写真でわかる看護現場で行う医療安全行動 アドバンス

  • ページ数 : 336頁
  • 書籍発行日 : 2022年9月
  • 電子版発売日 : 2022年10月26日
¥4,290(税込)
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商品情報

内容

最前線の看護現場で“習慣として身につける”べき医療安全行動を実践的に解説!

医療事故を起こさないよう心がけていても、現場で“行動として実践されない”のは、確実に行うべき医療安全行動が“習慣として身についていない”から――。
本書は、医療安全の基本行動から日々の診療や患者の生活に関する安全行動、有事への備えと対応、組織としての危機管理まで、最前線の看護現場で習慣化して行うべき医療安全行動の実際を、写真・動画・イラストでわかりやすく紹介しています。
新人看護師・看護学生から管理者まで、幅広く活用いただける、医療安全行動の実践書です。

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序文

まえがき


1999年から2000年にかけて、日本の医療界を揺るがす重大事故が、公的病院や特定機能病院等で発生しました。当時、病院の看護部長であった私は、1999年6月総会を経て、日本看護協会(現公益社団法人日本看護協会)の常任理事になりました。当時、マスコミや一般の人々は、医療現場をよく理解しておらず、事故後にその経過を聴くことから、“単純な間違いを犯すのは専門家として注意が足りない、刑事責任を取らせるべき”と認識していました。実際に、医師や看護師が刑事裁判を受けて、有罪(執行猶予付)となりました。

私は、理事として「看護管理者のためのリスクマネジメントガイドライン」を作成して、看護協会会員が所属する医療施設等へ配布しました。また、1週間のリスクマネジャー養成研修を2年間継続して開催し、計2週間の研修を終えた現場の看護管理者約400名のリスクマネジャー養成研修修了者を誕生させました。医療現場のリスクマネジメントガイドラインやリスクマネジャー養成は日本では初めてでした。

2001年6月の理事辞任まで、医療安全に係る研究を行いました。事故当事者となる看護職は、24時間を交替制で働く中、時間切迫と多重業務に迫られてヒューマンエラーを起こしていることが明らかになり、講義や雑誌への投稿によって現場の医療者に伝えました。

2005(平成17)年には、「医療の質・安全学会」設立メンバーとして学会を設立し、理事となり、2008年11月には第3回の学術集会を横浜で開催しました。学会では、設立当初から“ネットワーク委員会”を設置し、現場の医療安全管理者の参加を得て、現場で実現可能で確実な医療安全行動を検討してきました。初代委員長を私が務め、2代目委員長が寺井美峰子氏(北野病院看護部長)です。今年(2022年)、17回目の学術集会を迎えますが、その大会長が、寺井理事です。本書の著者の多くは、そのネットワーク委員会で共に医療安全行動を検討した仲間で、その成果に基づくものが紹介されています。

1999年の重大事故発生以降、厚生労働省には「医療安全推進室」が設置され、医療事故防止のための研究も進みました。現場の医療者も事故を起こさないよう安全行動の実施を心がけています。しかし、相変わらず医療者のエラーによる事故は起こり続けています。

この度発行する本書は、この間に明らかになった現場で習慣化して行うべき“医療安全行動”について、写真と動画を使ってわかりやすく紹介しています。本書が現場の医療者と患者の安全確保のために役立つことを願っています。


2022年7月吉日

岩手医科大学 名誉教授
嶋森好子


医療安全元年と言われる1999年、私は小児病棟の看護師長でした。病棟には退院の近い患児がいました。児は継続的に経鼻栄養チューブで栄養補給が必要でした。児のお母さんは在宅で必要な経管栄養や吸引の手技と観察の指導を受け、いよいよ明日は退院という日に、お母さんは誤って抗生剤の点滴のルートに注入用のミルクを繋ぎ、注入直前に看護師が気付いて最悪の事態は免れました。しかし、このお母さんのショックは計り知れず、退院の話は断ち切れ、その後児は病気の悪化で亡くなりました。

また、2000年4月、東海大学病院で「経管栄養チューブに注入すべき内服薬の溶解液を点滴の三方活栓に誤注入した」事件、その後も看護師が経管栄養チューブの誤挿入に気付かず、栄養剤を肺や気道に注入し行政処分を受けるという事件が3件続きました。私は危険な経管栄養の手技をどうにかしなければいけないとの思いが強くなり、2004年に「医療安全全国共同行動」の中の「3a経管栄養チューブ挿入時の位置確認の徹底」として、経管栄養チューブの挿入・留置手技に伴う有害事象とこれに起因する死亡事故の防止の推奨対策の普及活動に参加することになりました。しかしながら、医療安全に関する正しい手技や手順はわかっていても現場ではなかなか行動として実践してもらえないジレンマを感じました。医療安全行動を習慣として身に付け普及を図るためには、誰でもマネしやすいように写真や動画でわかりやすくすることが大切であることを実感し、本書の制作を提案しました。

