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- 脳神経外科 ザ・ベーシック~根拠を理解してマスターする脳神経外科の基本手術~
商品情報
内容
脳神経外科専門医になるために必要な基本知識と若手の脳神経外科医が経験しておきたい手術を網羅的・ 系統的に解説。
すべての手術に共通する開頭手技やシャント・ドレナージ手技などの基本手技,さらには研修期間中および専門医取得後間もない時期に経験しておきたい基本となる手術についてイラスト・写真を多用してビジュアルな紙面構成で丁寧に詳述。
最新情報も満載で,脳神経外科の扉を叩いたその日から,きっと役に立つ一冊!
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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序文
序文
脳神経外科手術に魅了された若者が,ずっと手術を学ぶ情熱を失わずに脳神経外科医として成長し続けることは,実は容易なことではありません.一人前となるための道程が脳神経外科は特に長いといわれています.その道のりにおける自らの現在位置はどこか,そもそも正しい道に立っているのか,など自分の将来に不安を感じる若手は多いのではないでしょうか.
本書『脳神経外科 ザ・ベーシック』は,今まさに脳神経外科へ足を踏み入れた若手医師に伴走してその成長をサポートすることを目的としており,そのためユニークな構成をとっています.まず,冒頭に脳神経外科手術全体に共通した操作を個別に取り上げる総論を充実させました.特に他の臓器の手術と脳・脊髄手術とを比較して両者の違いを浮き彫りにし,現在の臨床研修制度のもと他科の研修も経験している専攻医がより鮮やかに脳神経外科手術の特徴を理解できるようにしました.次に各論では,成長の各段階で執刀機会が多いと思われる一般的な疾患の手術を辿る構成とし,脳神経外科医初日から,2年目,3年目と専門研修を積む時期,そして専門医試験受験前後の学年,という成長を傍らで見守るような内容にしました.成熟した術者となるためには,日々のよくある手術(=各論)を学びつつ,脳という臓器の特殊性とそれに対する外科治療の根底にある理論(=総論)の理解を深めていく必要があります.専攻医の初期の段階では単に技術の習得で精一杯であったとしても,各論をこなし総論を読み返すにつれて,手技の本質が次第にしみ込むようにわかってくるのではないかと予想しています.
ご執筆いただいた先生には,「それぞれのご施設の若手の苦労や悩みに答えるイメージで実際に先生が用いられている言葉を使用してください」,とお願いをしました.私は,上級医に課せられた重大な使命は手術の基本的な理論と技術を教えるだけではなく,手術の魅力を適切に示し若手のモチベーションを維持させることも重要であると考えています.そこで,全国で実際に若手の助手になって指導していらっしゃる第一線の脳神経外科医に執筆を依頼しました.またコラムでは,現在の標準術式になるまでの歴史的な変遷,最近の論文で新たな知見が報告されている手術法,形成外科・耳鼻科・心臓外科の熟練術者から脳神経外科の手術がどう見えるか,などついて紹介しています.基本を守りつつときにその殻を打破する,外科学のダイナミックな面白さを感じていただければ,と思います.ご執筆いただいたすべての先生に,その手術教育に対する熱意に心から感謝と敬意を表したいと思います. いつか今日の若手脳神経外科医が専門医となり,ベーシックを理解したうえで各症例の個別性を踏まえた質の高い手術ができるようになったころ,本書はその役割を終えてそっと書棚の奥に隠れることでしょう.その日が少しでも早く少しでも多くの若手脳神経外科医に訪れることを願っています.
2023年3月
埼玉医科大学総合医療センター脳神経外科 大宅宗一
目次
Ⅰ 脳神経外科の手術は,他部位の手術と何が違うのか
脳神経外科の手術の習得を目指す若手医師へ=脳神経外科医にしか触れられない脳 [大宅宗一]
皮膚・筋肉・骨・硬膜を処理しないと脳へはたどり着けない [大宅宗一]
脳実質の触り方 [大宅宗一]
髄液の取り扱い方 [大宅宗一]
脳神経の触り方 [大宅宗一]
脳神経外科手術においてアプローチとは [大宅宗一]
Ⅱ 脳神経外科手術操作の構成要素で分けて考える
脳神経外科のさまざまな体位の取り方と注意点 [野中洋一]
脳神経外科の止血 [大谷直樹]
脳神経外科の切開と縫合 [木村俊運]
脳神経外科の整容:創部をきれいにするために [飯田拓也]
脳動脈の扱い方 [遠藤英徳,冨永悌二]
脳静脈の扱い方 [安達一英]
脳腫瘍の切除原理 [松田真秀]
閉頭の極意 [木村尚人]
Ⅲ 経験しておきたい基本となる手術
研修前期
脳室ドレナージ [大宅宗一]
慢性硬膜下血腫に対する穿頭ドレナージ術 [苗村和明]
脳室腹腔シャント術,腰椎腹腔シャント術,脳室心房シャント術 [川原 隆]
頭蓋形成術 [吉金 努]
研修中期
前頭側頭開頭術 [鈴木まりお,近藤聡英]
上矢状静脈洞をまたぐ前頭開頭術・頭頂開頭術 [斉藤敦志]
後頭下正中開頭術 [坂田清彦]
外側後頭下開頭術 [渡邉健太郎]
外傷性脳出血・脳腫脹に対する外減圧術 [末廣栄一]
開頭脳内血腫除去術 [小野秀明]
研修後期
中大脳動脈瘤 [安部 洋]
前大脳動脈遠位部動脈瘤 [菱川朋人]
開頭腫瘍摘出術:非頭蓋底髄膜腫 [花北俊哉,大宅宗一]
開頭腫瘍摘出術:脳表のグリオーマ・転移性脳腫瘍摘出術 [木下 学]
経鼻内視鏡下手術:スコピストから術者へ [森迫拓貴]
専門医取得後
内頚動脈瘤 [福田 仁]
前交通動脈瘤 [井上智弘]
STA-MCA吻合術 [池田俊貴]
頚動脈内膜剥離術 [出雲 剛]
深部のグリオーマ摘出術 [藍原康雄]
内視鏡下腫瘍摘出術 [荒川芳輝]
外視鏡下腫瘍摘出術 [岩味健一郎]
頚椎拡大椎弓形成術 [梶谷卓未,遠藤俊毅,冨永悌二]
神経血管減圧術 [原 貴行]
小児手術における特異性 [荻原英樹]
Column ① 自科との対比でみた脳神経外科手術の興味深い点,少し不思議な点
形成外科からみた脳神経外科手術 [矢野智之]
耳鼻咽喉・頭頸部外科からみた脳神経外科手術 [小林正佳]
心臓血管外科からみた脳神経外科手術 [縄田 寛]
Column ② 術式が大きく変わった画期的研究
慢性硬膜下血腫の手術は何がいいのか?:文献的考察から [山田哲久]
開頭血腫除去術:適応と内視鏡手術 [山本拓史]
脳動静脈奇形の手術:ARUBA [辻 篤司]
出血発症もやもや病に対する手術 [舟木健史]
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書籍情報
- ISBN:9784758318563
- ページ数:432頁
- 書籍発行日:2023年4月
- 電子版発売日:2023年3月20日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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