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- 改訂第二版 失語症の障害メカニズムと訓練法
商品情報
内容
理論編では筆者が失語症を理解する際に根幹としている記号論の考え方について加筆し、次に実際の典型例の症状・病巣・機能予後に関して大幅な加筆が行われている。実践編でも理論編にあわせて加筆され、症例編では、初版では取り上げなかった「音韻想起障害型」のレポートが加えられ、筆者らの臨床のすべてがありのままに公開されている。その他全体にわたって用語の整合性に配慮し、修正が行われている。
本書は言語訓練の専門家を主に対象にしているが、医師、教員、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士など必ずしも言語訓練を専門としない方々にも十分ご活用いただける好著である。
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序文
序文
早いもので,「失語症の障害メカニズムと訓練法」初版を上梓してから5年の歳月が過ぎようとしている。初版の執筆を終えたとき,「失語症の言語機能訓練の臨床に閨して,これまで自分が失語症者から学んだことはすべて吐き出した。自分の頭をこれ以上叩いても埃も出ない」と思ったことを覚えている。しかし,その後も毎日,朝からタ刻まで失語症者と供に過ごす日々を送る中で,これまで今ひとつよく解っていなかったことが自分の中で整理されたリ,「本当にこのようなケースがいるのか」というような,目の覚めるような症例との新たな出会いがあったリと,わずか5年の間に改めて書き加えるべきことが少なからず蓄積された。
今にしてみれば,初版は不完全な点が多々否めなかったにもかかわらず,幸い多くの現場の臨床家の方々に概ね好意的に受け入れていただけたようであった。本を読んだという言語聴覚士の方からのお招きを受けて,北は北海道から南は沖縛まで,ST養成校や県士会など,この数年間10数箇所で「失語症の障害メカニズムと訓練法」という,本書と同一のタイ卜ルで講演をさせていただく機会を得た。
5〜6時間で構成される講演は,初版の内容を基盤として,筆者がこれまでの臨床経験の中で出会った各種の「典型例」について,編集したビデオを供覧しながら症状•病巣.機能予後について概説し,最終的に「訓練に結びつけるための失語症の診方と,訓練法の立案」について論ずるというものであった。同じタイ卜ルでの講演にもかかわらず,毎回自分の中で反省させられる部分があリ,また毎回会場から含蓄に富むご質問を頂くことができ,回を重ねるにつれ,内容が整理され,无実していくのを実感していた。
そのような折,新興医学出版社の服部秀夫社長から「失語症の障害メカニズムと訓練法」改訂のご提案を頂いた。自分としてもこれまでの臨床経験を再度振リ返るまたとない光栄な機会と考え,謹んでご提案をお受けすることにした。
今回の改訂作業の概要は以下の通リである。
理論編では,まず筆者が失語症を理解する際に根幹としている記号論の考え方について加筆した。次に,筆者が提唱する失語症のタイブ分類の根拠となった,実際の典型例の症状•病巣•機能予後に閨して大幅な加筆を行った。その中で,(1)「音韻想起」という概念を打ち出し,「音韻の配列•把持」と明確に区別した。(2)初版では曖昧になっていた語彙処理と意味処理とを明確に区別した。(3)文法の問題についても現在筆者が考えうる範囲で言及した。(4)特殊な障害としてごく最近出会った漢字の純粋失書例を紹介した。実践編でも,理論編の改訂に合わせた加筆を行った。症例編では,初版では取リ上げなかった「音韻想起障害型」のレポ一卜を加えた。症例編は,個人情報を伏せてあるという点を除けば,まさに「カルテの開示」であリ,筆者らの臨床のすべてをあリのままに公開したものである。力不足の点も多々あると思うが,若い言語聴覚士の方々は是非とも参考にしていただきたい。その他,全体に亘って用語の整合性に配慮し,修正を加えた。
本書は,一臨床家が失語症者から学んだことだけを記_したものであリ,まだまだ発展途上の本である。博覧強記の諸先生方からのお叱リを免れない部分が多々あることと思う。ただ,臨床家の良心に照らして,うそ偽リのない事実のみを記載したつもリである。
本書の不十分な点が契機となって,失語症言語機能訓練に関する議論が今以上に盛んになれば,本書を執筆した目的は達成されたといえる。
筆者自身,今後も失語症者から学んだことをもとに,本書に手を加え続けることをライフワ一クとしたい。本書は,医療,福祉,教育などの現場で,失語症の言語訓練に従事しておられる新人および比較的経験年数の浅い言語聴覚士や,現在学校の授業や臨床実習の場で失語症の言語訓練について学んでいらっしゃる未来の言語聴覚士を中心に,言語訓練の専門家を主な対象としているが,医師,教員,看護師,理学療法士,作業療法士,臨床心理士など,必ずしも言語訓練を専門領域としない方々にも十分ご活用いただけるものと信じている。
本書の中核となっている江戸川病院言語室における臨床および研究に対する考え方は,これまで多くの方々によって支えられ,育まれてきたものである。当言語室初代室長の宇野彰氏(現筑波大学大学院人間総合科学研究科助教授)は,当言語室における,「臨床的研究」および「研究的臨床」という活動スタイルの基礎を築いて下さった。さらに遡ると,当言語室で現在も活用しておリ本書にも随所に登場する言語訓練教材の基本的なアイデアの中には,伊豆韮山温泉病院言語室の財産を譲リ受けたものも多い。ここに探甚なる感謝の意を表したい。言語聴覚士1万人時代を迎えた今,本書および失語症言語訓練キッ卜に含まれる教材が失語症の臨床現場の隅に置かれ,ほんの少しでも若い言語聴覚士諸氏のガイドとなることができれば望外の喜びである。
平成17年5月
小嶋知幸
目次
理論編
1.はじめに
2.失語症状の捉え方
3.記号論の考え方から「言語」・「失語症」・「言語機能訓練」を捉え直す
4.訓練法に結びつけるための失語症の類型化(タイプ分類)
5.典型例にみる臨床像・病巣・機能予後
6.言語機能訓練および訓練教材を捉え直す─実践に入る前に─
実践編
1.訓練プランの立案に至る流れと注意すべきポイント
2.訓練法の選択を念頭においた症状の診かた
3.言語機能訓練─実践上のポイント─
症例編
1.構音運動プログラム障害型(純粋アナルトリー)
2.音韻想起障害型
3.音韻配列・把持障害型(伝導失語)
4.語彙/意味処理障害型(超皮質性感覚失語)
5.複合障害型(ウェルニッケ失語)──アナルトリーを伴わない症例(後方型)
6.複合障害型(混合型失語)──アナルトリーを伴う症例(前方後方型)
巻末資料(ボイスカード、絵─文字単語照合課題、名詞句─動詞句線結び式文章完成課題、文章完成課題)
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書籍情報
- ISBN:9784880026503
- ページ数:226頁
- 書籍発行日:2005年6月
- 電子版発売日:2022年3月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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