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医学のあゆみ269巻3号 悪性腫瘍の病理・遺伝子診断に基づくプレシジョンメディシン

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2019年4月
  • 電子版発売日 : 2022年11月30日
¥1,430(税込)
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商品情報

内容

悪性腫瘍の病理・遺伝子診断に基づくプレシジョンメディシン
企画:西原広史(慶應義塾大学病院腫瘍センターゲノム医療ユニット)


・従来のがん治療は殺細胞性抗がん剤の投薬が中心であったが,近年はがん細胞の生存に重要な特定の遺伝子(ドライバー遺伝子)を標的として個別化治療を行うプレシジョンメディシン(PM)が主流となりつつある.
・欧米ではすでに遺伝子パネル検査の導入により,多くの癌腫においてゲノム解析結果が臨床現場に還元され,PMが実践されている.わが国でも2019年中には遺伝子パネル検査の実施が認められる予定である.
・本特集では,従来の臓器別・組織型別の腫瘍の分類ではなく,ドライバー遺伝子に基づく悪性腫瘍の特徴と治療戦略を取りまとめることで,PMを適切に実施するための統合的病理・遺伝子診断の確立をめざす.

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序文

はじめに


従来のがんの診断は発症臓器や組織型によって分類が行われ,治療はもっぱら増殖能の高い細胞を標的とする,いわゆる殺細胞性抗がん剤の投薬が基本であった.しかし,近年のがん研究の進歩により,悪性腫瘍はさまざまな遺伝子の異常が積み重なることで発症する,いわば“遺伝子病”であることがわかり,その遺伝子の異常のなかにはがん細胞の生存に重要な特定の遺伝子(ドライバー遺伝子)が存在し,その特定の遺伝子の異常を標的とした治療薬を用いて個別化治療を行う“がんゲノム医療”,あるいは“プレシジョンメディシン(精密医療)”が主流となりつつある.

実はこうした考え方に基づくがんゲノム医療として,すでに10 年ほど前からHER2 陽性乳がんに対する抗HER2 薬であるトラスツズマブ(trastuzumab)や,EGFR 変異陽性肺腺がんに対する分子標的薬ゲフィチニブ(gefitinib)が投薬されている.しかし,その投薬根拠となるコンパニオン診断薬は,臓器別に適応が決められ,また,治療薬と標的遺伝子が増えてきたことにより,遺伝子検査を複数回行う必要がでてきた.そのため近年では,一度に複数の遺伝子を調べる検査法,すなわち遺伝子パネル検査の開発が進んでいる.

欧米ではすでに遺伝子パネル検査の導入により,多くの癌腫においてゲノム解析結果がリアルタイムに臨床現場に還元されるようになり,プレシジョンメディシンが実践されている.わが国でも2019 年中には,一部の悪性腫瘍患者に対してこうした遺伝子パネル検査の実施が保険診療内で認められる予定である.また,2018 年12 月にわが国でも承認されたマイクロサテライト不安定性(MSI)検査のように,発症臓器や組織型に関係なくコンパニオン診断薬の使用が認められ,免疫チェックポイント阻害薬の適用が認められるなど,臓器横断的ながん治療もはじまってきており,従来の臓器別病理組織分類に基づく治療戦略との整合性が取れなくなりつつある.また,従来の臓器別病理組織分類においても,たとえば神経膠腫のように遺伝子変異名がそのまま病理診断名に組み込まれるようになり,形態学的診断と遺伝子プロファイルの両方を活用した新たな疾患体系を作ることが喫緊の課題である.

そこで本特集において,従来の臓器別・組織型別の腫瘍の分類ではなく,ドライバー遺伝子に基づく悪性腫瘍の特徴と治療戦略を取りまとめることによって,斬新な視点で悪性腫瘍の分類を行うこととした.これは,けっして従来の病理診断を無視するものではなく,近未来型のプレシジョンメディシンを適切に実施するための統合的病理・遺伝子診断の確立をめざすための試みである.本特集によって,読者の方々のプレシジョンメディシンの考え方や治療戦略の理解が深まることを期待したい.


西原 広史
慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット

目次

特集:悪性腫瘍の病理・遺伝子診断に基づくプレシジョンメディシン

悪性腫瘍の病理診断と遺伝子プロファイルのクロストーク:Overview……四十物絵理子・西原広史

KRAS/BRAF/MAPK依存性悪性腫瘍の特徴と治療戦略……林秀幸

HER2がんの特徴と治療戦略(乳がん,胃がん,胆管がん,肺がんなど)……高橋健太・池田貞勝

受容体型チロシンキナーゼRTKがんの特徴と治療戦略……津田真寿美・田中伸哉

PI3K経路分子をドライバーとする悪性腫瘍の遺伝子プロファイル病理診断……赤羽俊章・谷本昭英

ALK /ROS1/RET融合遺伝子陽性がんの特徴と治療(肺がん)……堀池篤

HBOC関連がんの管理と治療……山下瞳・他

Hypermutationがんの特徴と治療戦略……Pham Nguyen Quy・他

TOPICS

【癌・腫瘍学】

芽細胞発がん説――甲状腺からはじまったがん診療のパラダイムシフト……髙野徹

【生理学】

視床のマトリックス細胞が覚醒状態を促進する……本城咲季子

【消化器内科学】

慢性膵炎と膵癌……菊田和宏・正宗淳

連載

【医学・医療におけるシミュレータの進歩と普及】

16.肺音聴診シミュレータ……吉井千春

【健康寿命延伸に寄与する体力医学】

4.加齢に伴う免疫機能の変化……磯部健一

フォーラム

【医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)をふせぐためには?――脳神経内科領域の取組みから学ぶ】

8.バーンアウト(燃え尽き症候群)に対する個人でできる対策……海野佳子

【医療社会学の冒険】

12.ケアの機械と人間主義……美馬達哉 

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書籍情報

  • ISBN:9784006026903
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2019年4月
  • 電子版発売日:2022年11月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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