ガイドラインにないリアル糖尿病薬物療法をガイドする

  • ページ数 : 288頁
  • 書籍発行日 : 2022年11月
  • 電子版発売日 : 2022年10月19日
¥5,170(税込)
ポイント : 94 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

ガイドラインで標準化されていない「よくある」「まれな」事例に、どう対応する?

「文献が少なくてどうしたらいいかわからない」 「対応しきれているか不安」
糖尿病患者をとりまくさまざまな病態・合併症、臨床での困りごとにフォーカスした40項目をエキスパートたちが解説!糖尿病診療のリアルワールドをもとにした一冊。

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

序文


読者の皆さんは,医学生時代に糖尿病という病気をどう捉えていただろうか。私が医学生であったころ,糖尿病という病気は,75gブドウ糖負荷試験を用いた診断基準も確立しており,診断が単純明快な病気だと思っていた。治療についても食品交換表を用いた食事療法があり,それを順守することが大切だと教わった。その当時は,糖尿病の経口薬はSU薬とビグアナイド薬の2種類しかなく,ビグアナイド薬はSU薬の補助的な役割でしかなかった。ところが,医師になって外来や病棟で糖尿病患者と接すると,診断は簡単だが治療は非常に難しいことを痛感した。

大学の研修医になり,「根拠に基づく医療」(Evidence‒based medicine:EBM)1)というのが出てきた。EBMが発表された1991年以前は臨床家の勘や経験で糖尿病薬の選択は行われていた。現在では,糖尿病の経口薬は9種類,注射薬は2種類と治療の選択肢が格段に増え,診療ガイドラインも充実してきた。これらの診療ガイドラインを適切に利用することで,臨床的な判断や治療が効率化し,患者アウトカム2)の向上も期待できる。私自身も日本だけでなく,ADAやEASDの診療ガイドラインを参考にして,まれな病態に関しては文献をその都度,検索してきた。しかし,日本で標準化されたガイドラインが示されていない,よくある病態や,まれな糖尿病にどう対応するのか,まとまった本があればと考えていた。

リアルワールドで糖尿病をみていると,十人十色,百人百様の糖尿病がある。我々が目にする診療ガイドラインは,あくまでも一般論である。Eddyによると,ガイドラインが適応できるのは60~95%の患者にとどまり,95%以上の患者に適応されるのが「スタンダード」で,50%ほどの患者には一般的な推奨とは異なる「オプション」が適用されるとしている3,4)。つまり,リアルワールドの糖尿病診療はオプションだらけかもしれない。そこで,私自身が読んでみたい本を作ることにした。「第1章 基本的な病態をガイドする」(20項目)ではよくみる2型糖尿病からまれな病態を呈する糖尿病を網羅した。この章を読んでいただければ,最新の糖尿病治療を知ることができる。もしかすると,すでにまれな疾患に出会っていたことに気づくかもしれない。「第2章 合併症をガイドする」(8項目)では,糖尿病が長期にわたることで起こる糖尿病合併症の処方のコツについてレビューやメタアナリシスを元に,その道の専門家に執筆していただいた。「第3章 特殊な病態をガイドする」(12項目)では,通常の診療ガイドラインで網羅されていないことに触れている。それぞれの章については,読者が読みやすいように,病態の概念,治療の方針,レビュー・メタアナリシス・ガイドライン,薬物療法の選択と投与法,副作用への配慮,患者への説明で構成されている。薬物療法の選択法だけでなく,患者への説明法についても触れられているので現場で用いやすいことと思う。本書を読んでいただければ,ガイドラインにないリアル糖尿病に対する自信が高まることを確信している。


2022年9月

坂根 直樹


【文献】

1) Gambazza S:Evidence‒Based Medicine:Can We Trust the Evidence Informing Clinical Practice? J Allied Health 47:296‒299, 2018

2) Ritschel M, Kuske S, Gnass I, et al.:Assessment of patient‒reported outcomes after polytrauma‒instruments and methods:a systematic review.BMJ Open 11:e050168, 2021

3) Eddy DM:Clinical decision making:from theory to practice. Designing a practice policy. Standards, guidelines, and options. JAMA 263:3077, 1990

4) Nakayama T, Budgell B, Tsutani K:Confusion about the concept of clinical practice guidelines in Japan:on the way to a social consensus. Int J Qual Health Care 15:359‒360, 2003

目次

第1章 基本的な病態をガイドする

1 小児1型糖尿病

2 成人1型糖尿病の病態と治療

3 劇症1型糖尿病

4 緩徐進行1型糖尿病

5 高齢1型糖尿病

6 小児2型糖尿病

7 成人2型糖尿病

8 肥満を伴う2型糖尿病

9 ASCVD 合併2型糖尿病

10 高齢2型糖尿病

11 妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠

12 ステロイド糖尿病

13 免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病

14 脂肪萎縮症

15 高インスリン血性低血糖症

16 インスリン抵抗症(インスリン受容体異常症)

17 インスリン自己免疫症候群

18 ミトコンドリア糖尿病(MIDD)

19 若年発症成人型糖尿病(MODY)

20 胃切除後反応性低血糖

第2章 合併症をガイドする

21 神経障害

22 糖尿病網膜症

23 糖尿病性腎症

24 糖尿病性足潰瘍

25 認知症・軽度認知障害

26 重症低血糖

27 夜間低血糖の管理

28 無自覚低血糖

第3章 特殊な病態をガイドする

29 多囊胞性卵巣症候群

30 摂食障害を伴う1型糖尿病

31 検査前の薬物管理

32 災害時の薬物療法

33 経済的困窮者の薬物療法

34 COVID‒19 禍での糖尿病診療

35 暁現象

36 インスリンボール

37 運動時のインスリン調節

38 ラマダン中の糖尿病管理

39 イメグリミン

40 糖尿病に対する外科治療(減量・代謝改善手術)

薬剤一覧

索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:11.4MB以上(インストール時:29.6MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:45.7MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:11.4MB以上(インストール時:29.6MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:45.7MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784880029207
  • ページ数:288頁
  • 書籍発行日:2022年11月
  • 電子版発売日:2022年10月19日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。