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Prostate Journal 2022年4月号(Vol.9 No.1)【特集】前立腺癌を対象にした最新の基礎研究─トランスレーショナルリサーチによる未来予想図─

  • ページ数 : 116頁
  • 書籍発行日 : 2022年4月
  • 電子版発売日 : 2022年6月22日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

特集 前立腺癌を対象にした最新の基礎研究─トランスレーショナルリサーチによる未来予想図─
1.前立腺癌AI 研究のあゆみ/2.リキッドバイオプシーによる前立腺がん治療のprecision medicine/3.ctDNA によるバイオマーカー探索 ほか

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序文

序文

前立腺癌の薬物治療の進歩にはめざましいものがあり,新規ホルモン薬(ARAT)が初発の転移性前立腺癌に使用可能となったことやPARP 阻害薬の保険収載は大きなインパクトがありました。BRCA1/2 変異陽性患者におけるPARP 阻害薬の治療は泌尿器科におけるゲノム医療の幕開けと言えます。ゲノム医療におけるFoundationOne Ⓡ CDx の使用は体細胞変異の頻度が高い前立腺癌において頼りになるツールですが,生検標本が得られない場合や,検体が古くて良質のDNA が採取できない場合は血液を採取し,生殖細胞系列のみの検出を対象としたBracanalysis を使用せざるを得ませんでした。2021 年5 月にはcfDNAによるリキッドバイオプシーFoundationOne Ⓡ Liquid CDx が承認され,ゲノム診断は新たな局面に入りました。

次世代シークエンサーを用いた遺伝子パネルの検査はまさに臨床現場に入り込んだ基礎研究ではないでしょうか。リキッドバイオプシーを身近に感じていただくため,包括的理解を目指して,CTC(永田先生),ctDNA(赤松先生),エクソソーム(占部先生)に分けて解説いただきました。ctDNA ではエピゲノムの変化も解析可能であり,Neuroendocrine prostate cancer(NEPC)の診断における可能性も言及されています。薬剤耐性にエピゲノムの関与も示唆されています(小村先生)。ARAT の登場の光と影といってもいいかもしれません。NEPC がCastration resistant prostate cancer(CRPC)治療における壁となりつつあります。NEPC の分子異常として,p53 とpRB の変異は必要十分条件ではないこと,治療誘導型のNEPC はさらに分類可能であり,臨床試験が行われているDLL3 に対する効果にも関連しているようです(安水先生)。フェノタイプを変化させる背景には転写因子の関与が欠かせません。そもそもAR 自体が転写因子であり,誘導する遺伝子を変化させています。CRPC への進行に伴い,協調して働く転写因子群がpioneer factor と呼ばれるFOXA1 に加え,Myc,E2F,STAT などの寄与が報告されています。NEPC への変化においてはOnecut2(OC2)が注目され,標的とする薬剤の開発がされています。AR の変異だけでなく,FOXA1 の変異によるNEPC への変化も注目されています(高山先生)。

NEPC への変化には間質寛容系細胞も関与しているかもしれません。最も注目されているのはCAF でしょう。CAF に含まれるマイクロRNA が治療抵抗性に関与している可能性,CAF におけるTGF-b 受容体の一部であるCD105 がNEPC への変化に関与している可能性があり,中和抗体carotuximab が注目されています(橋本先生)。

がん細胞の遺伝子変化をバイオマーカーとして展開されるゲノム医療とならび,免疫チェックポイント阻害薬の登場とともに注目されているのが,癌微小環境です。ここで,前立腺癌特有の課題,つまり,ホルモン環境が想起されます。テストステロン(T)値は男性の「男らしさ」を規定するだけではなく,薬剤の治療反応性に関連し,組織内のT 値も予後因子となりうることが示されています(新井先生)。この個人差はステロイド代謝関連遺伝子多型との関連が予想されます(塩田先生)。個別化医療の一つの方向性かもしれません。

このように各章が有機的に繋がっています。AI による診断(赤塚先生),PDX 作成によるバイオマーカー探索(大日方先生),プロスタグランジン(宮田先生),LAT1(裵先生)の関与,そしてドラッグリポジショニング(本郷先生)についても理解を深めていただきたいと思います。来るべき前立腺癌治療の未来予想図を基礎研究の最新の成果から描いていただければ幸いです。


大家 基嗣
慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室

目次

特集 前立腺癌を対象にした最新の基礎研究─トランスレーショナルリサーチによる未来予想図─

序文

 慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室 大家 基嗣

1.前立腺癌AI 研究のあゆみ

 日本医科大学泌尿器科 赤塚 純

2.リキッドバイオプシーによる前立腺がん治療のprecision medicine

 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 永田 政義

3.ctDNA によるバイオマーカー探索

 京都大学大学院医学研究科泌尿器科学講座 赤松 秀輔

4.前立腺癌エクソソームによる癌の転移促進機構の解明と治療応用の可能性

 東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座 占部 文彦,他

5.前立腺癌における血中・組織ステロイドの代謝と薬剤感受性

 群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学 新井 誠二,他

6.前立腺癌におけるステロイド代謝関連遺伝子多型と治療感受性

 九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 塩田 真己

7.前立腺癌患者由来組織移植モデル(Patient-derived xenografts:PDX)樹立とその活用

 日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野 大日方大亮,他

8.骨転移におけるプロスタグランジンE2 の病理学的意義

 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器科 宮田 康好,他

9.アミノ酸トランスポーターLAT1 の新規治療

 千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学 裵 祥存,他

10.癌微小環境と癌関連線維芽細胞の役割

 札幌医科大学泌尿器科学講座 橋本 浩平,他

11.前立腺癌の薬剤耐性化に関連する転写因子の作用機構

 東京都健康長寿医療センター研究所老化機構研究チームシステム加齢医学 高山 賢一

12.神経内分泌がんにおける脱分化制御機構

 慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室 安水 洋太,他

13.エピジェネティクス制御機構破綻と前立腺がん腫瘍合成致死療法の可能性

 大阪医科薬科大学医学部泌尿生殖・発達医学講座泌尿器科学教室 小村 和正,他

14.前立腺癌に対するドラッグリポジショニング研究

 練馬総合病院泌尿器科 本郷 周

座談会

リムパーザの登場によりmCRPC の個別化治療はどこまで進んだか

 司会:鈴木 和浩

 討議参加者:井上 貴博,加藤 真史,三好 康秀

連載 症例から学ぶ専攻医のための前立腺知識

押さえよう!重要なエビデンス

転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC:metastatic castration-resistant prostate cancer)

Part 2

 JCHO 東京新宿メディカルセンター泌尿器科 赤倉功一郎

総説

前立腺上皮細胞における過酸化脂質還元酵素glutathione-peroxidase(GPx1)の誘導─ラット前立腺背側葉を用いた実験病理学的アプローチ─

 あすか製薬株式会社:村越 正典

臨床研究

BPH/LUTS に対するPDE5 阻害剤先行投与後のβ3 作動薬追加投与についての検討

 札幌医科大学医学部泌尿器科学講座 小林 皇,他

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書籍情報

  • ISBN:9784865174724
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:2022年4月
  • 電子版発売日:2022年6月22日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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