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- 臨床画像 2023年5月号 特集1:絶対苦手分野にしない 間質性肺炎・びまん性肺炎の画像診断/特集2:心臓MRIの今までとこれから
商品情報
内容
序説
びまん性肺炎鑑別の考え方−総論,びまん性すりガラス状陰影−
特発性間質性肺炎−特発性肺線維症と進行性肺線維症−
ほか
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序文
特集 1 序説
「絶対苦手分野にしない 間質性肺炎・びまん性肺炎の画像診断」というテーマで,肺の炎症性病変を中心とした鑑別にまつわる論点について,エキスパートの先生方に解説していただいた。
間質性肺炎・びまん性肺炎の鑑別は,単独で診断の決め手となる所見が少なく,複数の比較的特異性の低い所見の組み合わせから診断することが必要となるため,どのように学んでいけばよいかわかりにくい領域かと思われる。そのため,呼吸器の画像診断のなかで,苦手意識をもっている放射線科医が比較的多いのではないかと感じている。
今回の特集は,主に呼吸器画像診断を専門にしない放射線診断医を対象に,びまん性肺病変全体に通じる考え方を示すとともに,びまん性肺炎の各カテゴリーでよくみられる病態をカバーすることを目指した。幸い,各分野に造詣の深い先生方にご執筆いただくことができ,充実した特集になったと考えている。
本特集の最初の項目で,びまん性の肺病変鑑別の最初の一歩をどう考えたらよいか,びまん性肺疾患のどのカテゴリーを中心に考えたらよいか,原則とその適応方法について編者が解説した。併せて,びまん性すりガラス状陰影を呈する疾患について鑑別診断のポイントを示した。次の3つの項目では肺線維症が疑われる症例について,特発性間質性肺炎と,特発性と鑑別が重要な2つの病態である膠原病,過敏性肺炎について取り上げた。近畿中央呼吸器センターの澄川裕充先生に特発性間質性肺炎の最新の考え方につき,特発性肺線維症を中心に国際ガイドラインに沿ってご解説いただいた。また,東北大学病院の冨永循哉先生に膠原病にみられる間質性肺炎を,各膠原病に特徴的なパターンを中心にご解説いただいた。天理よろづ相談所病院の鈴木瑞恵先生らには過敏性肺炎診断について,2020年の国際ガイドラインに従い診断のプロセスを実際の症例に即して示していただいた。次の3つの項目では,間質性肺炎以外のびまん性肺炎として鑑別が問題となる病態について取り上げた。まず,愛媛大学医学部附属病院の井手香奈先生に薬剤性肺障害・アレルギー性肺疾患についてご解説をいただいた。次に,奈良県立医科大学の山田 彩先生らにびまん性肺疾患を呈する血管炎,リンパ増殖性疾患および肉芽腫性疾患についてご解説をいただいた。また,山口大学大学院医学系研究科の國弘佳枝先生らにびまん性肺炎を呈する感染症について,鑑別の対象となる非感染性病変との対比を含めてご解説をいただいた。最後の項目では鑑別診断が多岐にわたる器質化肺炎パターンを呈する病態について,佐賀大学医学部の江頭玲子先生らに最新の概念をご解説いただくとともに,器質化肺炎と似た画像所見を呈し,臨床の現場で鑑別が必要な疾患と,鑑別の注意点をまとめていただいた。
すべての炎症性疾患を網羅されてはいないが,本特集でびまん性肺疾患の診断をするうえで核となる疾患をカバーすることができたと考えている。この特集には典型的な画像が多く提示されているので,その画像を目に焼き付けていただくとともに,解説文から診断に必要な考え方を学んでいただければと考えている。ご多忙のところ本特集のご執筆をいただきました先生方に,心より感謝を申し上げる。この特集が読者の先生方の日常臨床に役立つとともに,苦手意識克服の助けとなれば幸いである。
久保 武
特集 2 序説
装置の性能向上や撮像シーケンスの進歩もあり,臨床現場においてMRIによる画像診断は欠かせない存在となっている。なかでも循環器領域のMRIは,近年多くの革新的技術が導入されてきている分野であり,日本循環器学会の多くの診療ガイドラインでも高い推奨クラスを得ている。
