OT・PTのための住環境整備論 第3版

  • ページ数 : 370頁
  • 書籍発行日 : 2021年12月
  • 電子版発売日 : 2022年1月5日
¥4,840(税込)
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商品情報

内容

住環境整備のバイブル、9年ぶりの全面改訂!!

第2版が発行されてから9年、高齢者、障害者を取り巻く社会状況は徐々に変化している。それらの変化や最新情報をもとに改訂にあたった。特に、製品の新陳代謝が激しい福祉用具の記述に修正を加えている。
より作業療法の視点に立った内容を取り入れるため、また、より読者に理解しやすい内容にするために、現場の療法士の意見を改訂に反映させた。
さらに、第3章「疾患・障害別にみる住環境整備」の中に、新たに「重症心身障害・重度肢体不自由」および「知的障害・発達障害」を追加した。いずれも研究により住環境整備面において重要なポイントが明確になってきたためである。

最新の知見・情報をもとに、設計に関する初歩的な建築関連法規、生活行為に応じた福祉用具・機器の選択および使用方法、具体的な寸法を記載した住まいの設計・改修の手法を、豊富なイラストで分かりやすく説明している。

高齢者・障害者の住環境整備の要となる作業療法士・理学療法士などの医療職、ケアマネジャー・ソーシャルワーカーなどの介護職にとって、本書は現場ですぐに使える実践に即した究極のテキストである。

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序文

第3版の序


第2版が発行されてから約8年が経過した。この間,大きな制度的変化はなかったが,高齢者,障害者を取り巻く社会状況は徐々に変化し,それらを反映させるために本書の改訂に取り組むことにした。

今回の改訂の主なポイントは,次の3点である。

第1点は,第3章「疾患・障害別にみる住環境整備」の中に,新たに「重症心身障害・重度肢体不自由」および「知的障害・発達障害」の2障害を追加したことである。「重症心身障害・重度肢体不自由」は,以前から住環境整備の必要性があることは重々わかっていたが,在宅での排泄・入浴といった生活行為を把握することが著しく困難なことから,研究自体がほとんど実施されずにきた。今回,本書に加えるにふさわしいレベルまでの研究成果が得られたので,ここに紹介することとした。また,「知的障害・発達障害」は,前者(知的障害)は以前からそれなりの研究があったが,後者(発達障害)については障害そのものについての研究はまだ発展途上にあるものの,住環境整備面では,かなり重要なポイントは明確になってきており,この障害についても新たな知見を提供できるレベルと判断しここに加えることとした。

第2点は,福祉用具についての記述に修正を加えたことである。というのは,福祉用具の世界は,古くから継続的に市販されている製品が多くある一方で,日常的に新しい福祉用具が開発・販売され,旧製品が淘汰される新陳代謝が激しい状況にある。そのために福祉用具の記述はどうしても後手に回ることが多いが,今回は,前回の改訂から8年も経過したことから,現時点での最新情報を加えている。

3点目は,読者により理解しやすいように,OT・PTの意見を新たに反映させたことである。本書は,OT・PTの教育機関並びに専門職として働いておられる現場で使用されているにもかかわらず,そういった皆さんの貴重な声を聴かずして,建築専門職の著者らの立場からある意味で一方的にさまざまな情報を提供してきた。このことは,独りよがりの面があるかもしれないことを反省し,まずは,大学等の教育機関で本書を教科書として活用されておられる先生方に,教育機関で活用している箇所,不要と思われる箇所,充実すべき箇所等をアンケートによってお尋ねし,可能な範囲で改訂に反映させた。具体的には,教育現場または臨床現場で活躍しているお二人の作業療法士に,本書を通読していただき,記述の充実を図った。一人は,国際医療福祉大学小田原保健医療学部/牛木彩子講師,もう一人は元国際医療福祉大学小田原保健医療学部講師,現医療法人勤誠会米子病院リハビリテーション室室長/池淵歓斗氏である。ここに深く感謝の意を表したい。

最後に,今回の改訂が,読者の皆さんにとって,より良い方向に向かうことを切に希望する次第である。


2021年10月吉日

執筆者代表 野村 歡

目次

第1章 住環境整備の意義(野村 歡)

