序
旧版の「最新ガイドラインに基づく 呼吸器疾患 診療指針2021-’22」が刊行されて2年余が過ぎました.その前身にあたる「呼吸器疾患診療 最新ガイドライン」に引き続き,多くの皆様のご好評をいただきました.この度,各疾患の診療の進歩に伴い改訂を行い,「最新ガイドラインに基づく 呼吸器疾患 診療指針2023-'24」として出版することになりました.
本書では,
「IDSA guidelines on the treatment and management of patients with COVID-19. Last updated 6/29/2022」
「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022(第6版)」
「ACCP CHEST ガイドライン(2021CHEST-GL)」
「特発性間質性肺炎診断と治療の手引き(改訂第4版)」
「ARDS 診療ガイドライン2021」
「肺胞蛋白症診療ガイドライン2022」
「2022 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension」
「喘息予防・管理ガイドライン2021」
「専門医のための遷延性・慢性咳嗽の診断と治療に関する指針2021年度版」
「過敏性肺炎診療指針2022」
「サルコイドーシス診療の手引き2020」
「2021 American College of Rheumatorogy/Vasculitis Foundation Guideline for the Management of Antineutrophil Cytoplasmic Antibody-Associated Vasculitis」「肺癌診療ガイドライン2021年版」
「Consensus document for the sseliction of lung transplant candidates:an update from the International Society for Heart and Lung Transplantation」
など,最近発行されたガイドラインが新たに加えられ,専門家による説明がなされています.
医療の急速な進歩により,以前にも増し,最新の医療レベルを広い領域で保つことは容易でなくなっております.従って各領域の診療ガイドラインは,医療レベルの担保に無くてはならないものとなっています.そのような状況下で,呼吸器疾患全般の診療ガイドラインへの道標を目指した本書をご活用いただければ幸いです.
旧版である「呼吸器疾患診療 最新ガイドライン」「最新ガイドラインに基づく 呼吸器疾患 診療指針2021-’22」の以下の基本方針
●専門でない疾患ガイドラインへのアクセスを示す
ガイドラインは,極めて多数存在し,その作成は多数の学会に委ねられているため,専門ではない特定の疾患に関するガイドラインへのアクセスは,大変,難しくなっています.そのため,ガイドラインそのものの存在などの基本情報や情報内容の適正な解釈などを紹介するツールが必要となっています.すなわち,「ガイドラインへのガイドライン」が必要な状況になっており,その要望に応える
● 総合診療医として,かかりつけ医として,他疾患の呼吸器専門医として,研修医として,疾患の非専門家が診療する状況において,専門家でない医師の知りたい情報をまとめる
を維持し,最新の知見をしっかりと加えていただきました.診療の現場で大いに参考にしていただける内容と確信しております.執筆の皆様には,この場を借りて,御礼申し上げます.
幅広い皆様にご活用いただいて,皆様の「幅の広い安定した呼吸器疾患の診療」のお役に立てることを願います.
2022年12月
日本医科大学 学長
弦間 昭彦