関節可動域制限 第2版 ―病態の理解と治療の考え方

  • ページ数 : 240頁
  • 書籍発行日 : 2013年5月
  • 電子版発売日 : 2022年5月25日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

拘縮の解明に向き合うすべての医療従事者のために、待望の改訂版!!

今なおリハビリテーション科学領域の重大な研究テーマである関節可動域制限。
第2版では、病態を筋収縮由来と拘縮由来とに明確に区分したうえで、治療に難渋する拘縮のみを、皮膚、骨格筋、靱帯、関節包といった関節周囲軟部組織の器質的変化について網羅的に深く掘り下げて解説。新たな試みとして、筋性拘縮については分子レベルで発生メカニズムの解明にもチャレンジした。さらに、新たに概念の見直しが行われている痛みについても取り上げており、拘縮発生の主要因でもある不動(immobilization)そのものが痛みにどのような影響を及ぼすのか、このような痛みが関節可動域制限にどう影響し、その治療を進めるうえでどのような点に留意すべきかについて解説した。
初版の内容を精査・整理し直すとともに、5年間で蓄積した新たなデータに基づいた知見を紹介し、関節可動域制限の各種病態に対する治療効果の検証と治療戦略を語る。

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序文

第2版の序


2008年1月に初版『関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方』を発刊して,早いもので5年の月日が経過した.おかげさまで,初版は理学療法士・作業療法士といったリハビリテーション専門職者の方々のみならず,医師や看護師,柔道整復師,介護福祉士の方々など,多くの医療・福祉専門職者にご愛読頂き,また,学会や講演会などのさまざまな場面で本書に関する貴重なご意見を頂き,改めて関節可動域制限の治療の難しさを痛感している次第である.そして,研究面においても本書に関連したテーマはこれまでに6度にわたる科学研究費補助金の助成を受けてきたが,このことは関節可動域制限が今なおリハビリテーション科学領域の重要な研究テーマであることを物語っているといえよう.幸い主宰する研究室においてはこのような多くの研究助成の結果,研究設備といったハード面の充実が図られ,初版発刊のころまでは着手することができなかった網羅的な関節周囲軟部組織の検索が可能となり,一部の組織については分子レベルにまで及んだ検索が開始されている.そこで今回,初版の内容を精査・整理し直すとともに,新たな知見を紹介し,関節可動域制限,なかでもその主原因となっている関節拘縮(以下,拘縮)について,病態や発生メカニズムをこれまで以上に知っていただきたいという思いから第2版を発刊することとなった.

第2版の特徴は,第1章で関節可動域制限の病態を筋収縮に由来するものと拘縮に由来するものに明確に区分したうえで,第2章において治療に難渋する拘縮のみを取り上げ,その原因となりうる皮膚・骨格筋・靱帯・関節包といった関節周囲軟部組織の器質的変化を網羅的に解説している点にある.そして,初版発刊以降の5年間で蓄積した新たなデータについては適宜アップデートしており,なかでも皮膚性拘縮の知見については国内外でも初めての紹介になるのではないかと思っている.加えて,これまで本研究室で最も精力的に検索を進めてきた筋性拘縮については,分子レベルにまで掘り下げて発生メカニズムの解明にチャレンジしている.最後に,第3章においては初版同様に関節可動域制限の各種病態に対する治療効果の検証を試み,その治療戦略はどうあるべきかを私見も交えながら解説している.また,この中では最近,概念そのものの見直しが行われている痛みについても取り上げており,拘縮発生の主要因でもある不動(immobilization)そのものが痛みにどのような影響を及ぼすのか,このような痛みが関節可動域制限にどう影響し,その治療を進めるうえではどのような点に留意すべきかなども紹介している.このように第2版は章の構成に加え,その内容についても初版から大幅にバージョンアップしたものになったのではないかと自負しており,関節可動域制限の治療やそのケアにあたられる専門職者の方々の知識の整理に少しでもお役に立てば幸いである.

