風邪症候群と関連疾患〈ENT臨床フロンティア〉

  • ページ数 : 304頁
  • 書籍発行日 : 2013年12月
  • 電子版発売日 : 2021年12月10日
¥14,300(税込)
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商品情報

内容

”かぜ”症候群とその二次感染および増悪疾患を識る・診るためのバイブル。いわゆる”かぜ”症状を起こす各種ウイルス感染症やそれに伴うさまざまな関連疾患の鑑別・治療法を解説。予防対策および感染後のケア、ハイリスクグループ・年齢層別のマネジメントについても詳述する。執筆は耳鼻咽喉科のみならず小児、呼吸器、眼科、感染症科など横断的に一線の臨床医が担当。風邪の総合医のための書。

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序文

風邪症候群を中心として関連疾患について耳鼻咽喉科医の日常診療に役立つ本を作りたいので編集を担当して下さいと,本シリーズ編集委員の先生方から小職に依頼を頂戴したものの,いつものカンピューターが瞬時に作動せず,何も閃かず,“ 果て困ったな” と頭を抱えてしまった.

風邪症候群は,気道における日常的なウイルス感染であり,免疫不全などの特殊な要因がなければ,数日から1 週間程度気道における種々の症状を誘発するが,そのうち自然に終息するものと定義されている.

風邪症候群というと,1980 年代に北米のオハイオ州立大学に留学していた頃,冬場になると決まって現地の職場の同僚が,common cold とかflu という言い方で,“This morningI have got a bad feeling, sore throat, coughing, and dizzy, so maybe I got flu?(朝から調子悪くてさ,のどが痛いし,咳も出るし,おまけにめまいしてさ,多分,風邪よね)”という口調で,いかにも仕事したくないと言わんばかりに話をしていたものである.生命を脅かすことはまずないが,一定の期間の気道症状の出現による作業効率の低下や生活の質の低下は個人にとって大きな損失である.

元来,ウイルスはその種の保存において高温多湿を好まず,日本のように四季のある国では,冬場の乾燥した時期を中心に季節の変わり目などに,風邪症候群やインフルエンザの罹患率が上がる.あまりに日常的な疾患であるが,上気道から下気道までの粘膜のどこかにウイルス感染が成立すると多彩な症状を呈し,他の種々の疾患との鑑別も必要となる.風邪症候群にまつわる診断や治療に関する情報は,医学関係の本屋の棚やインターネットのサイトに山積している.そこで,せっかく一端の成書を作るなら,風邪症候群の事ならこの一冊で事足りるという編集ができたらいいですねと出版社の方に提案した.読者の皆様には本書をみていただければお分かりになると思うが,風邪症候群の定義から始まり,病態,診断,治療,鑑別疾患,さらに影響を受ける耳鼻咽喉科領域の疾患の解説まで,網羅することとした.しかし,気道のウイルス感染である風邪症候群の病態や治療を理解するためには,病原体であるウイルスの種類や増殖の仕方などの生物学的特徴やヒトの気道粘膜局所の生体防御機構の十分な知識が必要である.そのため,本書の前半に風邪症候群を引き起こすウイルスやその感染に関する基礎的な知識を理解すべく,ご専門の先生方に,玉稿を頂戴した.是非とも熟読していただきたい.また,風邪症候群の病態は,乳幼児から高齢者まで年齢により大きく異なり,そのため患者の年齢に応じた適切な対応が必要となる.一方,予防することを目的とした日常的な対策も重要なポイントであり,これらについても取り上げた.

専門編集という貴重な機会を頂戴し,発刊前にすべての原稿を拝読させていただいたが,執筆者のご努力により,耳鼻咽喉科の診療現場で十分に活用していただける“座右の書”になると確信した.耳鼻咽喉科の医師のみならず,他科の医師,研修医,医学生の皆さんにも重宝していただける内容と思う.これまで種々の本の編集に関わってきたが,本書はその中でも自信をもってお勧めできる日本語のstate of art の一つとなった.各所に,コーヒーブレークの時間に気楽にじっくりと読んでいただきたい19 の話題を“Salon deFestina lente”として鏤めた.festina lente とは,ラテン語で“ゆっくり急げ”という意味の格言である.最後に,ご多忙な先生方に熟読していただける本書になることを願って,執筆者や編集各位への感謝の言葉としたい.


