プレシジョンメディシンを目指した前立腺癌診療生検・臨床病理・遺伝子検査・リキッドバイオプシー

  • ページ数 : 290頁
  • 書籍発行日 : 2021年7月
  • 電子版発売日 : 2022年4月1日
¥6,050(税込)
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商品情報

内容

前立腺生検の多様化する臨床、生検標本ならびに全摘標本の取り扱い、前立腺癌病理の最新の情報、
前立腺組織における遺伝子解析ならびに新規治療、今後の発展が期待されるリキッドバイオプシーについて最新の情報をまとめた1冊。
前立腺癌の診断・治療において「プレシジョンメディシン」は有効に応用できる可能性を秘めています。

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序文

巻頭言

「プレシジョンメディシン」という言葉は2015 年に当時の米国大統領バラクオバマ氏が一般教書演説で述べたことから始まります。それ以前にも,ゲノム情報に基づくオーダーメード医療などの概念は提唱されていましたが,これを契機に一気に広まってきました。今回,第36回前立腺シンポジウムの特別企画として「プレシジョンメディシンを目指した前立腺癌診療〜生検・臨床病理・遺伝子検査・リキッドバイオプシー〜」をまとめ,出版に至りました。本書では,遺伝子検査のために必要な病理標本の取り扱いを前半の核とし,近年病理所見として注目されているIDC-P に関連した情報も解説しております。また,前立腺癌は他癌と異なり針生検標本が唯一の組織アーカイブである症例も多く,近年多様化し,正確性を増してきた生検手技そのものにも焦点をあてています。後半は,遺伝子検査に関連した臨床的な内容とし,前立腺癌におけるプレシジョンメディシンの現状をまとめた後,BRCA 遺伝子変異を中心とした臨床,とくにHBOC についてエキスパートの先生方から全体像,乳癌,卵巣癌などのすでに先行している分野の情報をまとめていただいております。そして2020 年12 月に承認されたPARP 阻害剤や,MSI に基づく治療選択,開発中のAkt 阻害剤などを例として,泌尿器科臨床における実践の方法などをまとめました。また,遺伝子検査と病診連携,遺伝カウンセリングの実際についても触れております。最後には,今後前立腺癌の分野でも実臨床での応用が期待されるリキッドバイオプシーについて様々な観点から概説していただきました。

他分野の癌と比較してプレシジョンメディシンの参入が遅かった前立腺癌ですが,2020 年12 月にオラパリブが去勢抵抗性前立腺癌に承認されたことを契機として,前立腺癌診療において具体的な議論がようやくはじまりました。実臨床の中で実践していく際には,病診連携をどのように行うか,コンパニオン診断を現状の保険診療の中でどのように行うか,遺伝カウンセリング体制の整備など,検討していくべき問題が多々あるのも事実です。また,米国ではDecipher やOncotype Dx などの遺伝子プロファイルから診断時に高悪性度の癌を判定することなども行われており,前立腺癌の診断・治療過程の様々な場面でプレシジョンメディシンは有効に応用できる可能性を秘めています。本邦における前立腺癌診療においては始まったばかりでありますが,本書の内容が「プレシジョンメディシン」を目指した臨床の実践の一助となることを切に願っております。


第36 回前立腺シンポジウム企画委員会委員長
群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科教授
鈴木 和浩

目次

Ⅰ 多様化してきている前立腺生検手技:多数ヵ所生検,MRI 標的生検

1 .80 歳以上の高齢者に対する前立腺生検適応

 関根芳岳 他

2 .生検実施時の抗凝固薬・抗血小板薬の取り扱い

  横山みなと 他

3 .初回生検における生検本数と採取部位

 木村 剛

4 .経直腸的生検と経会陰生検:麻酔法およびそれぞれのメリット・デメリット

 計屋知彰

5 .MRI 標的生検の適応:優先度の高い症例は?実施が不要な症例像は?

 宇野裕巳 他

6 .MRI による前立腺癌診断:PI-RADS version 2.1とbi-parametric MRI

 楫  靖 他

7 .MRI 標的・MRI-TRUS 融合生検:総論

 松岡 陽

8 .MRI 標的・MRI-TRUS 融合生検:MRI撮像〜セッティング・生検施行までの流れ・人員・時間

1) BioJet®システム

  小路 直

2) Koelis 社Trinity®によるMRI/US fusion 生検の実際と結果

  鴨井和実

3) Real-time Virtual Sonography ガイド下前立腺生検の概要と手順について

  田中國晃

9 .MRI 標的生検:in-bore MRI ガイド下生検の臨床的有用性

 片平和博 他

10.初回生検陰性症例をどう扱うか?

