医師と人類学者との対話 -ともに地域医療について考える-

  • ページ数 : 288頁
  • 書籍発行日 : 2021年6月
  • 電子版発売日 : 2024年5月24日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

自分へのまなざしを育てる。
医療人類学の方法を活用する。


『苦悩することの希望 -専門家のサファリングの人類学-』(2014年刊行)の続編。専門家のサファリングの本質を、地域・へき地医療で働く若い医師たちの経験を通して改めて問い直しています。
著者である医師たちは、全員が大学教育において人類学の講座を履修し、そこで学んだ人類学的な思考方法、その記述方法を活用して自分自身の医師としての経験の意味や自分の役割を見出してきた人々です。
本書は、こうした若い医師たちの考察に続き、それに応答する形で人類学者がコメントを寄せ、さらには地域・へき地医療の一線で働く先輩医師たちの論考も掲載しています。

序文

巻頭言


みなさんは、同僚・患者・他(多)職種との関係で悩みやモヤモヤを経験したことはないだろうか。私はいろいろありました。私にとって、それらを咀嚼するきっかけを与えてくれたのは文化人類学でした。

本書は、日々の診療で経験した悩みやモヤモヤについて、新たな目線を欲している方々に向けて書いています。そして文化人類学的視点の関わりを取り扱っています。おそらく、いくつかの事例をとおしてみることで、普段モヤモヤしたこと、消化しきれていないこと、すっきりしないこと、みなさんが明日経験するかもしれない嫌なこと、言語化できないことを解消する手助けのきっかけになると期待しています。悩みに似たモヤモヤが、本書をきっかけに解消されていく過程、そのような思考過程を想像してみてください。現在進行形で言語化できないモヤモヤに向き合っている方々や、新しい生活や職場に不安を抱えている方々にとって、ある意味、楽しみに変わるきっかけになるかもしれません。

さて本書に共通するキーワードのひとつである「自治医科大学」について簡単に説明します。

1972年(昭和47年)、栃木県に設立された大学で、設立の趣旨は「医療に恵まれないへき地などにおける医療の確保向上および地域住民の福祉の増進を図る」ことです。自治医科大学医学部の特色は、47都道府県からの選抜者で構成されることです。他の医学部・医学部医学科で同じ学年に47都道府県の出身者を集めることはほぼ不可能と想像します。また入学者は、修学資金(入学金や学費など)が出身都道府県から支出され、在学年の1.5倍の期間(9年間)を出身都道府県で医師として務めることを条件に修学資金の返還が免除される契約になっています。修学資金返還期間にへき地での診療を経験することができることになります。私は約50年にわたり、このような特異性が継続されていることは自治医科大学の特筆に価することと考えます。

そんな変わらない自治医科大学医学部のシステムがある一方、医学教育はパラダイムシフトが起きています。医学部・医学部医学科の教育方針は医学教育モデル・コア・カリキュラムとして規定され、2016年度(平成28年度)の改訂で、そのなかに健康・病い・医療に関する文化人類学・社会学(主に医療人類学・医療社会学)の視点・方法・理論について理解を深めるというねらいが加わりました。

本書はそれらを網羅した新書であると考えています。また本書は医師が書いたエッセイ集でありますが、学生・看護師・技師・保健師など医療に関わるみなさんに役立つ内容と自負しています。若い医療者のなかには、臨床は多様な「ひと」を相手にする現場で、これから仕事を継続していけるか不安を感じている方もいるでしょう。安心してください、先輩たちもモヤモヤを抱えながらもそれを乗り越えようと日々頑張っています。モヤモヤの先に何があるか、ここでひとつ「ひと」について探求する文化人類学者といっしょに考えてみましょう。本書との出会いをきっかけに、モヤモヤの先に広がる新たな景色をぜひ見てみてください。


佐藤正章

目次

【第1部】臨床と向き合う若き医師の語り

[医師になるということ]

1 共感の旅

2 医師化すること

3 地域に育ててもらいたい

[地域医療の現場から]

4 「傾聴」と「共感」の先に

5 病いをとらえなおす

6 身近なことから考える人類学

7 相互理解が医療を築く

[医師の苦悩と向き合う] 

8 苦悩と光明

9 「相対化」の困難と向き合って

10 医師がモンスター・ペイシェントになるとき

11 医師の苦悩をみつめて

[番外編]

12 「ふつう」であること

【第2部】先輩医師からのメッセージ

1 「地域まるごとケア」に取り組む

2 行政と臨床現場の通訳者

3 専門家としての「わきまえ」を考える

【第3部】人類学者からの応答

1 「対話」としてのフィールドワークと授業

2 「ふつう」であることにこだわる

3 地域医療とフィールドワークとの類似

【第4部】地域医療の新たな地平を拓く

1 地域医療教育への文化人類学の導入

2 人はおもしろい

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書籍情報

  • ISBN:9784763995414
  • ページ数:288頁
  • 書籍発行日:2021年6月
  • 電子版発売日:2024年5月24日
  • 判:菊版
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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