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- 外傷エコー診療のすすめ[Web動画付き]
商品情報
内容
外傷×エコーの有用性、可能性について、120本の動画と豊富な図写真で徹底解説しました!
プローブの持ち方は?何が見えて、どう診断するの?伝達麻酔は? 治療への応用は?
エコーを使いこなすための様々なノウハウを、エコーの達人から学べます!
「外傷」に焦点を当てているからこそ、臨床家が知りたい情報だけが網羅され、これからの診療に必ず役立つ一冊に仕上がりました!
序文
なぜ今,外傷・救急現場でエコーなのか?
足関節に内反ストレスをかけながら,前距腓靱帯を狙ってエコーのプローブを当ててみる.「見えない,やっぱりダメか…」 骨の輪郭のようなものは見えそうなのだが,とても役立ちそうにありません.卒後数年目に勤務していた,スポーツ整形外科の病院での私の悲しい経験です.足関節外側靱帯複合体損傷(当時は,外側側副靱帯損傷と呼んでいました)を,超音波で診断できるのではないかと試みていたわけです.見事に撃墜されました.肩の腱板損傷に対するエコー診断がはじまった頃で,今からピッタリ30 年前の話です.
約20 年前に帝京大学へ赴任したときに,笹原潤先生という一人の研修医と出会いました.彼は,学生時代はサッカー部で活躍し,かなりファンキーな医学生として有名であったらしい.それから十数年が過ぎ,整形外科の領域で超音波エコーをとても上手に活用する男になったという噂をよく耳にするようになりました.彼の学会予行を聴講すると,確かに面白い.超音波でこんなこともできるのだと,いつも感心させられます.最近のエコーの空間分解能は素晴らしく,骨・軟骨・筋肉・腱・靱帯・血管・神経,何でも見える,動きもわかる,しかも低侵襲です.
2019 年末からはじまったコロナ禍で,2020 年以降はWebinar が著しく増えました.そんなとき,運動器エコーに興味を持っている若手医師のグループの活動である,先進整形外科エコー研究会SMAP(Sonography for MSK Activating Project)の「運動器エコーセミナー」にゲストとして,親友のモガちゃん(順天堂静岡病院の最上敦彦先生です)とともに参加しました.私たちにとって,内容は非常に刺激的でした.救急外傷の領域では,心囊腔・胸腔・腹腔の3 か所の出血の有無を検査するFocused Assessment with Sonography for Trauma(FAST)がルーチンで用いられているのは知っていましたが,骨折・整形外科外傷領域でも超音波エコー検査には多くの可能性があると,二人で驚きました.そして,これはもっともっと広く普及させる必要があると思いました.
2023 年6 月29 日〜7 月1 日に,第49 回日本骨折治療学会学術集会が開催されます.学会長は,我らがモガちゃんです.会期中に,「運動器エコーと骨折(外傷)の診断・治療」をテーマに大きなセッションを設けたいと強い希望がありました.そこで,3 年間にわたり,SMAP のコアメンバーと私たち二人が定期的にZoom 会議を開き,学術集会の企画を練るとともに,それをまとめた書籍を作ることにしました.本書は,おそらく史上初(?)の学術集会とタイアップした書籍です! 編集の田澤佳枝さんには,3 年間にわたり会議に参加していただき,まとまりのない我々の話を上手にまとめていただきました.ありがとうございました!
目次を見てもらえばよくわかりますが,超音波エコーで運動器はどのように見えるのかという基本的なことから,伝達麻酔を上手くやるためのエコーガイドの実際,骨折や関節外傷に対するエコー診断,関節拘縮の予防のためのエコーの活用法に加えて,外傷エコー診療に活きる小ワザ集までが本書には収載されています.
これから超音波エコーを用いていこうとする若手医師は勿論,自分たちの頃はエコーなんぞ使えなかったわいという年配の先生まで,本書の内容は十分に満足していただけるものと確信しております.
