臨牀消化器内科 2019 Vol.34 No.9 大腸ポリープ取り扱いのUp to Date

  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2019年7月
  • 電子版発売日 : 2019年8月7日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

消化器の臨床現場になくてはならない最新情報をお届けすべく,1986年1月に創刊。

【特集】大腸ポリープ取り扱いのUp to Date
本号は,内視鏡診断と治療の最新知見を総括する目的で企画されたものである.各項目の執筆はその領域のオピニオンリーダーの先生方が担当されており,現時点での“総括”がこの1冊にまとめられている(巻頭言より抜粋).

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序文

巻頭言

大腸ポリープの適切な取り扱いは,本邦において年々増加傾向にある大腸癌の抑制に寄与すると考えられる.われわれは日常臨床において,ポリープの大きさや内視鏡診断から治療の必要性を,治療の際には各手技のメリット,デメリットから治療法の選択を判断している.それぞれが抱える問題点から大腸ポリープの取り扱いに関しては一定のコンセンサスが得られていない領域もある.本号ではエキスパートの先生方が最新の知見を述べられている.

近年,Ignjatovicらにより微小病変では病理診断が不要であるという"Resectand Discard"の概念が提唱された.腫瘍性ポリープをすべて切除(clean colon)すれば大腸癌死亡率の低下をもたらし,さらに5mm以下であれば癌の可能性は低く医療経済の観点から組織学的検索の必要はないという考えに基づいている.しかし一方で,5mm以下あるいは10mm以下の小型T1癌は一定数存在するため,正確な内視鏡診断が治療選択の基本となることを忘れてはならない.とくに陥凹型腫瘍は腫瘍径の小さいうちから粘膜下層に浸潤し,高い脈管浸潤陽性率を有することがわかっている.正しい診断学なくして良い治療は存在しないのである.従来の拡大内視鏡に加え,2018年2月には520倍の拡大率を有する超拡大内視鏡(endocytoscopy;EC)が発売され,病変の構造異型に留まらず細胞異型まで観察することが可能となり,"optical biopsy"としての精度をさらに向上させた.さらに2019年3月現在,この超拡大内視鏡画像を人工知能(AI)で解析し病理診断を予測する内視鏡画像診断支援ソフトウエア「EndoBRAIN®(エンドブレイン,オリンパス社)」が発売された.超拡大内視鏡とAIを組み合わせることで,大腸ポリープの精度の高い病理診断予測が可能となってきている.

大腸ポリープの治療に際しては,安全かつ確実に切除することが重要である.ポリープの大きさ,部位,肉眼型などにより切除方法が選択される.高周波とスネアを用いたポリープの切除はsnare polypectomy はShinyaらによって,また局注を併用したendoscopic mucosal resection(EMR)はDeyhleらによって報告され,大腸ポリープ治療法のスタンダードとしての地位を担ってきた.一方で近年,高周波発生装置による通電をせずに切除するcold polypectomyが注目されている.3mm以下のポリープを対象としたcold forceps polypectomy(CFP),10mm未満のポリープを対象としたcold snare polypectomy(CSP)はいずれも手技が簡便で低コストであり従来のHSPやEMRと比較し,後出血のリスクが低いこと,post polypectomy syndromeの頻度が低いこと,穿孔の危険が低いことなどが報告されている.しかしEMRと比較した際のもっとも大きなデメリットとして病理評価が不十分な点があげられる.CSPの切除標本は脆弱で分断されやすく,断端の判定が困難になりやすい傾向にある.また,切除標本では粘膜筋板レベルで切れていることが多く,T1癌はもちろん,粘膜内癌においても断端陽性となるリスクが高い.各手技の特徴を加味した治療選択が求められる.

大腸ポリープの診断,治療はこの20年足らずで目覚ましい発展をみせている.ポリープの切除方法については施行医や医療機関による違いも多いと思われる.重要なのは安全かつ確実に病変を切除することであり,それぞれの切除方法の特徴,すなわちメリット,デメリットをきちんと把握したうえで適切に選択することである.そして何より,治療前の正確な内視鏡診断が基本となることはいうまでもない.本号は「大腸ポリープ取り扱いのUp to Date」として内視鏡診断と治療の最新知見を総括する目的で企画されたものである.各項目の執筆はその領域のオピニオンリーダーの先生方が担当されており,現時点での"総括"がこの1冊にまとめられている.読者にとって今後の診療や研究の一助になることを期待している.


工藤 進英

目次

巻頭言

1.5mm以下のポリープ

(1)経過観察を推奨する根拠が乏しいと考える立場で

(2)経過観察でもよいとする立場で

(3)5mm以下でも治療すべき病変

(4)Cold forceps polypectomyとhot forceps polypectomy(hot biopsy)のメリット・デメリット

2.6mm~10mmのポリープ

(1)Cold polypectomyを安全に施行するための術前診断

(2)Cold snare polypectomyとhot snare polypectomyのメリット・デメリット

(3)Cold snare polypectomyとhot snare polypectomyの安全性と組織学的根治度

3.10mm,11mm以上のポリープ

(1)10mm以上のポリープに対するcold snare polypectomyの是非

(2)11mm以上のポリープに対するUnder water EMRのメリット・デメリット

(3)大きな有茎性ポリープの摘除

4.無床施設でのポリープ摘除の実際

(1)無床施設でのポリープの取り扱い―適切かつ安全なポリープ摘除のために

(2)無床施設でのポリープの取り扱い―大腸内視鏡検査の質向上のための工夫


[コラム]"Resect and Discard"strategy

[連載]検査値の読み方 免疫チェックポイント阻害薬を使用している患者の肝障害

[連載]Dr.平澤の上部消化管内視鏡教室―この症例にチャレンジしてください 胃粘膜下腫瘍

[特別連載]胃拡大内視鏡テクニック

[連載]薬の知識 ソホスブビル/ベルパタスビル配合錠(エプクルーサ®)

[連載]講座 家族性膵癌

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書籍情報

  • ISBN:9784004003409
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2019年7月
  • 電子版発売日:2019年8月7日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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