• ページ数 : 226頁
  • 書籍発行日 : 2018年9月
  • 電子版発売日 : 2022年4月20日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

2005年に発刊された『急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン』の第3版!
診療指針(フローチャート)に大きな改訂がなされたTG18の邦文版。

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序文

─ TG・18 新基準掲載─
急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン2018の出版に当たって(Tokyo・Guidelinesの変遷)


急性胆管炎・胆囊炎の診療ガイドライン:Tokyo Guidelines(TG)の名称について私が,1967年に医師になったころ,胆道感染症と黄疸は,死亡率の高い難病であった。手術死亡率もhighvolume centerでも30 〜50 % と高く,吐血し,無尿となり,のた打ち回るようにしてなくなっていく患者を多く見てきた。当時,抗生剤もペニシリンやカナマイシンなどが主で,静脈内に投与できるシグママイシンがでてきた頃であり,診断基準や治療指針(フローチャート)もなく,超音波検査やCTなどの診断装置もなかった時代である。このような暗黒の時代において,「胆道の夜明けをみたい」とのキャッチフレーズで半世紀を超す仕事をつみあげ,2018年1月に,TG 18をJournal of Hepato ─ Biliary ─ Pancreatic Sciences(JHBPS)から世界に発信した。今回邦文版が発刊され日本での医療の向上に貢献できるように,日本で一般的ではない用語なども丁寧に説明を付け,皆様にご理解いただき,実地臨床の場で,「患者のための診療ガイドライン」が用いられることを期待しています。いまや,TGは,世界基準になっています。ぜひ,本文をお読みいただきたいと願っています。

1.TGは,2003年に,「厚生労働科学研究費」(主任研究者:高田忠敬)を獲得し2005年に「急性胆管炎・胆囊炎の診療ガイドライン(邦文)」を出版したことから始まる。この作業を通じてevidenceの少なさを痛感した。そこで,尊敬するProf. Steven Strasbergに相談した。「患者の生命予後に大切な基準を作成するのだからevidenceの少ない部分は,consensusで行うのはどうか」とのアドバイスをいただいた。世界のこの領域の専門家達を集め,2006年4月1日,2日に東京で国際会議を開催し2007年にTG 07をJHBPSから世界に発信した。

2.TG 13へ;その後,臨床の現場と国内版,TG 07に相違があることが判明し2010年に改訂委員会が発足した。改訂作業は,日本人委員17名,海外委員26名の計43名の共同作業で行われた。日本での改訂作業委員会を45回開催,国際会議を3回開催し 骨子をメールで海外の委員に送付し,診断基準,重症度判定基準,フローチャート,バンドル,抗菌薬選択基準などを決定。推奨度もGRADEシステムを用い明解にした。

2013年2月に,TG 13として,Journal of Hepato ─ Biliary ─ Pancreatic Sciences(JHBPS)から発信され,世界基準としても用いられるようになり,多くの論文が出てくるようになった。TG 13からモバイルアプリ(iPhone,iPad,Android対応)が発信された。

3.TG 18へ;TG 13の出版準備が整った時点で,なおevidenceの少なさを痛感し,さらに,TG 13の大型の検証の必要性を痛感した。そこで,台湾・日本の共同で,TG 13の検証として“急性胆道炎の疫学調査(日本肝胆膵外科学会国際胆道炎特別研究 Study ─ 1)”を2012年に企画し開始した。この疫学調査により,12,000例を超す大規模な臨床研究データが集積できた。一方で,本診療ガイドラインの推奨のもと,臨床では急性胆囊炎に対して腹腔鏡手術が多くの施設で行われるようになったが,胆管損傷等の手術合併症は減少していないことへの対応策に重点を置いた研究(日本肝胆膵外科学会国際胆道炎特別研究 Study─ 2)を2012年から始めた。Lap ─ Cの安全な施行を目指した臨床研究で,どの分野でも行われていなかった手術ビデオを用いての難度評価の検討を行ってきた。その研究結果を用いて,今回,「Safe steps in laparoscopic cholecystectomy foracute cholecystitis」の項目を取り入れることができた。また,Lap ─ Cの適応基準も大きく変わった。今回のTGの改訂(TG 18)では,これらが,改訂に花を添えている。当然のことであるが,抗菌薬領域や内視鏡検査や治療の進歩にも大きなものがあり,TG内容の客観的な評価を基に,Big dataを含めた最新の臨床医療の新たな知見を加え,何よりも「患者にとって安全で有効な診療」に向けて,より臨床に適したガイドライン作成を目指しての改訂である。本邦文ガイドラインは,2018年1月にJournal of Hepato ─ Biliary ─ PancreaticSciencesから世界に向け発刊した“Tokyo Guidelines 2018 : Updated Tokyo Guidelines for the managementof acute cholangitis/acute cholecystitis”の2次掲載であります。1次出版の国際版の作成にあたり,作成作業資料が膨大でありますが,ガイドライン作成規準に沿った方法をとっているということをお示しできるよう「詳細資料」に記載し, 日本肝胆膵外科学会ホームページ(http://www.jshbps.jp/modules/en/index.php?content_id=47)に掲載しております。掲載内容は,2017年4月29日の時点での検索式,検索結果,スクリーニング結果,PICO ─ CQ表,システマティックレビューシート(個別評価,統合相対評価表),推奨作成表と投票結果(メモ書きはすべて無修正)です。何卒,お読みいただき,邦文ガイドラインの基礎データの参考にしていただけますと幸いです。