2013年11月吉日

島根大学耳鼻咽喉科学講座 擱筆 川内秀之

目次

第1章 いわゆる風邪症候群とは

風邪症候群の定義・症状 (鈴木賢二)

 定義

 症状

 診断

 治療

 予後

風邪症候群と関連のある耳鼻咽喉科疾患と病態 (平林秀樹)

 風邪とは

 病原

 症状・経過

 診断

 治療・予防

 風邪との鑑別・関連疾患

第2章 風邪症候群を発症するウイルス

風邪症候群を引き起こすウイルス (西園 晃)

 主なウイルスの種類とその構造および特徴

 増殖の仕方,遺伝子変異と病原性の変化

 伝播様式,宿主との関係

第3章 ウイルスによる上気道感染症の病態

ウイルスに対する感染防御機構 (原田 守)

 ウイルスに対する防御機構の概要

 ウイルスに対する自然免疫応答

 ウイルスに対する獲得免疫応答

ウイルスの上気道粘膜への定着と増殖 (田村愼)

 上気道粘膜に感染するウイルス

 インフルエンザウイルス感染の特徴

 ヒトでのインフルエンザウイルス感染後の上気道での増殖の動態

 インフルエンザのモデルマウスを用いた感染ウイルスの動態

ウイルス感染による急性炎症の発症と宿主への長期的影響 (室野重之,吉崎智一)

 風邪症候群の病原微生物としてのウイルス

 ウイルス自体による炎症

 細菌感染が疑われ抗菌薬の使用が望まれるのは?

 ウイルス感染による上気道炎が上気道に及ぼす影響

 ウイルス感染による上気道炎が下気道に及ぼす影響

 急性上気道炎と鼻咽腔常在菌叢および中耳炎起炎菌

 ウイルス感染の細菌感染への影響

 細菌感染以外に及ぼす影響

風邪症候群を発症するウイルスの臨床的特徴 (小川浩司)

 風邪症候群のウイルス

 それぞれのウイルスの特徴

第4章 風邪症候群の病型と特徴

風邪症候群の病型と特徴 (川内秀之)

 風邪症候群の概要

 病型とその特徴

インフルエンザウイルス感染症 (菅谷憲夫)

 インフルエンザウイルス

 疫学

 感染経路

 症状

 診断

 治療

第5章 風邪症候群と関連疾患

鼻咽頭炎 (錦織朋之)

 急性ウイルス性鼻炎

 上咽頭炎

急性咽喉頭炎−風邪症候群との微妙な関係 (伊藤真人)

 急性咽喉頭炎とは

 急性咽喉頭炎の診断手順

 急性咽喉頭炎の鑑別診断

 急性咽喉頭炎の治療

クループ症候群 (増田佐和子)

 疾患の概念

 急性喉頭気管気管支炎(狭義のクループ)

 急性喉頭蓋炎

気管・気管支炎,肺炎 (玉置 淳,八木理充,落合克律)

 気管・気管支炎

 肺炎

急性鼻副鼻腔炎 (竹内万彦)

 急性鼻副鼻腔炎とは

 ウイルス感染と細菌感染および薬剤感受性

 症状

 診断

 治療

急性中耳炎 (杉田麟也)

 乳幼児急性中耳炎とは

 急性中耳炎の病原微生物

 細菌性中耳炎の起炎菌

 薬剤感受性の特徴

 治療

 中耳炎合併症

結膜炎 (山田直之,園田康平)

 結膜

 結膜炎

内耳炎 (鈴木正志)

 分類,病因

 各種の内耳炎

髄膜炎,脳炎 (西 順一郎)

 髄膜炎

 脳炎・脳症

第6章 風邪症候群により増悪する疾患

急性中耳炎,急性鼻副鼻腔炎 (保富宗城,山中 昇)

 ウイルスと細菌の複合感染

 ウイルスと細菌の相互関係

 風邪症候群に関連した急性中耳炎・急性鼻副鼻腔炎の診断と治療

アレルギー性鼻炎,気管支喘息 (青井典明)

 アレルギー性鼻炎,気管支喘息の現状

 アレルギー性鼻炎,気管支喘息の病態

 風邪症候群でアレルギー性鼻炎,気管支喘息が増悪するメカニズム

 風邪症候群で増悪したアレルギー性鼻炎に対する治療

 喘息死を減少させるために

結膜炎 (大平明弘)

