高次脳機能障害<15レクチャーシリーズリハビリテーションテキスト>

石川 朗 (総編集) / 杉本 諭 (責任編集/著者) / 中山書店

  • ページ数 : 192頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年4月11日
¥2,860(税込)
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商品情報

内容

高次脳機能障害は,同じ症状でも患者によってアプローチ方法が異なることが多い.解剖学・生理学的な知識に基づいた基本的な機能をふまえて,「どんな評価をすればよいか?」「どうすれば症状を改善できるのか?」を理解できるよう解説.リハビリテーション介入時に必要な考え方や知識が身につくため,臨床でも役立つ.

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序文

序文

ヒトが行動する際には,自分のおかれている状況を理解し,どう行動すれば良いかを計画し,その行動に関連する各種器官に指示を送っています.このような過程の中で行われている一連の心的活動が高次脳機能です.高次脳機能と一口に言っても,さまざまな機能があります.日常生活での諸動作の獲得に支障をきたすこともあれば,普段の生活には困らないようなこともあります.また,障害の程度によっても影響は異なりますので,障害の有無の把握だけではなく,どのような高次脳機能障害がどの程度生じているのかを評価することが大切です.

一人で歩くことができない脳卒中患者さんに対し,その原因として最初に思い浮かべるのは,運動麻痺,感覚障害,下肢筋力低下,関節可動域制限,痛みなどではないでしょうか? しかしこれらの要素をどんなに改善できても,高次脳機能が備わっていなければ行動することはできません.前述した要素とともに,高次脳機能という側面での評価を行うことが大切です.

記憶力の良い人,せっかちな人,言語よりも視覚的な指示のほうが理解できる人など,世の中にはさまざまな特徴をもつ人がいますので,皆さんもその人の特徴に応じて話し方や接し方を使い分けていると思います.明らかな高次脳機能障害がみられない場合でも,患者さんの高次脳機能の特徴を把握しておくことは,コミュニケーションやリハビリテーションの実施場面で,とても役立ちます.

高次脳機能障害の現象は健常者ではイメージしづらく,聞き慣れない用語が出てくるため,敬遠されがちです.できるだけ難しい用語を使わないように配慮しましたが,読むだけでは伝わりにくいところがあると思いますので,サイドノートに「試してみよう」を多く取り入れました.学生同士で実施して高次脳機能障害をイメージし,理解を深めてください.

Lecture 1 と2 では,臨床実習を行う際に押さえてほしい高次脳機能の概要と解剖・生理学的な知識を解説し,Lecture 3 以降では,リハビリテーション介入において,遭遇しやすい高次脳機能障害について焦点を当て,障害の評価と介入方法の考え方を解説しています.「なぜそうなるのか?」「どんな評価を行えば良いのか?」「どうすれば症状を改善できるのか?」を考えるためのアイデアを導きやすくするために,解剖学・生理学的な知識に基づいた基本的な機能について触れながら説明しています.

臨床実習や国家試験,卒業後の臨床において,高次脳機能障害のリハビリテーションを考えるうえで,本書を活用していただければ幸いです.


2023年2月

責任編集 杉本 諭

目次

LECTURE 1 高次脳機能障害総論 (石合純夫)

1.高次脳機能と高次脳機能障害の概要

2.高次脳機能障害の評価と診断

3.高次脳機能の側性化と局在

4.神経心理学的検査による評価

5.リハビリテーションと対応

Step up

 1.障害者手帳の取得

 2.高次脳機能障害者への就労支援

 3.自動車運転の再開

LECTURE 2 脳の解剖生理 画像診断,神経ネットワーク (石合純夫)

1.高次脳機能と大脳

2.大脳の解剖とCT,MRI による画像診断

3.左右の大脳半球が担う主要な高次脳機能の神経ネットワーク

4.脳の損傷と高次脳機能障害との関係の考え方

Step up

 1.失行

 2.失認

 3.記憶障害

LECTURE 3 意識とコミュニケーション (杉本 諭)

1.意識の概念

2.意識のメカニズム

3.意識レベルの評価

4.意識障害に対するコミュニケーションの工夫とリハビリテーション

Step up

 1.片麻痺患者の筋緊張亢進

 2.記憶と「情動」にはたらきかけたコミュニケーション

 3.意識に配慮した神経衰弱ゲームの方法

 4.痛み刺激に対応する伝導路

LECTURE 4 注意の機能のとらえ方 (杉本 諭)