しかし,臨床でのニーズは高まっている一方で,わが国における心臓MRI検査の臨床活用は,まだまだ十分とはいえない。その原因としては,心臓MRIが特殊な検査のため,撮像を担当する放射線技師の経験が不足していることや,検査時間が他領域の検査よりも長くかかるため,通常のルーチン検査枠内に収まりにくいという運用上の問題がある。また,それらと同時に放射線科医の本領域への関心の低さが大きな問題点として挙げられる。
多くの施設では心臓MRIは比較的まれな検査であり,日々の読影業務に忙殺されることの多い放射線科医にとって,特殊な領域の画像診断についての勉強は後回しにされがちである。ベテランの画像診断医が心臓MRIについての十分な知識をもっていなければ,当然若い世代の放射線科医への教育も進まず,ますます心臓MRI検査が特殊なものとして,放射線科医に敬遠されるといった事態に陥りかねない。
しかし,高齢化が進むわが国において循環器疾患は年々増加しており,今後ますます心臓MRIに求められる役割は拡大すると予想される。そんななか,心臓MRIについての正しい知識をもち,臨床で積極的に活用し,患者に有益な情報を主治医に提供するのは,Doctor’s doctorであるわれわれ放射線科医に与えられた重要な任務である。画像診断医として,頭部のMRIをある程度読影できるのは当然であるように,今後は心臓MRIについても最低限の知識と読影能力は求められるべきであると筆者は信じている。特に若い先生方は,まだ詳しい放射線科医が少なく,これからニーズがより高まるであろう心臓MRIに精通することで,診断医としての個性,独自のアビリティの1つを得ることができると思われるので,ぜひ勉強していただきたい。
本特集では,「心臓MRIの今までとこれから」というテーマに沿って,心臓MRIにおいて重要な項目である,心筋壁運動,心筋虚血,心筋組織性状の評価と心大血管血流解析についてエキスパートの先生たちに解説していただいた。いずれも初学者に知ってほしい基本的な内容から,近年の技術進歩により可能となった最新の話題まで,幅広く網羅した内容となっている。限られたページ数のなかで,心臓MRI検査の入り口から,その奥深さまでを覗きみることができる大変充実した内容であり,読者の診療の一助になるものと確信している。本特集をきっかけに心臓MRI検査に興味をもっていただき,画像診断医としての新たな武器を身に付けていただきたい。
最後に,お忙しいなかご執筆くださった先生方に,心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
城戸倫之
目次
特集1:絶対苦手分野にしない 間質性肺炎びまん性肺炎の画像診断 企画・編集:久保 武
序説 久保 武
びまん性肺炎鑑別の考え方−総論,びまん性すりガラス状陰影− 久保 武
特発性間質性肺炎−特発性肺線維症と進行性肺線維症− 澄川裕充
膠原病の肺病変 冨永循哉
過敏性肺炎 鈴木瑞恵ほか
薬剤性肺障害・アレルギー性肺疾患 井手香奈
血管炎,リンパ増殖性疾患,肉芽腫性疾患 山田 彩ほか
びまん性肺炎を呈する感染症 國弘佳枝ほか
Organizing pneumonia−形態学的なバリエーションと関連病態− 江頭玲子ほか
特集2:心臓MRIの今までとこれから 企画・編集:城戸倫之
序説 城戸倫之
心筋壁運動評価 田所導子
負荷心筋血流MRIによる心筋虚血評価 山口慎太朗ほか
心臓MRIによる心筋組織性状評価 加藤真吾ほか
4D Flow MRIを用いた心大血管血流解析の実践 関根鉄朗ほか
連載
何としても読んでもらいたい あの論文,この論文[第10回]
背景を含めて理解しておきたい肺結節管理ガイドライン 石川浩志
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書籍情報
- ISBN:9784008004305
- ページ数:132頁
- 書籍発行日:2023年4月
- 電子版発売日:2023年4月17日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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