 眼表面の常在菌と免疫機構

 風邪症候群による結膜炎

 アレルギー性結膜炎とは

 風邪症候群でアレルギー性結膜炎が増悪するメカニズム

 アレルギー性角結膜疾患の発症機序

 アレルギー性結膜炎とプロスタグランジン

 アレルギー性結膜炎の治療

第7章 風邪症候群の鑑別診断

他疾患の初期症状との鑑別

 小児に多い風邪関連ウイルス性疾患との鑑別 (細矢光亮)

  小児の風邪症候群に関与するウイルス

  RSウイルス感染症

  突発性発疹

  アデノウイルス感染症

  エンテロウイルス感染症(手足口病,ヘルパンギーナ)

  EBウイルス感染症

  麻疹

  伝染性紅斑

 インフルエンザ (原田 保)

  疫学

  診断の手順

 アレルギー性鼻炎,スギ花粉症,急性細菌性鼻副鼻腔炎 (荻野 敏)

  鑑別すべき疾患

  風邪症候群の初期症状との鑑別

 急性(口蓋)扁桃炎,扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍,急性喉頭蓋炎,レミエール症候群 (河田 了)

  急性(口蓋)扁桃炎

  扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍

  急性喉頭蓋炎

  Lemierre症候群(レミエール症候群)

 微熱をきたす他疾患の初期症状との鑑別 (佐野千晶)

  発熱は鑑別診断の指標ではなく,参考所見

  発熱しやすい悪性腫瘍

  膠原病・血管炎

  咽頭痛で受診する見逃したくない重篤疾患

  風邪症候群では不明熱には至らない

  依然として多い結核

  風邪症候群の範疇に紛れ込んでしまっている特殊感染症

経過が長い場合の鑑別診断 (高木弘一,,濵﨑哲郎,井上博雅)

 遷延する咳嗽の鑑別診断

血液学的所見,画像診断での特徴など (金城武士,藤田次郎)

 要約

 鑑別に有用な血液検査

 鑑別に有用な画像診断

第8章 風邪症候群の治療

風邪症候群の治療 (石戸谷淳一)

 概説

 一般的な対症療法

 薬物による対症療法

 いわゆる感冒薬

 小児例への薬物療法の注意

 妊婦への対応

 処方例(成人症例)

インフルエンザの治療 (高野賢一,氷見徹夫)

 抗インフルエンザ薬の作用機序

 抗インフルエンザ薬の特徴と使い方

 抗インフルエンザ薬の使い分け

風邪をこじらせるとどんな症状が出るか (立川隆治,平川勝洋)

 耳

 鼻

 咽頭・喉頭

 頸部

 下気道

風邪をこじらせた場合の対処法 (永谷群司,若杉哲郎,池嵜祥司,鈴木秀明)

 風邪症候群とは?

 原因

 診断と検査

 治療と予防(風邪に抗菌薬が必要か?)

 風邪をこじらせた場合

漢方薬の処方の実際 (山際幹和)

 風邪症候群の基本的治療方針

 漢方医学における患者の体格・体質分類,風邪症候群の病期分類と効果が期待できる汎用方剤

 特記事項

薬物療法での注意点 (直良浩司)

 解熱鎮痛薬

 鎮咳・去痰薬

 抗ヒスタミン薬

 漢方薬

 その他

第9章 風邪症候群を予防する

日常においての予防対策 (橋口一弘)

 風邪症候群の定義,疫学

 日常生活における風邪症候群に対する予防対策

有効な感染対策 (松根彰志)

 原因となるウイルスの伝播と生体への侵入を防ぐ

 侵入してきたウイルスの生体(細胞)への生着を防ぐ

 抵抗力を増す

第10章 患者の年齢に応じた対応

乳幼児 (増田佐和子)

 乳幼児の風邪

 乳幼児の特性

 症状と経過

 診断

 症状への対応

 合併症への注意

 精査を検討する場合

学童期 (平野 隆)

 風邪症候群の病態

 小児〜学童期における風邪症候群の病原体とその特徴

 風邪症候群の病原診断

 学童期における風邪症候群に対する治療

青年期,壮年期 (太田伸男)

 風邪症候群の病態

 風邪症候群の対応とマネージメント

高齢者 (佐野啓介)

 高齢者における風邪症候群の特徴

 注意すべき鑑別疾患

 高齢者の治療についての留意点

 施設・家庭での予防策

風邪症候群のハイリスクグループ (岡野光博)

 ライノウイルス

 RS(respiratory syncytial)ウイルス

 コロナウイルス

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書籍情報

  • ISBN:9784521734668
  • ページ数:304頁
  • 書籍発行日:2013年12月
  • 電子版発売日:2021年12月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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