1.注意の概念

2.能動的注意と受動的注意

3.心的資源と注意

4.注意の構成要素

5.注意の構成要素と容量

6.注意の機能の評価

Step up

 1.注意とワーキングメモリ

 2.TMT比

LECTURE 5 注意障害に対する臨床的評価と介入方法 (杉本 諭)

1.注意障害に対するリハビリテーションの進め方

2.覚度が不十分な場合の介入方法

3.集中性(選択性)が不十分な場合の介入方法

4.配分性が不十分な場合の介入方法

5.持続性が不十分な場合の介入方法

6.症例提示

Step up

 APT(attention process training;注意プロセス訓練)

LECTURE 6 空間性注意のとらえ方 (杉本 諭)

1.空間性注意

2.視覚情報の処理過程

3.半側空間無視

4.方向性注意障害と全般性注意障害

5.半側空間無視の評価

Step up

 1.残存視野の確認法

 2.「アハ体験」による気づき

 3.大脳半球間の抑制

 4.動作が困難なのは半側空間無視が原因か?

LECTURE 7 半側空間無視に対する臨床的評価と介入方法 (杉本 諭)

1.半側空間無視の基本的理解

2.左右空間への操作の加え方

3.体幹の左右回旋と空間認識の変化

4.無視症状の出現時期

5.覚醒度の影響

6.課題の難易度

7.症例提示

Step up

 1.逆転模写課題

 2.左半側空間無視に対する左視野遮断の有効性

 3.体幹を左に回旋すると,なぜ左側空間の無視が減少するのか?

LECTURE 8 言語機能のとらえ方 失語症,運動障害性構音障害 (相馬有里)

1.言語モダリティ

2.言語障害の種類とメカニズム

3.言語障害の評価と介入方法

4.言語障害に対するコミュニケーションの工夫

Step up

 1.その他の言語機能の分類

 2.単語の情報処理モデル(ロゴジェン・モデル)

LECTURE 9 記憶のとらえ方 記憶障害 (植田 恵)

1.記憶の概念

2.記憶の過程と種類

3.記憶障害の原因と症状

4.記憶障害に対するコミュニケーションの工夫

5.記憶障害の評価

6.記憶障害の介入方法

Step up

 記憶と左右の大脳半球

LECTURE 10 行為のとらえ方(1)失行症 (森下史子)

1.失行症の概念

2.行為の分類

3.失行症の定義

4.失行症の責任病巣

5.観念失行と観念運動失行のメカニズム

6.臨床評価

7.評価結果の解釈

8.介入方法

Step up

 1.その他の失行

 2.視覚情報の処理経路

LECTURE 11 行為のとらえ方(2)遂行機能障害 (森下史子)

1.遂行機能とは

2.遂行機能障害の概念

3.遂行機能障害のメカニズム

4.症状

5.臨床評価

6.介入方法

Step up

 前頭葉損傷による行動・行為の抑制障害,異常行動

LECTURE 12 認知機能のとらえ方(1)失認症 (斎藤和夫)

1.失認症の概念

2.感覚モダリティ

3.視覚失認

4.聴覚失認

5.触覚失認

6.身体失認

Step up

 1.病識の低下と自己認識

 2.病識の低下に関する評価

 3.病識の低下に対するリハビリテーション

LECTURE 13 認知機能のとらえ方(2)認知症 (斎藤和夫)

1.認知症とは

2.原因疾患

3.発現メカニズム

4.症状

5.臨床評価

6.介入方法

Step up

 1.認知症の危険因子

 2.認知症の発症予防

 3.認知症の薬物療法

 4.運動プログラムの効果

LECTURE 14 社会的行動障害 意欲・発動性の低下と情動コントロールの障害 (葊實真弓)

1. 社会的行動障害とは

2. 社会的行動障害への対応のポイント

3. 評価,介入

Step up

 1. 意欲・発動性が低下した患者とのコミュニケーションのとり方

 2. コミュニケーション・スキルを上達させるためのトレーニング

LECTURE 15 ワーキングメモリ (葊實真弓)

1. ワーキングメモリとは

2. 臨床評価

3. 介入方法

Step up

 1. ワーキングメモリの神経基盤

 2. ワーキングメモリを含む記憶障害患者にメモの活用を勧める介入のプロセス

TEST 試験 (杉本 諭)

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書籍情報

  • ISBN:9784521749891
  • ページ数:192頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年4月11日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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