1.社会の中での住宅

A.住環境とは,住環境整備とは

B.住宅が具備すべき機能

C.住宅が具備すべき性能

a.安全性

b.保健性

c.利便性

d.快適性

D.高齢社会の住環境整備のあり方

a.住宅自体のあり方

b.住宅を取り巻く周辺環境のあり方

2.高齢者・障害者に対する住宅関連施策

A.高齢者に対する主な住宅関連施策

B.障害者に対する主な住宅関連施策

3.介護保険制度における住環境整備

A.住宅改修

a.基本的な考え方

b.住宅改修の対象範囲

c.住宅改修の項目

d.住宅改修の対象範囲および対象行為

e.住宅改修費の支給申請手続き

f.支給金額

g.給付方法とその他

B.介護保険制度における住宅改修の課題

a.住宅改修制度がそれほど利用されていないこと

b.住宅改修項目が少ないこと

c.改修費は上限が決められていること

d.償還払いには限界があること

e.施工事業者の多くは介護保険制度の理解が不十分であること

f.アフターサービスが実施されにくいこと

C.福祉用具

a.福祉用具に対する考え方

b.福祉用具の項目

c.福祉用具サービス計画の作成

d.給付方法と支給金額

e.その他

D.介護保険制度における住環境整備の発展に向けて

a.適切な情報の提供

b.ケアプランと連携した住宅改修・福祉用具サービス計画

c.関連事業者への研修および相談窓口の開設

d.他施策との連携強化

第2章 住環境整備の進め方と留意点(野村 歡)

1.住環境整備の進め方

A.住環境整備の手法

a.模様替え

b.福祉用具の活用

c.住宅改造(住宅改修)

d.福祉用具の活用と住宅改造の併用

B.住環境整備の流れ

a.生活からの問題点の抽出

b.住環境整備の基本方針の検討

c.具体的な住環境整備案を作成する

d.施工の実施

e.工事完成後のチェック

f.フォローアップ

C.住環境整備相談の問題点と課題

a.住環境整備の相談に自ら訪れる高齢者は少ない

b.住環境整備に積極的な態度を示さない高齢者

c.心身機能の低下は誰にでも起こる

d.相談者の理解不足

e.住環境整備費用は誰が負担するか

D.住環境整備相談の留意点

a.本人が生活している場所で相談する

b.できる限り詳細な情報を得る

c.相談に関するキーパーソンの存在

d.心身状況の変化に対する対応

e.家族の同意を得る

f.住環境整備費用と実施の有無

g.住環境整備の方針決定はあくまでも相談者にある

2.住環境整備の情報収集・整理と進め方

A.基本情報の収集

a.本人および家族の構成と介助者の有無

b.日常生活での目標を知る

c.住環境整備の目的を明確に

B.4つの重要な情報

a.心身状況

b.住宅状況

c.家族状況

d.経済状況

C.チェックシートの作成

3.住環境整備施工前・施工後の評価とフォローアップ

A.施工前の評価

a.ADL評価のあり方

b.住環境整備の評価項目

c.住環境整備前のフォローアップ

B.施工後の評価

a.施工後評価の前提条件

b.住環境整備後のフォローアップ

c.評価項目

4.住環境整備におけるOT・PTの役割と姿勢

A.住環境整備におけるOT・PTの役割

B.住環境整備におけるOT・PTの基本姿勢

a.OT・PTは住環境整備相談を人任せにしない

b.住環境整備に関わる各分野に精通すること

c.その他の機関との調整役を果たす

d.その他の専門職と連携を図る

e.日ごろから住宅問題について関心をもつ

C.住環境整備におけるOT・PTの倫理

a.基本的人権を擁護する

b.専門知識・技術の研鑚を心がける

c.個人情報の保護に努める

d.自己決定を尊重し,かつ平等に

e.関連職種の専門性を理解する

f.記録・報告の義務を守る

第3章 疾患・障害別にみる住環境整備

1.疾患・障害別にみる住環境整備とは

A.高齢者(廃用症候群および骨折を含む)(橋本美芽)

a.高齢者の転倒対策

b.屋外歩行レベル

c.屋内歩行レベル

d.車いす移動レベル

e.移動全介助レベル

B.脳血管障害(橋本美芽)

a.屋外歩行レベル

b.屋内歩行レベル

c.車いす移動レベル

d.移動全介助レベル 

C.認知症 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

D.高次脳機能障害 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

E.パーキンソン病 (橋本美芽)

a.屋外歩行レベル(Hoehn—Yahrの重症度分類Ⅰ~Ⅱ度程度を想定)

b.屋内歩行レベル(Hoehn—Yahrの重症度分類Ⅲ~Ⅳ度程度を想定)

c.車いす移動レベルから移動全介助レベル(Hoehn—Yahrの重症度分類Ⅳ~Ⅴ度程度を想定)

