口腔の機能と解剖

  • ページ数 : 253頁
  • 書籍発行日 : 2021年9月
  • 電子版発売日 : 2021年12月10日
¥4,620(税込)
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商品情報

内容

正確でわかりやすく!むずかしいことをやさしく!

「口腔の発生と組織」の口腔解剖学編.
板書のような手描きの図を多数用いています.重要な部位である脳神経や神経節,多機能で複雑なかたちの蝶形骨や篩骨,嚥下に関わる軟口蓋・咽頭・喉頭の動き,乳幼児の口腔解剖や加齢変化などもとりあげています.
ポイントをコンパクトにまとめていますから,講義での理解,レポート提出,共用試験CBT,歯科医師国家試験でも役立つ充実の本です.

あわせて読む → 口腔の発生と組織 改訂4版

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序文


私どもは,大阪大学で准教授,徳島大学で教授をされていた徳島大学名誉教授の北村清一郎先生に解剖学の手ほどきを受けました.この本をこうして上梓できるのは何よりも北村先生のおかげです.北村先生から教わった「マクロ解剖の面白さ」を少しでも多くの読者に伝えられたら幸甚です.

とはいえ,頭頸部の構造を理解するのは簡単ではありません.さまざまな器官が集中しているため,これらに必要な脈管,神経,筋,靱帯などが縦横無尽に走っているからです.その密集性と複雑さは,東京の交通網のようで,JR,たくさんの私鉄,都営地下鉄と東京メトロなどが上に下に走っていて,どう乗りわけるのか,最初はおっかなびっくりです.ですが,実際に東京で生活するようになると,実に便利で快適でもあり,機能性や安全性に富んでいることがわかるようになります.本書でも,頭頸部は「複雑だけどとても便利にできているよ」というところまで掘り下げて伝えられたらと考え,機能とかたちを結びつけながら書き進めました.

本書の範囲とレベルは,共用試験CBT,歯科医師国家試験,臨床実習などを想定しています.また,全身の解剖学や組織学は修得ずみという前提です.構成については,骨・筋・脈管・神経などの章は従来の教科書にあるようなオーソドックスなまとめ方にしましたが,後半の章は,口蓋,咽頭,喉頭,舌など,機能単位ごとに解剖学を展開しました.また,新たに「成長と加齢」の章を設け,無歯期(乳児)の口腔を取り上げました.乳児の解剖学や組織学は不明の点が多いのですが,臨床の必要性から,現時点での知見をまとめてみました.こうしたことに気づくきっかけをくださった「赤ちゃん歯科ネットワーク」の元代表・石田房枝先生に深く感謝いたします.

本書の特長は,解剖学の教科書でありながら,写真やリアルなスケッチを極力使わず,「板ばん書しょの絵」のようなスキーム(模式図)で,ほとんどの説明をしているところにあります.図は全て田畑が描きましたが,わかりやすさを求めるあまり正確さを欠くことがないよう,角田が常に標本を用いて解剖および観察による確認作業を行いました.また,本文を読みやすくするために,日本語 ‒ 英語 ‒ ラテン語の対応はtermsとしてまとめました.標本観察にあたっては,徳島大学・口腔顎顔面形態学分野教授の馬場麻人先生のご協力をいただきました.校正にあたっては,東京医科歯科大学・硬組織構造生物学分野の杉浦真琴さん,渡部準也さんのご協力をいただきました.南山堂編集部の齋藤代助さんには,終始お世話になりました.皆様に感謝いたします.

2020年は東京オリンピック・パラリンピックの年となるはずでしたが,新型コロナウィルスのパンデミックの年,しかも自然災害も多かった年として記憶されることでしょう.大学でも対面での講義や実習が出来なくなり,Webでの遠隔講義が普通になりました.組織学ではバーチャルスライドを用いた在宅実習を導入しましたが,解剖実習ではそうはいかず,実施時期の変更などを余儀なくされました.いずれにせよ,学生にとって「自らを助く」ことが多くなり,教科書の必要性も高かったように思います.

Webでの遠隔講義は,やってみると案外,効果が大きいことがわかりました.板書の講義で育ち,自身の初講義も板書であった私たちにとっては,隔世の感があります.しかし,どんな講義形式であっても,大事なのは板書のような手作業の繰り返しで作り上げた緻密な授業計画,日々の学生とのやりとりで得たさまざまな経験だということをあらためて再認識することにもなりました.本書の作成もそうした経験に支えられています.

