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  • 実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ フロントランナー直伝 相分離解析プロトコール~今すぐ実験したくなる、論文にはないコツや技

実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ フロントランナー直伝 相分離解析プロトコール~今すぐ実験したくなる、論文にはないコツや技

  • ページ数 : 247頁
  • 書籍発行日 : 2022年7月
  • 電子版発売日 : 2022年7月15日
¥7,920(税込)
ポイント : 144 pt (2%)
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商品情報

内容

「これって相分離?」と悩むあなたに.精製やイメージング,動態評価,定量解析など,実績ある先駆者たちによる細胞内外での解析プロトコールを結集.さらに頻発トラブルへの対応もQ&A形式で多数掲載!

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序文


2010年頃,RNA顆粒タンパク質であるFUSのlow-complexityドメイン(LCD)を単離・精製した後,濃縮して一晩冷蔵庫においておくと相転移してハイドロゲルになっていました.構造をもたないと考えられていたLCDが,ボイルしなくてもゆで卵のように固まってしまうことに驚きました.文献を検索してみると,マックスプランクのGörlichらが,核膜孔タンパク質のLCDであるフェニルアラニン-グリシン(FG)リピートドメインがハイドロゲルを形成し,核膜孔の分子拡散バリアとして働いているのではないかという論文を2006年Scienceに発表していました.FUS LCDのアミノ酸配列を眺めていると,同じ芳香環を側鎖にもつチロシンがグリシンやセリンに挟まれて([S/G]Y[S/G] モチーフ)27回もくり返し出現していることに気づきました.全く関係がないと思われる2種類のタンパク質のLCDが,同じようなくり返し配列をもち,同様にハイドロゲル化する.そこには何か生物学的に普遍的なメカニズムが潜んでいるのではないかとの思いが,2012年のRNA顆粒とLCDの相転移(ハイドロゲル化)についてのCellの論文となりました(Kato M,et al:Cell, 149:753-767, 2012).

RNA顆粒などの膜をもたない細胞内構造体が発見されてから100年以上が経ちます.長い間,“仕切り”をもたない構造体が形成・維持されるメカニズムの解明については,誰も手をつけることができませんでした.これとは別に,構造をもたないLCDの機能・作用機序を解明することも,長年避け続けられてきた課題でした.しかし,前述の2012年の報告がこの2つの課題を結びつけたとたん,一気に研究が進みはじめました.病気を引き起こす原因タンパク質が同定されると,その病原機構解明や治療法開発研究が格段と促進されるように,相転移・相分離を引き起こす分子がわかると,分子レベルでのアプローチが可能になり,現在の細胞内相分離分野の勃興へとつながりました.本書は,そんな黎明期の相分離分野に興味をもつ学生・研究者が,すぐにでも実験をはじめたくなるようなプロトコール集をめざして編集されています.このプロトコール集が一助になって,日本の相転移・相分離生命科学がますます発展することを期待します.

最後に,ご多忙の中,執筆を快く引き受けていただきました執筆者の方々に心よりお礼申し上げます.また,本書の企画・構成・編集にあたり,北海道大学 中川真一さんと筑波大学 白木賢太郎さんに共同編者として協力していただきました.お二人の協力なしには,ここまで多くの素晴らしい執筆者の方々に執筆いただけなかったのは明白で,ここで深く感謝申し上げます.私の遅筆に最後まで文句も言わずお付き合いくださった羊土社編集部の方々にも心よりお礼申し上げます.


2022年6月

編者を代表して
加藤昌人

目次

序[加藤昌人]

レビュー編

Ⅰ.概論

1 群れることの意味─非膜オルガネラの生理機能[春田奈美,中川真一]

Ⅱ.基礎知識

2 アミノ酸溶液とタンパク質溶液の基本的な性質[白木賢太郎]

3 Low-complexity配列による相分離・相転移機構[加藤昌人]

4 細胞内相分離におけるRNAの役割[山崎智弘,廣瀬哲郎]

プロトコール編

Ⅰ.in vitro(細胞外)

1 精製Atgタンパク質を用いたin vitro液滴形成と蛍光観察[藤岡優子]

2 精製FUSによる相分離の顕微鏡観察と温度依存性解析[吉澤拓也]

3 DNA/タンパク質相分離の再現実験[冨田峻介,三村真大]

4 人工細胞中での相分離観察[柳澤実穂,本田 玄,渡邊千穂]

5 リコンビナントlow-complexityドメインの精製法[加藤昌人]

6 ハイドロゲル結合実験によるlow-complexity配列の線維形成能の評価[加藤昌人]

7 Low-complexity配列に特異的に作用する低分子化合物 ~biotinylated isoxazoleと1,6-hexanediol[加藤昌人]

8 ラマン顕微鏡による相分離の定量解析[梶本真司,柴田大輝,中林孝和]

Ⅱ.in vivo(細胞内)

9 細胞内液滴の形成観察とFRAPによる動態観察[安田さや香,遠藤彬則,佐伯 泰]

10 低酸素条件下で形成する代謝酵素集合体の観察[三浦夏子]

11 タンパク質クラウディング状態の蛍光プローブによる測定[吉村成弘]

12 SNAP-tagを用いた一分子イメージング法[伊藤由馬,斉藤典子]

13 近位ビオチン標識法[栗原美寿々]

14 観察した液滴の画像解析による定量評価[渡邊謙吾]

15 過剰発現が引き起こす相分離構造と細胞毒性の評価[難波匠太郎,守屋央朗]

16 オプトジェネティクスによる相転移の操作[浅川和秀,半田 宏,川上浩一]

Ⅲ.in silico

17 液滴研究に関連したデータベースと解析プログラム[安保勲人,小澤侑平,太田元規,福地佐斗志]

発展編

1 CARS顕微鏡 ~Lipid dropletsからLiquid dropletsの可視化へ[加納英明]

2 新たな液中走査電子顕微鏡の開発と生物試料の直接観察[小椋俊彦]

3 中性子散乱[中川 洋,松尾龍人]

4 放射光円偏光二色性分光法による液 ‐ 液相分離の観測[藤井健太郎]

5 分子シミュレーションで理解する相分離のメカニズム[Cheng Tan,新津 藍,依田隆夫,杉田有治]

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書籍情報

  • ISBN:9784758122597
  • ページ数:247頁
  • 書籍発行日:2022年7月
  • 電子版発売日:2022年7月15日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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