2023年4月
帝京大学整形外科教授
渡部 欣忍
小生は,子供の頃からずっとサッカーを続けてきました.当然,順天堂大学医学部に入学してからもサッカー部に入部し,整形外科に入局を決めたときにも将来は「スポーツ整形外科医」になるつもりでした.ところが,整形外科の多彩な臨床分野に触れるうちに,股関節と手に興味をもつようになり,将来はそのどちらかの専門医になることを目指すようになりました.関連病院のローテーション期間が終わり,大学に戻るにあたっては,当然その両方の専門診に所属する予定でした.ところが,この両専門診は同じ曜日に外来があり,当時の医局長からどちらかを変更するようにと言われ,肩関節診はどうだ?と勧められました.その頃(今から二十数年前)の肩関節は,臨床的にもまだわからないことが多い分野でした.しかし,このような状況が逆に刺激になり,学べば学ぶほど面白い!と感じるようになりました.その後,関節鏡による診断・手術の爆発的な普及により,この分野は大きな発展を遂げるに至ります.ただし,小生はその発展の中で取り残されることになりました.残念ながら小生には致命的な欠点があったのです…関節鏡が嫌い(苦手)という….
時は流れ,小生は今の静岡(伊豆長岡)病院に移り,THA の研究で学位を取り,肩関節の鏡視下手術は後輩に任せてオープン手術のみを行っておりました.そんな中途半端な身分でしたが,ここには小生が昔から大好きだった「外傷(骨折)」の患者さんがたくさん運ばれて来ます.いつしかこれが小生のライフワークとなりました.一方で,外来では普通に一般整形外科患者さんの診察を行っております.当然,診察室には「エコー(超音波)」が常備されています.今や整形外科の診断・治療に欠かせない機器といえるでしょう.ただし,小生にはまたもや致命的な欠点がありました…エコー(超音波)が使えない(わからない)という….
コロナ禍によりWeb セミナーが普及し,これまでなら参加しないような分野の講演を拝聴する機会が増えてきました.そんななか,ひときわ元気でユニークなセミナーを開催する若手グループがありました.大親友の欣ちゃん(もちろん,本書でプロローグを書いている渡部欣忍教授)の部下である帝京の笹原先生を中心としたSMAP(Sonography for MSK Activating Project)です.その縁もあって,彼らが主催するセミナーにコメンテーターとして参加する機会を頂きました.エコーによって様々な病態が解明され,また診断のみならず積極的に治療に応用されていく様は,まさに圧巻でした.ところが,「外傷(骨折)」分野にはまだまだ展開の余地が残されていると強く感じました.そんな思いを彼らにぶつけ,2023 年夏に小生が静岡で主催する「第49 回日本骨折治療学会学術集会」で「外傷エコー」をメインテーマに据えることを確約するとともに,そのときまでに「外傷エコー」に特化した書籍の出版を目指して欲しい旨を告げました.果たして,彼ら(とその仲間)は最高の答えを示してくれました.それがこの『外傷エコー診療のすすめ』です.欣ちゃんとともに還暦を迎えた小生が,今更なにか新しいことを身につけるのは困難ですが,これからの整形外科医,とりわけ整形外傷(骨折)治療医が,この書籍を通して「エコー(超音波)」という協力な武器を手に入れ,縦横無尽に活躍されることを願っています.
この書籍ともっと早く出会いたかった…そう思わせてくれた渾身の一冊です.
2023年4月
順天堂大学静岡病院先任准教授
最上 敦彦
目次
第1章 まずエコーを使ってみよう!
A Step1 まず当ててみよう!
1.運動器構成体の見えかた深澤 真弓
2.骨折-軟骨骨折の見えかた松本 匡洋
宮武 和馬
都竹 伸哉
稲葉 裕
3.仮骨-骨癒合の見えかた酒井 瑛平
B Step2 実際に注射をしてみよう!
