優投生塾 投球障害攻略マスターガイド[Web動画付き]

  • ページ数 : 302頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2024年5月24日
¥7,480(税込)
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商品情報

内容

投球障害を完全マスター!代表的な疾患や投球動作の各フェーズに即したリハビリテーション等を図写真・動画で紹介した実践書です。

投球障害について、代表的な疾患の治療から、疼痛期・投球準備期・競技復帰期のリハビリテーション、さらにはスポーツ現場での簡易なチェック方法までを完全ガイド。
投球動作の各フェーズに即した評価・アプローチを豊富な図写真とWeb動画で解説した実践書です。
基礎となるデータやバイオメカニクスも紹介!

序文


投球動作によって肩ひじ痛(投球障害)は,しばしば生じます.しかしその根本的な原因は,肩ひじにあるのではなく,肩ひじ以外の部位(患部外)にあることが特徴です.その原因をすばやく見つけ,早期に治療して競技復帰させることが極めて重要です.今回「投球障害攻略マスターガイド」として,執筆者みんなで上記内容を書きあげました.

わたくしは,これまで投球動作で生じた多くの肩ひじ痛の野球選手を外来診療で診てきました.選手と保護者から,「いつ治りますか」,「いつ投げることができますか」と質問を受けることがあります.われわれも最善をつくし,早期競技復帰をさせてあげたいと思っています.しかし患部外の原因を正確に,すばやく見つけ出す評価法が少なく,その原因を見つけても原因となっている体幹,下肢の機能改善に多くの時間を要します.フィールドに復帰し元気に投球が再開できるためには,選手とリハビリテーション治療に関わる医師,理学・作業療法士,および現場の指導者やトレーナーとの連携が重要となります.

講座1では,身長が伸びている時期(骨端線閉鎖前)の選手と骨端線閉鎖後の選手に生じる疾患について網羅しました.治療するわれわれは,投球障害を生じる肩痛,肘痛の代表的な疾患はどのようなものかを理解しておく必要があります.

講座2では,講座1で述べた疾患の患部外の原因を探索する方法を説明しました.投球動作による肩ひじ痛の原因となる患部外病変をどのように見つければよいのか,「姿勢」をキーワードとして順序だてて述べました.この方法に沿って行えば,多くの疾患の原因は明らかになると思います.また,患部外だけでは改善しない選手に対する,局所の評価・セルフトレーニング方法も詳細に記載しております.

講座3では,投球準備期に必要な運動機能の改善ポイントを,各投球期に分けて説明しました.投球障害による疼痛が消失しても,同じ投球動作で投げれば再発することは必至です.投球動作に必要な身体機能はどのようなものか,整理していただければと思います.

講座4では競技復帰に必要な期間とその期間を短縮するためのテーピングテクニックを紹介しました.投球障害の重症度や選手個人の身体特性を考慮して,投球プログラムを立てることが重要です.

講座5では,実際のスポーツ現場で有用な身体機能チェックについて述べました.現場の指導者に取り入れていただければ,障害予防につながると思います.

資料1では,過去15年にわたって行ってきた野球検診やメディカルチェックでの野球選手の身体機能をまとめました.健常選手の身体特性を理解していただけると思います.

資料2では,3次元動作解析を用いた投球動作のバイオメカニクスのポイントを記載しました.障害選手の投球動作の特徴も明らかになっています.

前回出版いたしました「パフォーマンスUP !運動連鎖から考える投球障害―診察室からグラウンドまでをつなぐアプローチ―(2014年同社出版)」から10年の月日がたちました.これまで多くの学会で発表した口演内容をスポーツ科学系の雑誌に投稿し,論文化することができました.それらを今回文献として盛り込むことでエビデンスに基づいたグレードアップした内容となっています.野球にかかわる医療サイドの関係者だけではなく,トレーナー,指導者,保護者の方々にも手にとっていただければ幸いです.

われわれの使命は投球障害を認めた選手を,もう一度一流の野球選手(優等生),まさに「優投生」に生まれ変わらせることです.優等生とは日本国語大辞典では「学業成績・品行とも特に優れている生徒」と書かれています.小学生,中学生,高校生,大学生,社会人,プロ野球,引退後と人生を通じて,野球に関わるだけではなく,社会人として立派な人生を歩むためには「品行」としての勉強(学業)も重要です.自宅では,保護者に感謝しながら,本書の内容(柔軟性,筋力増強)を復習する「品行」も重要です.外来に来られた選手には,野球復帰のことだけを考えるのではなく,「学業と自己の身体コンディションを整えることを軽んじることは許さない.」と保護者を含めて説明しています.