最後に,15年にわたる長期,かつ,ハードなガイドライン作りを,すべてのlocal committee memberが出席し,長時間にわたる討議を続け,さらに,メーリングリストでお互いがやり取りをするだけでなく,海外の共同研究者とも意見交換を行い,一緒のチームで働き,ここにTG 18,ならびに邦文版の出版に至ることができたことを,組織委員長として,委員の皆様に心から感謝しています。また,このような仲間と一緒に働けたことを誇りに感じています。

ありがとう。


急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン2018(TG 18)・組織委員長・出版責任者
高田忠敬

目次

序文

評価委員の言葉

第Ⅰ章 クリニカルクェスチョン一覧

第Ⅱ章 本ガイドライン改訂の必要性と作成方法

1.本ガイドライン改訂の背景

2.本ガイドラインの目的と利用者,対象者

1)目的

2)利用者

3)対象者

3.本ガイドラインを使用する場合の注意事項

4.ガイドライン作成ならびに評価に関する委員

1)出版責任者・組織委員長

2)出版・作成副委員長

3)顧問

4)ガイドライン作成委員,担当領域

5)文献検索指導

6)ガイドライン評価に関する委員

5.ガイドライン作成法

1)重要臨床課題の抽出

2)ガイドライン全体の構成

3)クリニカルクェスチョン(CQ)の再検討

4)システマティックレビュー

5)推奨作成

6)外部評価

7)公聴会

6.文献検索法,総体としてのエビデンスのレベル,推奨の強さ

1)文献検索法,採用基準,除外基準

2)総体としてのエビデンスのレベル

3)推奨の強さの決定

7.改訂

8.資金

9.本ガイドライン普及推進の工夫

1)臨床で実施された内容の反映

2)モバイルアプリの開発と提供

3)TG18(Update Tokyo Guidelines)の無料公開

4)本ガイドラインの展開媒体

10.利益相反

第Ⅲ章 重要な基本的知識(Background knowledge)─治療の基本的概念,定義,基準,病態,疫学,言葉の定義,歴史等─

1.定義・病態

1)急性胆管炎

2)急性胆囊炎

2.発生率

1)有症状化の頻度 

2)急性胆管炎・胆囊炎における重症例の頻度

3)ERCP 後の合併症としての急性胆管炎・胆囊炎

3.成因と機序

1)急性胆管炎

2)急性胆囊炎

3)危険因子

4.予後

1)死亡率

2)死因(Cause of death)

3)再発

第Ⅳ章 急性胆道炎の初期診療と急性胆管炎のフローチャート

1.急性胆道炎に対する初期対応フローチャート

1)初期治療

2)重症度判定と全身状態の評価

2.急性胆管炎診療フローチャート

第Ⅴ章 急性胆管炎の診断基準と重症度判定基準

1.診断基準

1)急性胆管炎・診断基準のプロセスと,TG18(Tokyo Guidelines 2018)基準

2)TG18/TG13 急性胆管炎診断基準の評価

3)TG18/TG13 急性胆管炎診断基準のコンセプト

2.臨床徴候

1)急性胆管炎の臨床徴候と疾患概念,用語に関する歴史

2)急性胆管炎の臨床徴候

3)胆道疾患の既往

3.血液検査

1)一般血液検査

2)その他の血中マーカー

4.画像診断

5.鑑別診断

6.重症度判定基準

1)急性胆管炎重症度判定基準の沿革

2)TG18/TG13 急性胆管炎重症度判定基準の評価

3)TG18/TG13 急性胆管炎重症度判定基準改訂のコンセプト

第Ⅵ章 急性胆囊炎の診断基準と重症度判定基準

1.診断基準

1)急性胆囊炎診断基準・重症度判定基準の改訂のポイント

2.臨床徴候

3.血液検査

4.画像診断

1)超音波検査(体外式)

