臨牀消化器内科 2019 Vol.34 No.3 CT colonography 2019

  • ページ数 : 112頁
  • 書籍発行日 : 2019年2月
  • 電子版発売日 : 2019年4月19日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

消化器の臨床現場になくてはならない最新情報をお届けすべく,1986年1月に創刊。

【特集】CT colonography 2019―今日までの進歩と現状,そして大腸がん検診への展開
・大腸CT検査の進歩,現状と今後の展望
・大腸がん検診・精検におけるCT colonographyの診断精度の現況
・CT colonography―機器・技術の最前線
 他

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序文

巻頭言

大腸CT検査が発表されたのは1994年である.それから,すでに20年以上が経過した.この間に大腸精密検査の主流は,注腸X線検査やS状結腸鏡検査から全大腸内視鏡検査に移行した.その背景には,内視鏡検査による大腸腫瘍性病変の診断精度と治療技術が飛躍的に進歩したことがある.一方,がんの部位別年齢調整罹患率の年次推移参考URL 1)を見ると,1990年代に第1位であった胃癌は近年までに急激に減少しているのに対して,大腸癌は右肩上がりに増加し2015年のがん統計予測では胃癌を抜き第1位となった.大腸腫瘍性病変の診断・治療技術が進歩しているのに,なぜ大腸癌罹患数・死亡数は増えているのだろうか?Helicobacter pylori菌の感染率の低下に伴う胃癌の減少,あるいは高齢化の進行など要因はさまざまである.しかし,年齢調整においても,大腸癌の罹患率や死亡率は高止まりしているのが現状である.

任意型検診あるいは職域検診で受けた便潜血検査が陽性になった場合に,精検としての全大腸内視鏡検査の受診が徹底されれば,大腸癌の罹患あるいは大腸癌死亡は確実に低下する.現実的な課題として,検診を受けない,便潜血検査が陽性になっても病院を受診しない,精密検査を受けない人が少なくないことなどが挙げられる.

大腸内視鏡検査は,挿入法の標準化が進み,適切な鎮静薬の使用によって苦痛が少なく安全な検査である.さらに,検査精度(感度・特異度)が高く,施設によっては同日の内視鏡治療も可能である.医療提供側からすれば,こんな素晴らしい検査なのだから,必要な患者は大腸内視鏡検査を受けて当然だと考えてしまう.

しかし,人(患者)は必ずしも合理的には行動しない.一番よい検査だからといってその検査を必ずしも受けるわけではない.検査を実際に受けた患者ベースでの大腸腫瘍性病変の検出個数は,大腸CT 検査よりも大腸内視鏡検査のほうが高い.受診者100名当りのadvanced adenomaの検出個数は内視鏡検査が8.2個であるのに対し大腸CT検査では5.6個であり,10mm以上の腺腫と癌では各検査それぞれで6.8個,5.9個となる1).しかしながら,両検査の受診案内を受けた住民100名当りでみると,病変の検出個数は逆転してしまうのである.住民100名当りのadvanced adenomaの検出個数は内視鏡検査1.8個に対し大腸CT検査1.9個である.さらに,10mm以上の腺腫と癌では各検査それぞれ1.5個,2.0個となり,有意差はないものの検出個数が逆転し,大腸CT検査のほうがむしろ良好である1).つまり,住民ベースでみれば大腸CT検査は決して劣っていない.この研究報告からわかることは,どんなに優れた検査であっても受けてもらえなければ大腸腫瘍性病変を見つけることはできないということ,そして大腸CT検査は受診までのハードルが相対的に低く,その結果として大腸CT検査の受診率が高くなるということである.

日本からも,消化器内視鏡専門医の内視鏡診断をリファレンススタンダードとした大腸CT検査の大規模精度検証を2件報告している2),3).これらの研究でも,10mm以上の腫瘍性病変や大腸癌の診断精度は大腸内視鏡検査と同等である.全大腸内視鏡検査が大腸精密検査の第1選択肢である.けれども,オプションとしてエビデンスに基づいた標準的な大腸CT検査が提供できる環境が日本でも整えば,日本の大腸癌罹患・死亡を減らすために寄与できる可能性が高い.

今回の特集では大腸CT検査の今日までの進歩と現状,そして大腸がん検診への展開について考える内容となっている.


文献

1)Stoop, E. M., de Haan, M. C., de Wijkerslooth, T. R., et al.:Participation and yield of colonoscopy versus non‒cathartic CT colonography in population‒based screening for colorectal cancer:a randomised controlled trial. Lancet Oncol. 13;55‒64, 2012

2)Nagata, K., Endo, S., Honda, T., et al.:Accuracy of CT colonography for detection of polypoid and nonpolypoid neoplasia by gastroenterologists and radiologists:A nationwide multicenter study in Japan. Am. J. Gastroenterol. 112;163‒171, 2017

3)Utano, K., Nagata, K., Honda, T., et al.:Diagnostic performance and patient acceptance of reduced‒laxative CT colonography for the detection of polypoid and non‒polypoid neoplasms:a multicenter prospective trial. Radiology 282;399‒407, 2017

参考URL(2019年1月現在)

1)国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター:がん登録・統計 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/annual.html


永田 浩一

目次

巻頭言

1.大腸CT検査の進歩,現状と今後の展望

2.大腸がん検診・精検におけるCT colonographyの診断精度の現況

3.CT colonography-機器・技術の最前線

4.CT colonography-検査法を巡って

(1)基本検査法

(2)低線量撮影法

(3)標準的読影法と読影レポート

5.CT colonographyの有用性を巡って

(1)ハイボリュームセンターの立場から

(2)地域医療の立場から-高齢者に対する精密検査法としてのCT colonographyの有用性

(3)検診受診率向上の観点から

6.CT colonographyの診断限界

(1)実地臨床の立場から

(2)表面型病変の検討から

7.CT colonographyの標準化への課題

8.CT colonographyの大腸がん検診・精密検査への展開-今後のロードマップを巡って

[連載]内視鏡の読み方 大腸腫瘍性病変の診断法―通常内視鏡所見

[連載]検査値の読み方 東京都内で感染し発症したワイル病の1例


[学会だより]JDDW2018 第96回 日本消化器内視鏡学会総会

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