野球は健全な肉体と,健全な精神を育成するために非常に大切なスポーツと考えています.肩ひじ痛でプレーができない選手を再度「優投生」に再起させるために,みなさまにも本書の「優投生塾」の一員になって,多くの投球障害で悩んでいる選手を救っていただければと思います.

最後にいつもご指導いただいている京都府立医科大学整形外科学教室 教授 高橋謙治先生,出版に尽力いただいた全日本病院出版会の田澤佳枝さん,茅野桃奈さんに心から深謝いたします.


2023年9月

京都府立医科大学整形外科学教室,臨床教授
丸太町リハビリテーションクリニック,院長
森原 徹
洛和会京都スポーツ医科学研究所,主席課長
認定NPO法人京都運動器障害予防研究会,理事
松井知之

目次

講座① 投球障害肩・肘の選手を競技復帰に導くには  森原 徹

〈講座1の使い方〉

A. 投球障害肩・肘疾患の概要

1. 投球障害肩・肘とは

1)投球障害肩・肘の種類

2)野球選手によくみられる障害

2. 各疾患における病態・診断・治療

1)投球障害肩

2)投球障害肘

3)上肢神経障害

B. スポーツ肩・肘外来の実際

1. 投球動作の正確な理解と各疾患の関係

1)投球動作

2)投球動作における各相での必要な運動機能

2. 診断に必要な問診による情報

1)アーリーコッキング期

2)レイトコッキング期

3)アクセラレーション期

4)フォロースルー期

3. 投球動作を想定した理学所見のとり方

1)投球動作の各期における運動機能

2)投球動作を想定し,疼痛の原因動作(患部外)を探索する理学所見のとり方

4. 肩・肘関節の視診,触診,およびスペシャルテスト

1)投球障害肩・肘の視診のポイント

2)触診のポイント

3)肩・肘関節スペシャルテスト

C. 投球障害肩・肘の正確な治療を行うために

1. 保存療法と手術療法の選択

1)診察室での患部外病態抽出法と治療方針のアルゴリズム

2. 医師,理学療法士,指導者,選手間の時間軸の共有

講座② 投球障害に対するリハビリテーションアプローチ①疼痛期:疼痛の早期改善と疼痛原因の早期抽出 

〈講座2の使い方〉

1. 姿勢と肩関節運動 松井知之

2. 疼痛期のリハビリテーション(IBC,ICS,ICGH,ICE)

1)患部の安静  松井知之

2)全身即時調整法(IBC):疼痛の原因となる患部外因子の抽出  松井知之/平本真知子

3)上肢帯周囲筋即時調整法(ICS):全身即時調整法(IBC)で反応しない場合(投球障害肩に対して)  東 善一/松井知之

4)肩甲上腕関節周囲筋即時調整法(ICGH):上肢帯周囲筋即時調整法(ICS)で反応しない場合  東 善一/松井知之

5)肘関節即時調整法(ICE):全身即時調整法(IBC),上肢帯周囲筋即時調整法(ICS),肩甲上腕関節周囲筋即時調整法(ICGH)で反応しない場合 宮﨑哲哉/松井知之

3. 投球準備期への準備(3次元的なアライメント調整および上・下肢との連動)  中川 修/森原 徹

1)骨盤と下肢,肩甲骨と上肢をつなぎ,体幹との運動連鎖を誘導するロールスピン・エクササイズ

2)ロールスピン・エクササイズの実際

【COLUMN】

・急性期に有効な物理療法は?

・コンディショニングの効果を維持できない場合は?

・疼痛が遷延化する場合には?

・上腕筋の解剖学的特徴について

・尺骨の軸の変化について

・浅指屈筋の賦活方法について

・上腕三頭筋の過緊張と尺骨神経症状との関係について

・深指屈筋について

・ロールスピン・エクササイズとは?

