ICUとCCU 2020年2月号(Vol.44 No.2)【特集】敗血症Up to date 2020

  • ページ数 : 60頁
  • 書籍発行日 : 2020年2月
  • 電子版発売日 : 2022年9月21日
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内容

特集 敗血症Up to date 2020
敗血症の病態生理Up to date:炎症と免疫・免疫麻痺/敗血症の定義と診断Up to date:sepsis-3 の光と影/敗血症における抗菌薬療法:Up to date ほか

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序文

特集にあたって


敗血症は感染症を契機としているが,単なる感染症というよりは複雑な宿主の生体反応による負の連鎖により臓器障害が進行していく病態である。近年,病態の解明が飛躍的に進みつつあり,ガイドラインの普及も相まって,治療成績も向上している。今回は,敗血症Up to date 2020 として,病態生理から各種臓器障害,治療法などについて,最新の内容を織り込んで解説して頂いた。

執筆者は,それぞれの分野のトップランナーのうち,あえて,現在作成中の日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)の委員以外の先生方にお願いした。ガイドラインの内容にとらわれることなく,それぞれの執筆者の立場から,最新の知見を紹介して頂くためである。

炎症と隣り合わせの免疫麻痺の病態は複雑でありその制御は大きな課題である。敗血症の病態生理として,炎症と免疫・免疫麻痺の視点から,渡邉栄三先生にご解説を頂いた。敗血症の定義と診断がSepsis-3 に代わったが,実際はどうなのか,現場への影響は,小児はどうするのかなど,気になるところを中川 聡先生に解説を頂いた。敗血症の基本は全身管理と抗菌薬療法である。1 時間バンドルの妥当性は?抗菌薬適正使用から見た時の見解は?など,意見の分かれるところである。抗菌薬療法を佐々木淳一先生にご解説を頂いた。

初期蘇生においては,EGDT の有用性が否定され「金貨玉条」を失った感がある。敗血症性ショックの病態が解明されるにつけ,理論的なアプローチも見えてきている。敗血症性ショックの病態と初期蘇生について,鈴木武志先生にご解説を頂いた。症候群では,単一の治療の有効性が証明されづらいという側面が指摘されてきていた。これらに対し,近年,フェノタイプに分類し,より適切な治療法を見つけようとする試みが進化してきている。先駆け的な取り組みとして,敗血症性ARDS を例に,宮下亮一先生に解説を頂いた。

輸液管理や病態の進行に関与している自発呼吸の弊害などについても述べられている。急性腎障害(AKI)は,敗血症ではよくみられる病態であるが,他の原因のAKI と比べ病態生理学的に異なるとされ,その管理も異なる。敗血症性AKI の病態と管理について,小坂順子先生にご解説を頂いた。

生体防御としての凝固線溶系システムは感染防御の観点からも重要である。敗血症での臓器障害のメカニズムにこのシステムの暴走が関与していると考えられる。敗血症性DIC の病態と管理について,石倉宏恭先生にご解説を頂いた。

この原稿を書いている段階では,J-SSCG2020はまだ公開されてはいないが,委員で担当理事である私は,委員会でされた議論や推奨の方向性を知っている。今回の特集で執筆して頂いた内容と比べると大変興味深い。J-SSCG2020 は,近日中に公開される。また,国際版のSSCG2020 も2021年初頭には公開される予定である。読者の皆様もこれらを合わせ読むことで,より立体的に見えてくるものもあるであろう。


西田 修
藤田医科大学医学部麻酔・侵襲制御医学講座

目次

特集:敗血症Up to date 2020

特集にあたって

西田  修

敗血症の病態生理Up to date:炎症と免疫・免疫麻痺

渡邉 栄三

敗血症の定義と診断Up to date:sepsis-3 の光と影

中川  聡

敗血症における抗菌薬療法:Up to date

佐々木淳一

敗血症性ショックの病態と初期蘇生Up to date

鈴木 武志

敗血症性ARDS の管理Up to date 〜フェノタイプ(phenotype)の観点から〜

宮下 亮一・小谷  透

敗血症性急性腎障害の病態と管理Up to date

小坂 順子

敗血症性DIC の病態と管理Up to date

石倉 宏恭

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書籍情報

  • ISBN:9784865173611
  • ページ数:60頁
  • 書籍発行日:2020年2月
  • 電子版発売日:2022年9月21日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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