胞老化と加齢性疾患……鈴木成実・城村由和
TOPICS
【社会医学】
生活道路の速度制限で交通弱者が守られる……市川政雄
【臨床検査医学】
多発性骨髄腫治療薬「ダラツムマブ」使用時の効果判定検査の注意点……山田俊幸
【神経内科学】
アルツハイマー病の発症機序におけるTREM2の関与……竹本亮太・他
連載
【再生医療はどこまで進んだか】
13.iPS細胞を用いた角膜疾患に対する再生医療……相馬剛至・西田幸二
【臨床医が知っておくべき最新の基礎免疫学】
6.PathogenicヘルパーT細胞と組織炎症……廣田圭司
【バイオミメティクス(生体模倣技術)の医療への応用】
生物に学ぶ防汚材料①:ナメクジの粘液分泌に学んだ撥液・難付着材料――Self-Lubricating Gels(SLUG)……穂積篤
フォーラム
【天才の精神分析――病跡学(パトグラフィ)への誘い】
1.はじめに……山田和夫
特別寄稿:新型コロナウイルス感染症におけるIgGFc-binding proteinの役割(仮説)……小林研介・堤寛
【世界で最も豊かな国の最貧困エリアとCOVID-19】
世界で最も豊かな国の最貧困エリアとCOVID-19――米国ニューメキシコ大学病院からの報告……乗井達守
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書籍情報
- ISBN:9784006027412
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2020年9月
- 電子版発売日:2021年11月19日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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