臨牀消化器内科 2022 Vol.37 No.5 胆石症の診療方針

  • ページ数 : 122頁
  • 書籍発行日 : 2022年4月
  • 電子版発売日 : 2022年4月22日
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内容

特集「胆石症の診療方針」

胆石症はcommon disease であり,消化器の日常診療で遭遇する機会が多い.「胆石症診療ガイドライン」も発表されている.胆嚢結石に対しては腹腔鏡下胆摘術で,胆管結石に対してはERCP で治療すればよいと,肝内結石症を除けば胆石症診療はほぼ解決された分野であると考えがちである.しかし,検討・改善すべき点がまだ多い.

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序文

巻頭言


胆石症は消化器領域において最も頻度の高い疾患の一つであるとともに,プライマリケア医から高度技能医まで実にさまざまな立場で診療を担当されることから,2009年に日本消化器病学会が胆石症診療ガイドライン初版をMindsの手引き2007年版に基づいて作成した.その後の疫学調査や診療modalityの進化に伴い,2016年に「胆石症診療ガイドライン2016(改訂第2版)」が日本消化器内視鏡学会や日本胆道学会の協力のもとに改訂され,さらに進化を続ける内視鏡的治療や多様化する外科手技をもとに2021年11月に再改訂版「胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」が発表された.

本特集では,その「胆石症」の診療方針が関連疾患も含めて示されている.

1 .胆石症診療方針のあり方

胆石症の診療方針は診療ガイドラインとして広く示されている.その特徴は,具体的な診療modalityの選択において当該施設の内部環境に応じた柔軟性が担保され,実臨床の多様性に配慮されていることである.一方,その施設環境に応じた柔軟性や多様性は時に医療者にとって,その質的あるいは量的状況による制約など臨床対応(選択)のあり方を複雑にさせる問題点ともなる.診療を担当する医療者がプライマリケア医から高度技能医まで幅広いために選択の優位性も画一的ではないうえに,診療modalityが加速度的に進化するなかで,今後も引き続き,① 診療指針の課題を特定し,② その課題が惹起する不都合を想定しつつ,③ よりbetterな指針を策定するとともに,④ そのアウトカムに基づいて定期的・継続的に診療指針の改訂に努める必要がある.

2 .胆囊結石症診療方針

従来,診断については施設環境(設備など)に配慮して包括的なアルゴリズムが提唱されていたが,「胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」では従来の治療アルゴリズムと同様に,(1)胆囊結石,(2)総胆管結石,(3)肝内結石の別に診断フローチャートが策定され,「急性胆囊炎・診断フローチャート」が追加された.“無症状胆石”は経過観察,急性胆囊炎非合併では待機的胆囊摘出術を基本とするが,合併例では急性胆道炎診療ガイドラインに準じる一方,Mirizzi症候群には積極的な手術や内視鏡的治療が推奨されている.ただし,疝痛発作を繰り返すと癌合併リスクが高まることや,胆石に起因する慢性炎症に伴う胆囊変形(萎縮胆囊)や胆囊腺筋症の合併により正確な画像診断(癌との鑑別診断など)が難航する場合があることから,疝痛発作予防や発作時の対応,手術適応とならない顕著な胆囊変形例や基礎疾患を有する場合の診療方針は,今後も重要な課題である.

3 .総胆管結石症診療方針

高齢社会では総胆管結石診療のニーズは高まる一方であるが,医師不足が顕著な地域医療では“選択と集中”(医療の拠点化)が進み,医療施設の環境に応じた診療方針が現実的である.従来積極介入が推奨されてきた“無症状総胆管結石”に対して,診療現場の実情に基づく柔軟性,多様化する治療modalityやデバイス開発が,内視鏡的マネジメントの急速な変遷など総胆管結石症診療は当分の間,進化が続くと推測される.従来,急性膵炎合併や急性胆管炎併発の有無による内視鏡的乳頭括約筋切開術の要否や,腹腔鏡下手術の位置づけに焦点が当てられてきたが,「胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」ではデバイスにまで踏み込んだ指針が示されて,特殊な診療技術を前提とした高度医療機関での診療方針に軸足が置かれている.しかしながら,医療現場の実情に社会的要素を組み込んだアルゴリズムを模索するなかで,症状の有無による積極介入の推奨のあり方,再発を繰り返す場合や消化管再建例での具体的な介入modalityの推奨とその優先性など,今後も随時改訂が必要と思われる.

4 .肝内結石症診療方針

肝内結石診療は厚生労働省難病対策事業として長期間検討されており,肝内胆管癌の危険因子として慎重な経過観察が推奨される.加えて,胆道再建既往の有無,吻合部狭窄の有無,肝萎縮の有無,肝内胆管癌合併の有無などから治療アルゴリズムが提案され,高度な医療技術を有する施設での対応が推奨される.今後も疫学調査やデバイスの進化を踏まえた診療方針のupdateが望まれる.


本特集では胆囊隆起性病変・胆囊腺筋腫症や胆道ジスキネジアなどが関連疾患として取り上げられている.それらを含めて網羅的な胆石症の診療方針が取りまとめられ,読者にとって真に役に立つ特集になっていると確信している.


田妻 進
JA 尾道総合病院(〒722‒8508 広島県尾道市平原1‒10‒23)

目次

【特集目次】「胆石症の診療方針」

巻頭言:/田妻 進

1.胆石の成因と機序/大屋 敏秀

2.胆石症の診断/小川 貴央,伊藤 啓

3.胆嚢結石症の治療方針/中井 陽介

4.胆管結石症の治療方針/植木 敏晴 他

5.胆管結石の内視鏡治療/清水 孝夫,潟沼 朗生 他

6.消化管再建後の胆管結石の内視鏡治療/杉山 晴俊 他

7.胆石性膵炎/横山 健介,菅野 敦 他

8.Mirizzi症候群の診断・治療/宅間 健介,五十嵐良典 他

9.胆嚢・胆管結石症の外科治療/徳村 弘実 他

10.肝内結石症の診療方針/鈴木 裕 他

11.関連疾患

(1)胆嚢隆起性病変の診療/嘉島 賢,入澤 篤志 他

(2)胆道ジスキネジア/竹中 完 他

〔連載〕

胆膵超音波内視鏡の読み方と描出法 動画サービスあり

第2回 乳頭部の病変(後編)/肱岡 範

内視鏡の読み方

Helicobacter pylori未感染胃粘膜に発生した胃型腺腫の1例/赤澤 陽一

講座

マイクロ流体デバイス技術の消化器系臓器モデルへの応用/木村 啓志

[新連載]

消化管異物の診断と治療

小児の消化管異物/浮山 越史 他

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書籍情報

  • ISBN:9784004003705
  • ページ数:122頁
  • 書籍発行日:2022年4月
  • 電子版発売日:2022年4月22日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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