F.筋ジストロフィー症(神経筋疾患を含む)(橋本美芽)

a.歩行レベル

b.床上移動(手膝這い,ずり這い)レベル

c.車いす移動レベル

G.筋萎縮性側索硬化症 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

H.糖尿病 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

I.切 断 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

J.関節リウマチ (橋本美芽)

a.屋外歩行自立レベル(クラス1)

b.屋内歩行自立レベル(クラス2)

c.屋内歩行介助レベル(クラス3)

d.車いす移動レベルから移動全介助レベル(クラス4)

K.脊髄損傷 (橋本美芽)

a.頸髄損傷レベル

b.胸髄損傷レベル

c.腰髄損傷レベル以下

L.重症心身障害・重度肢体不自由(先天性疾患を含む18歳未満の重度障害児) (植田瑞昌)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

M.脳性麻痺 (橋本美芽)

a.抱きかかえ

b.歩行(杖歩行を含む)

c.手膝這い(床上移動)

d.手動車いすおよび電動車いす

N.知的障害・発達障害 (西村 顕)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

O.内部障害 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

P.難病 (野村 歡)

Q.視覚障害 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

R.聴覚障害および言語障害 (野村 歡)

a.住環境整備上における基本的配慮

2.在宅医療と住環境整備(野村 歡)

A.在宅医療機器に対する住環境整備

a.住環境整備上における基本的配慮

b.住環境整備上における具体的配慮

第4章 OT・PTが理解すべき建築知識と移動用福祉用具

1.建築知識の基本

A.住環境整備に必要な建築用語 (橋本美芽)

B.図面の見方と見取り図の書き方(野村 歡)

a.主な図面の種類

b.図面の見方

c.木造住宅の基本構造

d.平面図(見取り図)の書き方

2.住環境整備の基本的配慮

A.住宅部位への配慮 (橋本美芽)

a.床面

b.手すり

c.引き戸・開き戸・折戸

d.幅員・スペース

e.家具・収納

B.各室への配慮 (橋本美芽)

a.アプローチ

b.玄関

c.廊下

d.階段

e.トイレ

f.浴室

g.寝室

h.台所・食堂

C.住宅の平面計画 (野村 歡)

a.設計とは

b.生活の内容を知る

c.器をつくる

D.色彩・照明 (野村 歡)

a.色彩計画

b.照明計画

E.インテリア (野村 歡)

F.冷暖房 (野村 歡)

a.住環境整備の留意点 

G.非常時の対応 (野村 歡)

a.防犯

b.防火

c.防災

d.非常時の連絡方法

H.経費と維持管理 (野村 歡)

3.住環境整備と建築関連法規(野村 歡)

A.集団規定による建築制限

a.敷地面積

b.接道基準

c.容積率

d.建ぺい率

e.外壁の後退距離

f.建築物の絶対高さ

g.建築物の高さ制限

B.単体規定による建築制限

a.床の高さ

b.天井の高さ

c.階段

d.地階(地下)の居室

e.居室の採光

f.居室・調理室の換気

g.トイレの採光と換気

h.調理室・浴室・車庫などの内装制限

4.移動用福祉用具と住環境整備

A.杖 (橋本美芽)

a.杖歩行

B.車いす (橋本美芽)

a.主な車いすの分類と定義(分類は主な形状を記述)

b.車いすの種類

c.車いす使用者の身体部位の寸法

C.リフト (橋本美芽)

a.リフトの分類

b.リフトの特性

D.段差解消機(家庭用段差解消機)(橋本美芽)

a.機能

b.操作方法

c.段差解消機の機構

d.設置条件

e.設置場所と設置方法

E.階段昇降機 (橋本美芽)

a.固定型(椅子式)階段昇降機

b.可搬型階段昇降機

F.住宅用エレベーター (野村 歡)

a.住宅用エレベーターの法的位置づけ

b.住宅用エレベーターの基本的な機構

c.設置できる住宅と環境

d.機種選定の留意点


巻末資料(野村 歡)

巻末資料1 日常生活用具参考例

巻末資料2 事例検討

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書籍情報

  • ISBN:9784895907316
  • ページ数:370頁
  • 書籍発行日:2021年12月
  • 電子版発売日:2022年1月5日
  • 判:AB判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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