本書の制作が計画されたのは、COVID-19が発生する前でしたが、2020年から、現場ではクラスター発生により日々働く看護職がいなくなり、他県の看護職が応援に駆け付け支援活動を行ったり、自衛隊の医療班が病院の看護支援に入るなど、日本の病院の危機管理体制の不備も明らかになりました。そこで急遽、感染対策、災害対策、有事への備え、労務管理等も追加しました。また、新人看護師や看護学生が理解を深められるように、COVID-19への看護現場の支援に全国を駆け巡っていた上原さゆり氏(元東京都看護協会危機管理室所属)に編集協力を依頼しました。彼女は複雑なことを図式化するなど、シンプルでわかりやすく、連続性のある構造の書籍になるよう、こだわってくれました。上原さんの多大なご尽力で本書の完成をみることができました。本当にありがとうございます。

そして、本書の完成に向けて最後までご支援を下さいました、インターメディカの赤土正明社長と編集の橋本尚子さん・柴田彩瑛さん、医療の質・安全学会のネットワーク委員会の皆様のご協力に感謝申し上げます。また、撮影施設として快諾いただきました、JCHO東京新宿メディカルセンター、東京都看護協会等、各施設および職員の皆様には心から御礼申し上げます。多くのスペシャリスト医師や技術者の皆様方のご助言やアドバイス、ご協力で本書が完成できましたことを、著者を代表し重ねて深謝申し上げます。


2022年7月吉日

前東京都看護協会 会長
富山福祉短期大学 看護学科 教授
山元恵子

目次

CHAPTER.1 基本行動

1 医療安全の基本

日本における医療安全対策の流れ/人はなぜ間違えるのか/医療安全の基本的な考え方/安全文化の醸成

2 情報とコミュニケーション

医療安全におけるコミュニケーションの重要性/安全な医療を提供するために/患者参加/社会におけるコミュニケーション

【Web動画:SBAR、Two-Challenge Rule】

3 患者確認

患者誤認/患者確認を確実に行う手順/ダブルチェック

【Web動画:患者確認の手順、ダブルチェック(2人連続型、1人双方向型、2人同時双方向型)】

4 感染対策

感染症の種類と対応/感染の仕組み/感染予防対策の全体像/医療機関における感染対策

CHAPTER.2 診療に関する安全行動

1 感染予防の実際

標準予防策の実践/組織としての感染対策

2 薬剤

与薬のプロセス/6R

・内服与薬

内服与薬の手順

・注射(点滴)

注射の種類/点滴静脈注射の実施/点滴静脈注射における有害事象への対処

・ハイリスク薬

ハイリスク薬の運用・取扱いの方法/カリウム注射製剤の取り扱い/抗悪性腫瘍薬の取り扱い/インスリン製剤の取り扱い

3 血液製剤の管理

・輸血

組織としての輸血管理体制/輸血の流れ/輸血に必要な検査/異型輸血/安全な輸血実施手順

4 日常の処置

・採血

採血部位の選択と安全な実施方法/採血の実施

・浣腸

グリセリン浣腸の実施

・経管栄養(経鼻栄養チューブ法)

経鼻栄養チューブの挿入/栄養剤の注入

5 機器の管理

医療機器の使用・管理のポイント

・人工呼吸器

人工呼吸器の基礎知識/人工呼吸器の回路の確認/人工呼吸器装着患者の状態の確認/人工呼吸器使用時におけるさまざまな事故発生の原因/日頃から行うべき点検・検討事項/組織としての管理体制

・輸液ポンプ・シリンジポンプ

輸液ポンプ・シリンジポンプの機能/輸液ポンプ・シリンジポンプのアラーム機能/各業務プロセスにおける注意点

6 検査

・病理検体の誤認防止

病理診断の生検検体の取り違え予防手順

・MRI検査時の注意点・造影剤の副作用

患者の誤認防止/MRI検査時の注意点/造影剤の使用

7 手術

・手術室の安全

手術安全のための確認の流れ/手術部位マーキングの実施/手術当日の安全

【Web動画:患者入室時の確認、手術中の確認】

・静脈血栓塞栓症

静脈血栓塞栓症のリスク/静脈血栓塞栓症の予防法/リスク管理の体制

CHAPTER.3 生活に関する安全行動

1 食事

誤嚥・窒息の防止/誤飲の防止/誤配膳の防止/アナフィラキシーの対応

2 運動:転倒・転落防止策

転倒・転落防止のフロー/転倒・転落のメカニズム/転倒・転落防止対策/転倒・転落時の対応

3 清潔

入浴/清拭/罨法

4 環境

入院/居宅

5 抑制をしない看護

身体拘束廃止に向けた流れ/抑制をしない看護のための体制づくり/抑制をしないためのアセスメント/抑制のない看護―療養の場の整え/抑制を行わざるを得ない場合

CHAPTER.4 有事への備えと対応

1 急変時

組織としての日頃からの取り組み/急変時対応のポイント

2 職業感染防止とクラスター発生対策

平時から行うべきこと/クラスター発生対策

3 災害時

病院全体の備え/手術室における災害時の備え

CHAPTER.5 組織としての危機管理

1 安全管理

医療安全管理活動の基本/平時の活動/有事の活動

2 感染管理(アウトブレイク、院内感染、職業感染防止管理など)

医療安全と感染管理/医療関連感染(HAIs)/有事に強い組織づくり・取り組み

3 労務管理

労働に関する法制度/働き続けられる職場環境・風土の構築/有事における応援体制

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書籍情報

  • ISBN:9784899964568
  • ページ数:336頁
  • 書籍発行日:2022年9月
  • 電子版発売日:2022年10月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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