教科書は山登りの時のガイドのようなものです.足を使って,汗をかいて,山登りをするのはあくまでも本人.けれど,良いガイドがあれば,きっと山登りが楽になり,安全になり,楽しくもなる.ですから,本書は口腔解剖学という山登りに必要な知識や準備のノウハウを,重い荷物にならないよう気をつけながら,できる限り詰め込みました.この本が,勉強するひとりひとりに寄り添う本になっていればうれしいかぎりです.


2021年9月

田畑 純
角田 佳折

目次

第1章 序論

1.顔

2.口

3.歯

4.骨

5.筋

6.脈管

7.神経の基本構造

8.中枢神経と末梢神経

9.自律神経

Column 献体のはなし

第2章 脳頭蓋

1.脳頭蓋とは

2.頭蓋冠

3.内頭蓋底

4.外頭蓋底

5.前頭骨

6.蝶形骨

7.側頭骨

Column 解剖学実習

第3章 顔面頭蓋

1.顔面頭蓋とは

2.眼窩

3.上顎骨

4.口蓋

5.鼻腔

6.副鼻腔

7.篩骨

8.側方部

9.下顎骨

10.顎関節

11.舌骨

Column 骨の突起

第4章 咀嚼筋

1.咀嚼筋とは

2.咬筋

3.側頭筋

4.外側翼突筋

5.内側翼突筋

6.下顎骨の靱帯

Column 動物の咀嚼筋

第5章 開口筋と頸部の筋

1.開口筋とは

2.舌骨上筋群

3.舌骨下筋群

4.頸筋膜

5.頸部の筋

6.頸部の区分

7.筋膜隙

Column 茎状突起過長症

第6章 表情筋

1.表情筋とは

2.眼と鼻の周辺

3.帽状腱膜

4.耳の周辺

5.口の周辺

Column ラテン語

第7章 動脈]

1.頭頸部の動脈

2.内頸動脈

3.外頸動脈

4.上甲状腺動脈

5.舌動脈

6.顔面動脈

7.上行咽頭動脈

8.後頭動脈

9.後耳介動脈

10.浅側頭動脈

11.顎動脈

12.顎動脈の下顎枝部

13.顎動脈の翼突筋部

14.顎動脈の翼口蓋部

Column 翼口蓋窩

第8章 静脈

1.頭頸部の静脈

2.内頸静脈

3.外頸静脈

4.下顎後静脈

5.浅側頭静脈

6.翼突筋静脈叢

7.海綿静脈洞

8.舌静脈

9.顔面静脈

10.前頸静脈

Column 医心方

第9章 リンパ系

1.頭頸部のリンパ系

2.浅部のリンパ節

3.深部のリンパ節

4.扁桃

5.炎症と頸部郭清

Column ワルダイエルの輪

第10章 神経系

1.頭頸部の神経系

2.三叉神経

3.眼神経

4.上顎神経

5.下顎神経

6.顔面神経

7.舌咽神経

8.迷走神経

9.副神経

10.舌下神経

11.頸神経

12.頭頸部の交感神経

13.頭頸部の副交感神経

Column 眼窩下管

第11章 唾液腺

1.唾液腺とは

2.大唾液腺

3.小唾液腺

Column ヘビ毒の正体

第12章 舌

1.舌とは

2.舌の区分

3.外舌筋

4.内舌筋

5.舌の発生

6.舌の脈管

7.舌の神経

Column 名前はまだない

第13章 咽頭

1.咽頭とは

2.咽頭の区分

3.咽頭収縮筋

4.鼻咽腔閉鎖

5.喉頭口閉鎖

6.嚥下

Column パッサーバン隆起

第14章 口蓋

1.口蓋とは

2.鼻咽腔閉鎖

3.口蓋腺

4.嚥下

5.口蓋の脈管

6.口蓋筋

7.口腔内面のヒダ

8.耳管と耳管軟骨

9.口蓋の神経

Column カエルの嚥下

第15章 喉頭

1.喉頭とは

2.喉頭軟骨

3.喉頭筋(内喉頭筋)

4.声帯ヒダと室ヒダ

5.発声・構音・発音

Column 和凧のうなり

第16章 成長と加齢

1.ヒトの成長

2.無歯期の口腔

3.授乳

4.口器の進化

5.乳歯萌出期と乳歯列期の口腔

6.成人の口腔

7.老化の機序

8.高齢者の口腔

Column 阿修羅の解剖学

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書籍情報

  • ISBN:9784525810313
  • ページ数:253頁
  • 書籍発行日:2021年9月
  • 電子版発売日:2021年12月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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