講座③ 投球障害に対するリハビリテーションアプローチ②投球準備期:身体機能と投球動作の結びつけ  松井知之/東 善一

〈講座3の使い方〉

1. はじめに

2. 投球動作分析の考え方とポイント

1)疼痛が生じる投球時期(フェーズ)を確認

2)動作をフェーズに分けて分析

3)運動連鎖の視点で動作を分析

4)各運動面での選手のパターン分類

3. 投球動作を再現したファンクショナルスローイングテスト

1)ファンクショナルスローイングテストとは

2)ファンクショナルスローイングテストからの治療戦略

3)ワインドアップ期における投球動作チェックとファンクショナルスローイングテストの実際

4)アーリーコッキング期における投球動作チェックとファンクショナルスローイングテストの実際

5)レイトコッキング期における投球動作チェックとファンクショナルスローイングテストの実際

6)フォロースルー期における投球動作チェックとファンクショナルスローイングテストの実際

4. 運動連鎖から考える投球動作分析

1)各関節における運動連鎖

2)フェーズ間の運動連鎖から考える投球動作分析

5. ファンクショナルスローイングテストが改善しない場合

1)足部機能とランジホールド

2)姿勢と足部機能

3)足部の柔軟性低下における評価方法

4)アーチを構成する筋における筋出力低下の評価方法

5)足部の柔軟性低下に対するコンディショニング

6)足部の筋出力低下に対するコンディショニング

【COLUMN】

・前額面上での投球動作解析

・誤った動き方

・腸腰筋について

・下肢を持ち上げる動作について

・良姿勢の維持には

・ワインドアップ期(片脚立ち)の左右への重心移動について

・開排の柔軟性低下と捕球姿勢について

・ランジについて

・ファンクショナルスローイングテストの有用性

講座④投球障害に対するリハビリテーションアプローチ③競技復帰期:競技復帰をスムーズに行うための復帰プログラムおよびテーピングテクニック  松井知之/宮﨑哲哉

〈講座4の使い方〉

1. 競技復帰に向けた投球の再開

<2週間復帰プログラム>

<4週間復帰プログラム>

<6週間復帰プログラム>

2. 投球動作を考慮したテーピングテクニック

1)テーピングの意義

2)注意事項

3. 各フェーズに応じたテーピングの実際

1)ワインドアップ期のテーピングテクニック

2)アーリーコッキング期のテーピングテクニック

3)MER~アクセラレーション期のテーピングテクニック

4)その他

講座⑤スポーツ現場で簡単に身体機能をチェックできる方法パフォーマンスの低下,投球障害を早期に発見するチェック法  松井知之/西山伸吾

〈講座5の使い方〉

1. はじめに

2. CIBC(複合IBC)の実際

3. スポーツ現場でできるファンクショナルスローイングテスト

1)フットコンタクトランジテスト

2)フォロースルーリーチ(横回転,斜め回転)

4. TAC(トータルアスリートチェック)の実際

1)柔軟性

2)筋力

資料①野球選手の身体機能  平本真知子/森原 徹

〈資料1の使い方〉

1. はじめに

2. 野球選手の身体機能

1)関節可動域

2)筋力

3. 女子野球選手の身体特性

1)関節可動域

2)筋力・パフォーマンス

4. データをリハビリテーションにどう活かすか

1)投球障害選手の身体的特性

2)下肢・体幹の複合評価

5. まとめ

資料②投球動作のバイオメカニクス  瀬尾和弥/松井知之

〈資料2の使い方〉

1. 投球動作を知るためのバイオメカニクスの基礎

1)床反力とは

2)関節モーメントとは

3)関節パワーとは

2. 健常投手における投球動作のバイオメカニクス

1)ワインドアップ期(0~39.4%)

2)アーリーコッキング期(39.4~81.0%)

3)レイトコッキング期(81.0~86.6%)

4)アクセラレーション期(86.6~87.8%)

5)フォロースルー期(87.8~100%)

3. 健常投手における肘関節ストレス

1)投球フォームおよび球速と肘関節内反モーメント

2)肘関節最大内反モーメントと下肢および体幹の関節角度との関連

3)肘関節最大内反モーメントと上肢の関節角度との関連

4. 投球障害肘選手における投球動作のバイオメカニクス

1)ワインドアップ期~アーリーコッキング期

2)MER~フォロースルー期

3)投球障害肘選手における投球動作特性

4)バイオメカニクスから考えるチェックポイント

5. 投球障害肘選手に対するリハビリテーション前後の投球動作比較

1)方法

2)コンディショニング前後の投球動作

3)コンディショニング介入の効果

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書籍情報

  • ISBN:9784865198232
  • ページ数:302頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2024年5月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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