臨牀消化器内科 2022 Vol.37 No.6 内視鏡検査で 大腸癌の見落としゼロを目指して

  • ページ数 : 128頁
  • 書籍発行日 : 2022年5月
  • 電子版発売日 : 2022年5月18日
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商品情報

内容

特集「内視鏡検査で 大腸癌の見落としゼロを目指して」

本特集号の背景には、大腸癌および前癌病変の見落とし、見逃しが一定の確率で起こっていることがある。大腸がんスクリーニングの最近の話題、見落し実情から、対策まで、多くの教訓となる症例をご提示いただいた。

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序文

巻頭言


内視鏡による大腸がんスクリーニングの導入および普及が進んでいる米国では大腸癌罹患数および死亡数は減少していることから,大腸癌死を抑制するための内視鏡の介入は有益であることに疑いの余地はない.一方で,大腸内視鏡検査後に発見された大腸癌の存在が指摘されており,post‒colonoscopy colorectal cancer(PCCRC)という概念が提唱された.PCCRC は,浸潤癌や前癌病変である腺腫およびsessile serrated lesion の見逃しが主な理由であり,急速に発育した癌や内視鏡による不完全切除後局所遺残・再発からの進展なども含まれている.

大腸がんスクリーニングやサーベイランスにおける内視鏡検査の本質は,病変検出率が高く,見逃しのない精密検査である.われわれには質の高い大腸内視鏡検査を被検者に提供することが求められるが,この質は,被検者と検者(医療)側のそれぞれの要因にて決定される.前者は,被検者の前処置,個々の腸管の長さや屈曲などであり,後者は,担当検者の観察技術・知識および内視鏡機器・周辺機器という技術面が挙げられる.

最近,日本消化器内視鏡学会は「消化管内視鏡スクリーニング認定医制度」を導入するプロジェクトを立ち上げた.全国の消化管内視鏡スクリーニング検査に対する指導体制と認定制度を整備し,実臨床や内視鏡検診における安全かつ質の高い消化管内視鏡スクリーニング検査を普及させること,ひいては,消化管癌死亡率減少の実現を目的としている.2021 年度から大腸内視鏡スクリーニング検査の撮影法・診断法・医療安全等に関する講習などの活動が開始されており2022 年度に適時認定が進められる.消化管内視鏡スクリーニング認定医の育成・認定により,検者の観察技術・知識の底上げが期待されている.

一方,これまで大腸内視鏡自体にも機器としての改善・発展が望まれてきた.高画質化,光量のup がなされた最新の内視鏡システムは,白色光観察における病変の視認性および拾い上げ診断能の向上のみならず,Narrow Band Imaging(NBI),Blue LASER Imaging(BLI)などの画像強調内視鏡(image enhancedendoscopy;IEE)においても同様の向上に寄与している.さらには,最新型のLCI (Linked Color Imaging)やTXI (Texture and Color Enhancement Imaging)といった新しいIEE の登場の基盤になっている.

粘膜面をより広範囲に観察できるよう最新の内視鏡視野角は,従来のシステムのものよりも広がっている.しかし,大腸特有のひだ裏や屈曲の強い部位の観察は困難であり,浸潤癌でさえも見逃す可能性がある.そのため,内視鏡観察中には,ひだをスコープの先端で押さえつけ,管腔内空気量の微調整,スコープ反転,体位変換などの観察技術を駆使する必要がある.この観察困難性の課題を解決する目的として,複数のレンズを搭載させることにより広視野角が得られる大腸内視鏡の開発が進められてきた.われわれは,スコープ先端に従来の前方視レンズに側後方視パノラマレンズを加えた広角内視鏡の製品化に向けたプロジェクト研究開発をオリンパス社と共同で進めてきた.この構造的特徴をもつ広角内視鏡には,これら二つのレンズからの映像を一つのモニターで同時に映像化する,さらなる大きな特徴がある.また,本内視鏡には,前方送水機能,硬度可変機能,受動湾曲,高伝達挿入部,3.2 mm のワーキングチャンネル内径の確保など,スクリーニング大腸内視鏡としての機能をもち合わせている.近年,人工知能の消化器内視鏡診断領域への導入が進行中であるが,広角内視鏡においてもモニター画面が広がったことによる病変検出能の低下を防止し,さらなる検出能の向上を目的として,人工知能の補助についての開発も進められている.

本号では,「内視鏡検査で大腸癌の見落としゼロ」を目指した最新の話題について,エキスパートの先生方に執筆いただいた.読者の先生方には,大腸内視鏡検査の質について考える機会となり,今後の診療や研究に大いに役立つことと確信している.大腸がんスクリーニング制度の問題が解決し,質の高い大腸内視鏡検査を被検者に提供することによって大腸癌の罹患および死亡が減少していくことを切に願っている.


浦岡 俊夫
群馬大学大学院医学系研究科内科学講座消化器・肝臓内科学

目次

特集:内視鏡検査で 大腸癌の見落としゼロを目指して

巻頭言: /浦岡 俊夫

1.大腸癌の見落としはいつ,どうして起こるのか

(1)大腸 癌はどれだけ見落とされているのか-大腸がんスクリーニングの現状と最近のトピックス/松田 一夫

(2)大腸 内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドラインにおけるポイント-見落としゼロの観点から/斎藤  豊 他

(3)大腸 内視鏡の質を高め,維持するQality Indicaterの重要性/今井健一郎 他

(4)PCCRCと適切な大腸内視鏡検査間隔/松田 尚久 他

2.見落とさないための工夫

(1)見落としゼロを目指した前処置法/堀内 英華,玉井 尚人

(2)フードアタッチメントを用いて見落としゼロへ/寺井  毅 他

(3)大腸 内視鏡検査で見落としやすい病変とは-内視鏡検査のポイント(白色光,色素内視鏡を中心に)/岩館 峰雄,佐野 寧 他

(4)NBIによる観察で見落としゼロへ/藤井 隆広

(5)BLI/LCIによる観察で見落としゼロへ/笹部真亜沙,池松 弘朗 他

(6)AI支援で見落としゼロへ/森 悠一 他

3.見落としゼロに有用か

(1)カプセル内視鏡の立ち位置/壷井 章克,田中 信治 他

(2)大腸 CT検査の立ち位置/永田 浩一 他

4.見落とし病変と考えられた症例― 症例から学んだこと

(1)観察 不十分による見落とし症例-その要因と対策を考察する/泉  敦子,斎藤 彰一

(2)ポリ ープの経過観察中に,短期間に浸潤癌に至った早期大腸癌の1例/大津 健聖,久部 高司

(3)病変 が小さかったことが見落とし要因となった症例/原田 馨太

(4)サー ベイランス内視鏡にて進行大腸癌で発見されたPCCRCの2例/佐藤 義典,清川 博史

見落とし病変と考えられた症例のまとめ-症例から何を学んだのか/浦岡 俊夫

連載

[新連載]大腸ポリープに挑む 第1回 大腸ポリープをめぐる諸問題/松田 尚久,堀田 欣一

〔連載〕胆膵超音波内視鏡の読み方と描出法 第3回 遠位胆管病変/川﨑 佑輝,肱岡 範

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書籍情報

  • ISBN:9784004003706
  • ページ数:128頁
  • 書籍発行日:2022年5月
  • 電子版発売日:2022年5月18日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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