さて,先にも述べたが多くの研究助成の結果,本研究室のハード面の充実を図ることができたが,実はこれだけではなくこの5年間で本研究室の状況は大きく変化してきた.具体的には,初版を発刊した2008年1月においては勤務する長崎大学には大学院修士課程しか開設されておらず,着任して間もないこともあって本研究室所属の修士大学院生は1名しかいなかった.しかし,その後は毎年数名の学生が入学し,現在までに8名の学生が修了し,4名の学生が在学中である.また,本学の念願であった大学院博士課程が2010年に開設され,本研究室はリハビリテーション科学講座運動障害リハビリテーション学分野を担当することとなり,現在10名の学生が在学している.加えて,6名の研究協力員を受け入れており,本研究室に所属するメンバーは常時20名を超える大所帯となっている.そして,このように多くのマンパワーに恵まれたことが第2版の発刊につながったことはいうまでもなく,研究室のメンバー全員に感謝の意を表したい.そして,その中でも初版から引き続いて執筆を引き受けて頂いた中野治郎氏,坂本淳哉氏,片岡英樹氏においてはスーパーバイザーとして本研究室の若手メンバーの指導にも尽力いただいており,ここに改めて感謝申し上げる.また,今回新たに執筆に加わっていただいた近藤康隆氏と本田祐一郎氏は大学院での研究成果を中心にまとめていただき,研究室のメンバーの中の後藤響氏と佐々部陵氏にはそれぞれ皮膚性拘縮と関節性拘縮に関するデータを提供していただいている.いずれも本書のバージョンアップには欠かせない内容であり,ここに御礼申し上げる.加えて,私個人として喜んでいることは今回の執筆者全員が教え子であるという点であり,教員冥利に尽きると言っても言いすぎではないように思っている.

最後に,第2版の発刊を強く薦めていただくとともに多大なご協力を賜りました三輪書店の青山智代表取締役ならびに企画から製本までご尽力いただいた編集室の濱田亮宏氏,中里亮子氏に深く御礼申し上げたい.そして,いつも影ながら応援してくれている家族に感謝する次第である.


2013年3月吉日

沖田実

目次

第1章 関節可動域制限の基礎

第1節 関節可動域制限とは / 沖田 実

1.関節可動域制限の発生状況の実態

2.関節可動域制限の発生要因

3.関節可動域制限の定義と分類

第2節 関節の構造と機能 / 坂本淳哉

1.皮膚の構造と機能

2.骨格筋の構造と機能

3.靱帯の構造と機能

4.関節包と滑液の構造と機能

5.関節軟骨の構造と機能

第3節 関節可動域制限の病態 / 沖田 実

1.筋収縮に由来する関節可動域制限

2.拘縮に由来する関節可動域制限

第2章 拘縮の病態と発生メカニズム

第1節 拘縮の実験動物モデル / 本田祐一郎

1.拘縮の病態を探るうえでの動物実験の意義

2.外固定法を用いた実験動物モデル

3.内固定法を用いた実験動物モデル

4.臨床でのシミュレーション

第2節 皮膚の変化に由来した拘縮 / 中野治郎

1.皮膚の構造とその伸張性

2.皮膚疾患と拘縮

3.不動による皮膚の変化

第3節 骨格筋の変化に由来した拘縮 / 片岡英樹・沖田 実・本田祐一郎

1.骨格筋の構造とその伸張性

2.不動による骨格筋の筋長ならびに伸張性の変化

3.不動による筋線維の変化

4.不動による筋膜の変化

第4節 靱帯の変化に由来した拘縮 / 片岡英樹

1.靱帯の構造とその伸張性 

2.不動による靱帯の変化

第5節 関節包の変化に由来した拘縮 / 中野治郎

1.関節包の構造とその伸張性

2.不動による関節包の変化

3.外科術後や関節内外傷後の拘縮

第6節 その他の関節構成体の変化が関節可動域制限に及ぼす影響 / 坂本淳哉

1.不動によるその他の関節構成体の変化

第3章 関節可動域制限に対する治療の考え方

第1節 関節可動域制限に対する治療効果の検証 / 中野治郎・近藤康隆・沖田 実

1.筋収縮に対する治療効果

2.拘縮に対する運動療法(ストレッチング)の治療効果

3.拘縮に対する物理療法の治療効果

第2節 関節可動域制限に対する治療戦略 / 沖田 実

1.関節可動域制限の発生・進行に関する悪循環

2.関節可動域制限の治療の考え方

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書籍情報

  • ISBN:9784895904353
  • ページ数:240頁
  • 書籍発行日:2013年5月
  • 電子版発売日:2022年5月25日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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