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- 協同医書出版社
- 認知症の本人・家族の困りごとを解決する医療・介護連携の秘訣 -初期集中支援チームの実践20事例に学ぶ-
商品情報
内容
「認知症の人をどうやって受診や介護につなげるか」という視点にとどまらず、「本人と家族は何に困っているか、どうしたらその困難を解決できるか、そして、どうしたら地域で穏やかにその人らしく暮らし続けることができるか」というスタンスでの認知症初期集中支援チームの活動、多職種協働の実践を紹介。
運営のコツ、認知症の行動・心理症状(BPSD)や介入拒否などによる困難事例への対処方法を、詳しく具体的に解説。
序文
はじめに
当研究所の認知症疾患医療センターの外来は、医師、臨床心理士、認知症看護認定看護師、精神保健福祉士らが協働していますが、もの忘れがあったり計画を立てられなくなった方、道がわからなくなった方、そして、前よりも怒りっぽく、疑いやすくなった認知症の方を連れて診察に来る家族が年々増加しています。こうしてご家族と一緒に外来に来られる方はそれなりの介護がなされているわけですが、自分が認知症とわからず、地域や家庭でいろいろな人に迷惑をかけているお年寄りも少なくありません。
こうした認知症の方々を作業療法士や看護師、社会福祉士、介護福祉士などが訪問して医療や介護に結びつけ、地域で認知症の方も安心して自分らしく暮らしていけるようにサポートする「認知症初期集中支援チーム」が、2013年(平成25年)から全国14カ所でモデルケースとしてスタートしました。その一つが私たちの住む前橋市で発足し、地域包括支援センター西部に事業が委託され、医師、作業療法士、社会福祉士、看護師、介護福祉士がメンバーとなり、受託した地域包括支援センター西部の主任ケアマネジャーがサポーターになりました。
外来に診察に来られる認知症の患者さんとは違って、自分が認知症に陥っている自覚のない方を訪問するのですから、玄関先で断られたり、なかなか面接ができなかったりする困難を乗り越えてご家族や地域の方々からの情報を集め、その結果をチーム員会議で報告し合うことになりました。その状況を詳しく聞き、助言していただいたのが、チーム医師の山口晴保さんであり、実際に訪問を始めたのは作業療法士の山口智晴さん、堀口布美子さん、社会福祉士の狩野寛子さん、介護福祉士の栗本久さんでした。現在は、看護師の上山真美さんと小山晶子さんが加わっています。チーム員会議では、家族を困らせたり、地域の人々に迷惑をかけ、お世話になったりしているお年寄りが何とか主治医の診療を受けるよう、あるいは介護保険サービスにつながるよう、話し合ってきました。こうして、3年の間に150例を超える方々を支援し、多くが医療や介護保険サービスにつながり、地域で安心して暮らしていけるようになりました。その関わり方のスキルをこの本から汲み取っていただければ幸いです。
超高齢社会に生きる私も、明日は我が身がお世話になるかと思っている次第です。
2017年2月
公益財団法人老年病研究所前橋市地域包括支援センター西部
センター長 髙玉真光(チーム医師)
目次
はじめに
本書の使い方
【第Ⅰ部】総論
1.認知症初期集中支援推進事業実施における基本的な考え方─早期支援と危機回避支援─
1-1 早期支援(早期診断・早期対応)
1-2 危機回避支援
[サイドメモ]認知症とは
1-3 支援の成果
2.「単純な医療や介護への結びつけ」ではなく、困りごとの解決
[サイドメモ]BPSDを予防する介護者教育が必須
3.支援チームの設置・構成と依頼方法
3-1 支援チーム設置場所
3-2 チーム員の職種
3-3 チーム医師
[サイドメモ]認知症サポート医がいない
3-4 支援チームへの依頼ルート
4.依頼からモニタリングまで
4-1 訪問評価前に行うこと
4-2 初回訪問時に行うこと
4-3 チーム員会議で行うこと
4-4 再訪問で行うこと
4-5 最終評価と引き継ぎ
4-6 モニタリング
5.対象者の選定が難しい
6.次のステップ─リソースの活用、地域連携─
[サイドメモ]認知症地域支援推進員の活動内容
[サイドメモ]認知症カフェ
【第Ⅱ部】依頼からアセスメントそして対応
1.依頼から訪問まで
1-1 事前情報収集
1-2 チーム医師との連携
1-3 主治医/かかりつけ医との連携
1-4 訪問の調整
2.家の中に入り込む技
2-1 訪問を納得できるわかりやすい説明
2-2 好意を生む雰囲気
2-3 焦らずゆったり
[サイドメモ]突破口
3.アセスメント
3-1 観察からアセスメントする
3-2 アセスメントする環境をつくり出す
3-3 身体機能のアセスメントと疾患特異的なサインに気づく
[サイドメモ]疾患特異サインを見落とさない
3-4 認知症の行動・心理症状(BPSD)を捉える
[サイドメモ]BPSD
3-5 生活障害と脳機能障害を結びつけて評価する
3-6 効果評価のための指標
4.誰が何に困っているの?