 永原 啓 他

11.High grade PIN 症例:病理診断での注意点 (IDC-P の誤診?)・フォローアップ戦略

  と再生検タイミング

1) 泌尿器科医の立場から

  加藤真史

2) 病理医の立場から

  都築豊徳

12.監視療法における前立腺生検

 土肥洋一郎 他

コラム:自身の経験や知見に基づいた読者へのショートレクチャー・コメント

1 .直腸癌術後の肛門閉鎖症例での前立腺生検手技について

 宮澤慶行 他

2 .経直腸的生検時の抗菌薬の使用・消毒方法

 東郷容和

3 .MRI 標的・MRI-TRUS 融合生検の保険収載への動向

 浮村 理

4 .新規腫瘍マーカー phi(Prostate Health Index):より適切な生検適応選別への期待

 横溝 晃

5 .Saturation biopsy の適応と問題点

 小島宗門 他

6 .前立腺癌の光力学尿細胞診

 中井 靖 他

Ⅱ 前立腺癌の病理診断における生検および全摘標本の取り扱い方

1 .針生検一般

1) 針生検検体を採取後,どのようにホルマリン固定液に入れるか,その後どのように処理すべきか

  都築豊徳

2) 針生検検体をコンタミネーションしないようにする工夫

  都築豊徳

3) 針生検検体に使用するホルマリンの種類(10%中性緩衝ホルマリン)

  宮城洋平

4) 針生検検体に対する推奨ホルマリン固定時間

  宮城洋平

2 .進行癌症例における針生検

1) 針生検の重要性と必要とされるコア数

  宮城洋平

2) 進行癌においても,針生検本数を変更しない

  都築豊徳

3 .手術標本の取り扱い

1) 手術標本を用いた効率的な遺伝子解析

  都築豊徳

2) 前立腺摘出後のホルマリン固定方法

  都築豊徳

3) 使用するホルマリンは10%中性緩衝ホルマリンが推奨される

  宮城洋平

4) 断端評価のためのインクの塗布

  都築豊徳

5) ホルマリン固定時間を6 時間から48 時間以内に留める工夫

  都築豊徳

6) 転移巣の生検検体,局所の二次生検検体の取り扱いについて

  宮城洋平

Ⅲ 泌尿器科医が知っておくべき前立腺癌病理の話題

1 .Gleason Grading System, ISUP Grade Group など基礎的な解説

 都築豊徳

2 .海外と日本での認知度の差が大きいIDC-P

 都築豊徳

3 .Cribriform pattern の話題

 都築豊徳

4 .神経内分泌分化

 都築豊徳

5 .監視療法可能なGS3+4=7症例における候補選択基準

 加藤琢磨 他

Ⅳ 遺伝子診断からプレシジョンメディシンに基づく薬物治療

1 .前立腺癌におけるプレシジョンメディシンの位置づけ

 赤倉功一郎

2 .HBOC:病態,遺伝カウンセリング,治療

1) HBOC総論

  櫻井晃洋

2) 遺伝性乳がん 概説

  中村清吾

3) 卵巣がん領域における遺伝子診断と治療・PARP阻害剤

  千代田達幸 他

4) 遺伝性前立腺癌とBRCA 遺伝子変異

  松井 博 他

3 .前立腺癌に対するプレシジョンメディシンに基づく治療

1) 標本からの遺伝子検索(パネル検査,コンパニオン診断)・遺伝カウンセリングなどの実際

  寺田直樹 他

2) 前立腺癌に対するPARP 阻害剤の臨床

  上村博司 他

3) Akt 阻害剤の臨床:イパタセルチブ

  内海孝信 他

4) MSI とペムブロリズマブ

 ・前立腺癌のMSI─基礎─

  香川 誠 他

 ・前立腺癌に対する免疫療法-マイクロサテライト不安定性を中心に-

  上田翔平 他

4 .神経内分泌分化の診断と治療

1) 神経内分泌分化の基礎

  安水洋太 他

2) 神経内分泌分化の治療(臨床)

  箱崎勇治 他

5 .前立腺癌におけるプレシジョンメディシンの今後の展望

 波多野浩士 他

6 .前立腺癌に対するプレシジョンメディシンと遺伝カウンセリング

 市川智彦

Ⅴ リキッドバイオプシー

1 .総説

 西尾和人

2 .前立腺癌におけるCTC の有用性

 桶川隆嗣

3 .CTCの機能解析(DNA,RNA,タンパク質)

 本郷 周 他

4 .前立腺癌における血漿遊離DNA(cfDNA)解析-基礎から臨床実装まで-

 赤松秀輔

5 .エクソソーム

 田村貴明 他

6 .マイクロRNA を指標とした前立腺癌・リキッドバイオプシー

 五島悠介 他

7 .前立腺癌への応用:研究,実臨床-世界の動向および日本の現状と展望-

 坂本信一

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書籍情報

  • ISBN:9784865174281
  • ページ数:290頁
  • 書籍発行日:2021年7月
  • 電子版発売日:2022年4月1日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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