2)単純X 線写真

3)CT(computed tomography)

4)MRI(magnetic resonance imaging)/MRCP(magnetic resonance chorangiopancreatography)

5)ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography)

6)EUS(endoscopic ultrasonography)

7)99mTc ─ hepatobiliary iminodiacetic acid(HIDA)scan

8)DIC(drip infusion cholangiography),DIC ─ CT

5.鑑別診断

6.重症度判定基準

1)急性胆囊炎重症度判定基準改訂のコンセプト

第Ⅶ章 急性胆管炎・胆囊炎の抗菌薬治療

1.抗菌薬の役割

2.意思決定プロセス

3.急性胆管炎・胆囊炎の微生物学

4.グラム陰性桿菌のESBL(extended ─ spectrum beta ─ lactamase)およびカルバペネマーゼ産生菌の地域での蔓延率prevalence

5.クリニカルクェスチョン

6.市中発症の急性胆管炎と急性胆囊炎の治療に適切な抗菌薬の選択と投与計画

7.市中発症Grade Ⅲの急性胆管炎・急性胆囊炎の抗菌薬治療

8.軽症および中等症の市中発症急性胆管炎および胆囊炎

9.医療関連急性胆管炎および急性胆囊炎

10.胆道感染症の治療に抗菌薬の胆汁移行性は関与するか?

11.高度耐性菌による胆管炎・胆囊炎はどのように治療すべきか

12.感受性結果が判明後の抗菌薬治療

13.経口薬への変更

14.抗菌薬による潅流

15.結論

第Ⅷ章 急性胆管炎に対する胆管ドレナージの適応と手技

1.胆管ドレナージの適応とテクニック

1)経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD またはPTBD)

2)外科的ドレナージ

3)内視鏡的経乳頭的ドレナージ(EBD)

2.乳頭処置

1)内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)

2)内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)

3)内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術(EPLBD)

3.術後再建腸管例に対する胆管ドレナージの適応とテクニック

1)術後再建腸管例に対するバルーン小腸内視鏡による胆管ドレナージ

2)術後再建腸管例に対する超音波内視鏡ガイド下胆管ドレナージと順行性治療

第Ⅸ章 急性胆囊炎に対する胆囊ドレナージの適応と手技

1.PTGBD

2.内視鏡下胆囊ドレナージ

3.PTGBA

4.凝固異常や抗血栓薬内服中の患者に対する胆囊ドレナージ

5.ENGBD とEGBS の手技

6.ENGBD かEGBS どちらが選択されるべきか

7.特殊な胆囊ドレナージ:超音波内視鏡下胆囊ドレナージ(EUS ─ GBD)

1)EUS ─ GBD の手技

2)EUS ─ GBD の成績

3)Questions

第Ⅹ章 急性胆囊炎診療フローチャート

1.第3 版で提示する急性胆囊炎診療フローチャートの作成基準

1)米国麻酔科学会による術前状態分類

2)年齢調整を含めたチャールソン併存疾患指数

3)臓器障害の種類(治療反応性臓器障害または致死性臓器障害)

2.急性胆囊炎の診療フローチャート

1)Grade Ⅰ(軽症)のフローチャート

2)Grade Ⅱ(中等症)のフローチャート

3)Grade Ⅲ(重症)のフローチャート

4)高次施設への搬送基準

第Ⅺ章 急性胆囊炎に対する外科治療─腹腔鏡下胆囊摘出術の安全な手順safe steps─

1.胆囊亜全摘術

2.開腹移行

3.Fundus first technique

4.回避手術の適応

第Ⅻ章 急性胆管炎・胆囊炎診療バンドル

第XIII章 急性胆管炎・胆囊炎バンドルチェックリスト

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書籍情報

  • ISBN:9784865172850
  • ページ数:226頁
  • 書籍発行日:2018年9月
  • 電子版発売日:2022年4月20日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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