1.エコーガイド下注射のコツ①―注射前セッティング―小林 明裕
2.エコーガイド下注射のコツ②―注射中~注射後に困ること―片山 裕貴
第2章 現場で使える! エコーガイド下伝達麻酔
A 上 肢
1.総論 上肢伝達麻酔のすすめ臼井 要介
鈴木 重哉
2.各論
1)頚椎神経根,頚神経叢,腕神経叢(頚椎〜鎖骨上)加地 卓万
2)腕神経叢(正中・尺骨・橈骨),筋皮神経(腋窩〜上腕)
長谷川英雄
3)上肢末梢神経(肘〜前腕)小野健太郎
B 下 肢
1.総論 下肢伝達麻酔のすすめ酒井 規広
2.各論
1)大腿神経,伏在神経(鼡径~大腿)村上 友基
2)坐骨神経,脛骨神経,総腓骨神経,伏在神経(膝窩~足関節)釜谷 佳幸
3)下肢末梢神経下崎 研吾
C 体 幹
1.総論&各論 傍脊椎ブロック,脊柱起立筋面ブロック,腰神経叢ブロック武田 泰子
D 伝達麻酔時のピットフォール・トラブル回避術
1.伝達麻酔時のピットフォール山田 唯一
E 小児外傷ですぐ使えるブロック―薬液の知識と心構え―
1.子どもに優しい注射のコツ山田 和矢
橘田 綾菜
第3章 明日からの診療が変わる! 徹底解説 外傷エコー
A これだけは絶対押さえる! エコーが活躍する外傷
1.肩関節周囲の骨折・脱臼都竹 伸哉
宮武 和馬
2.小児肘関節周囲の骨折・脱臼中川 知郎
守屋 秀一
3.橈骨遠位端骨折樫山 尚弘
4.大腿骨近位部骨折酒井 瑛平
B ここまで見える! エコーが役立つ外傷
1.上腕骨骨幹部骨折岩田 秀平
2.肘内障高田 知史
3.手指外傷岩倉菜穂子
4.膝外傷橋口 直史
5.遠位脛腓靱帯損傷釜谷 佳幸
6.足関節三角靱帯損傷面谷 透
7.アキレス腱断裂笹原 潤
8.Lisfranc関節損傷岡田 洋和
9.肋骨骨折都竹 伸哉
宮武 和馬
10.頚椎外傷―椎骨動脈評価―石元 優々
C 外傷エコー診療に活きる小ワザ集
1.神経損傷を起こさない! 術前エコー評価①―鎖骨上神経,浅腓骨神経,腓腹神経―赤嶺 尚里
2.神経損傷を起こさない! 術前エコー評価②―外側大腿皮神経―酒井 瑛平
普久原朝海
3.絶対に残さない! 異物除去小林 明裕
4.絶対に見逃さない! コンパートメント症候群の圧測定川端 賢一
5.明日から使える! 下肢DVTのエコー診断と動脈血採取石元 優々
6.明日からできる! Wide awake surgery長谷川英雄
7.精密注射! 腰部麻酔佐々木克幸
8.精密照射! 低出力超音波パルス(LIPUS)療法におけるエコーガイド下ターゲティング大田 聡美
9.一般整形外科でも知っておくべき! VAFにおける腓骨動脈穿通枝の探しかた依田 拓也
第4章 外傷後拘縮をつくらない! エコーガイド下運動療法
1.手術だけで満足していませんか? ―エコーは医師とPTをつなぐ“共通言語”―宮武 和馬
2.肩関節外傷性骨折後の拘縮をつくらない運動療法直井 大地
河端 将司
小林 明裕
宮武 和馬
3.膝外傷後の拘縮をつくらない運動療法宮田 徹
河端 将司
小林 明裕
宮武 和馬
4.足関節外傷後の拘縮をつくらない運動療法芦原 光明
河端 将司
小林 明裕
宮武 和馬
エピローグ 外傷エコーの現実とこれから笹原 潤
酒井 瑛平
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書籍情報
- ISBN:9784865198225
- ページ数:406頁
- 書籍発行日:2023年7月
- 電子版発売日:2024年6月28日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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