4-1 “問題”とは何か
4-2 誰にとって何が問題なのか
4-3 何が問題の本質なのか
[サイドメモ]常識が問題を引き起こす
5.代表的な「困りごと」を考える
5-1 注意・実行機能障害を背景とする生活障害
5-2 記憶障害
5-3 社会脳(関係性の認知機能)の障害
5-4 もの盗られ妄想
5-5 嫉妬妄想
5-6 幻視や誤認
5-7 徘徊や無断外出
5-8 消費者被害
5-9 病気と向き合う
6.困りごとの背景にある不安への対応
【第Ⅲ部】認知症初期集中支援チームで実際に関わった20事例
1.本人の拒否などが問題の場合
事例1「人のことを勝手に認知症扱いして! もう二度と医者になんて行かないわ!」
事例2「俺はそんな老人が集まるところなんて行かない。何にも困ってないんだよ!」
事例3「わたしゃどこも悪くないから、医者になんか行かないよ!」
事例4「うちは妹が手伝ってくれるから、ヘルパーなんていらないですよ」
事例5「そんなに困ってること、ありませんけど」
事例6「私たち特に困っていないので結構ですよ」
事例7「おまえが財布を盗ったって、怒鳴るんですよ」
2.介護家族の対応などが問題の場合
事例8「わかっちゃいるけど、つい怒っちゃうんだよ」
事例9「こいつにはガツンと強く言ったほうが効くんだよ」
事例10「父の認知症が進んじゃって大変なんです!」
事例11「認知症の母の暴言がひどくて、もう限界です!」
3.服薬内容や周囲のおせっかいなど、その他の問題
事例12「車の鍵をよこせ!」
事例13「ご飯食べさせてちょうだい」
事例14「できなくなったら皆さんのお世話になりますから」
事例15「このままここで暮らしていきたいね」
事例16「この子の面倒は私がちゃんと見てるから大丈夫です」
事例17「薬がなくなっちゃうんですよ」
事例18「一人が気ままでいいのよ」
事例19「たまに手が出ることはありますけどね」
事例20「あんたのほうがおかしいから病院に行け!」
【第Ⅳ部】チーム員会議の討議方法
1.チーム員会議で議論すべきこと
[サイドメモ]和やかに討議する秘訣
2.チーム員会議の運営方法
2-1 頻度や構成メンバーなど
2-2 資料の作り方
2-3 チーム員会議の進め方
2-4 医師の役割
[サイドメモ]アルツハイマー型認知症治療薬の限界と医師の処方裁量権
2-5 情報通信技術(ICT)の活用
2-6 行政の立場から
[サイドメモ]認知症初期集中支援チーム検討委員会
【第Ⅴ部】「認知症初期集中支援チーム」の立ち上げと運営
1.スタートアップ
2.設置場所
3.窓口としての地域包括支援センターとチーム員の連携
4.医師会との連携の仕組みづくり
5.市民周知
6.行政との連携
6-1 チーム員会議について
6-2 国への事業報告や今後の展開
7.補遺:専門職へのメッセージ
7-1 看護職の読者へ
7-2 作業療法士の読者へ
7-3 社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の読者へ
7-4 介護支援専門員(ケアマネジャー)の読者へ
おわりに
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書籍情報
- ISBN:9784763995315
- ページ数:236頁
- 書籍発行日:2017年4月
- 電子版発売日:2024年5月29日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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