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臨牀消化器内科 2019 Vol.34 No.8 腹膜炎・腹水に対する診療の進歩

  • ページ数 : 108頁
  • 書籍発行日 : 2019年6月
  • 電子版発売日 : 2019年7月10日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

消化器の臨床現場になくてはならない最新情報をお届けすべく,1986年1月に創刊。

【特集】腹膜炎・腹水に対する診療の進歩
本号は,腹膜炎・腹水の鑑別診断に始まり,消化器内科,消化器外科,婦人科,腫瘍内科,腫瘍外科など多方面にわたる専門家により,腹膜疾患の診断と最新の治療および将来展望について詳細に記載されている(巻頭言より抜粋).

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序文

巻頭言

腹膜(peritoneum)の語源は,ギリシャ語の"per(i around)"と"tono(s stretching)"である.腹膜は1層の中皮細胞と基底膜,中皮下間質からなり,表面積は体表面積と同等である.臓側腹膜は腸間膜動脈,腹腔動脈,内腸骨動脈臓側枝から血液が供給され門脈に灌流するのに対して,壁側腹膜は腹壁動脈などから供給を受け下大静脈に灌流する.

腹膜は腹腔内臓器の動きを容易にするだけでなく,以下のような腹腔内の環境維持に重要な役割を担っている.①腹膜中皮細胞はプラスミノーゲン活性化因子とプラスミノーゲン活性化抑制因子を産生してフィブリンの沈着と分解のバランスを保つ.②水と溶質は中皮細胞間隙を受動的に移動し,分子量の大きい溶質は飲小胞などを介して能動的に中皮細胞内を輸送される.腹膜を介した溶質輸送のバリアは中皮下間質の毛細血管・細静脈の内皮細胞である.③中皮細胞の腹腔側はglycocalyxで被覆され滑らかである.癌細胞の接着の阻止に役立つと考えられている.④中皮細胞はT細胞に対して抗原を提示する.⑤異物に反応して遊走してきた白血球が分泌するサイトカインの刺激により,中皮細胞はさまざまな物質を分泌し炎症反応を促進する.⑥中皮細胞が細胞間接着と細胞極性を失い遊走能を獲得して線維芽細胞様となる中皮間葉転換(mesothelial‒to‒mesenchymaltransition;MMT)を起こす.これらの腹膜による液体の輸送や炎症反応,癒着,線維化の調整が,感染や悪性腫瘍,肝硬変などにより正常に機能しなくなると,腹水の貯留や腹膜の線維性癒着を生じ,感染性腹膜炎や癌性腹膜炎を発症する.

急性細菌性腹膜炎は重篤になると抗生物質による治療に加えて手術が必要となる.2012年10月~2013年10月に日本を含めた世界規模の68施設で腹腔内感染症に対して手術またはインターベンション治療を行った1,898例について解析した報告によると,感染源は虫垂炎33.4%,胆囊炎14.6%,胃十二指腸穿孔13.3%,術後9.0%,小腸穿孔7.6%,憩室を除いた結腸穿孔6.1%,憩室炎5.6%,骨盤内炎症性疾患1.6%であった.全死亡率は10.5%で,多変量解析により入院中の死亡に寄与する因子の一つとして,初回のインターベンションの遅れ(24 時間超え)が抽出された(OR=14.6,95%CI=8.7~24.4).外科との緊密な協力体制が不可欠である.

癌性腹膜炎はきわめて予後不良である.腹膜播種は癌細胞が原発巣漿膜から離脱し,腹腔内で生き残り,腹膜中皮細胞に接着して中皮下間質に侵入し,毛細血管近傍に達して血管新生を伴いながら増殖して完成する.胃癌や卵巣癌などではそれぞれの段階の分子機構が明らかになりつつあり,癌性腹膜炎の有効な治療法の開発に繫がることが期待される.

腹膜疾患,とくに腹膜炎・腹水は各種腹腔内臓器の炎症や感染症,悪性腫瘍および肝硬変など広範囲の領域の疾患が原因となる病態である.本号は,腹膜炎・腹水の鑑別診断に始まり,消化器内科,消化器外科,婦人科,腫瘍内科,腫瘍外科など多方面にわたる専門家により,腹膜疾患の診断と最新の治療および将来展望について詳細に記載されており,消化器内科医にとり臨床的,学術的に有益な特集号である.


名越 澄子

目次

巻頭言

1.腹膜疾患の総論

2.感染性腹膜炎・腹水の診療

(1)急性細菌性腹膜炎

(2)特発性細菌性腹膜炎

(3)結核性腹膜炎

(4)骨盤腹膜炎

(5)内視鏡診療に伴う腹膜炎

3.悪性腫瘍に伴う腹膜炎・腹水の診療

(1)腹膜偽粘液腫

(2)消化管癌による癌性腹膜炎

(3)膵癌による癌性腹膜炎

(4)婦人科癌による癌性腹膜炎

4.肝性腹水の薬物療法

5.腹水の非薬物療法

(1)腹腔‐静脈シャント

(2)腹水濾過濃縮再静注法(CART)


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書籍情報

  • ISBN:9784004003408
  • ページ数:108頁
  • 書籍発行日:2019年6月
  • 電子版発売日:2019年7月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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