ヒト血漿タンパク質 血漿プロテオームの異常と病気

  • ページ数 : 320頁
  • 書籍発行日 : 2024年7月
  • 電子版発売日 : 2024年7月31日
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商品情報

内容



最新の血漿タンパク質の研究成果をまとめた決定版。これまでの研究で、多くの血漿タンパク質種が細胞の活動や生体機能の調節に重要な役割を果たしていることが明らかにされている。今後、さらに多くの血漿タンパク質種の発現と機能が解明されれば、病気の原因の究明、発症機構の解明などの研究や、病気の診断、治療、予防のための新しい技術の開発につながる研究基盤が得られると期待される。また、血漿中に存在するタンパク質を網羅的、定量的に同定する血漿プロテオーム解析の進展により、膨大な情報が集積し始めた。本書は、最新のヒト血漿プロテオーム解析技術、血漿プロテオームを構成するタンパク質の種類と特徴、各種疾患によって発現変動するタンパク質、血漿タンパク質バイオマーカー開発の流れと現状をまとめている。基礎医学、臨床医学、生化学、タンパク質科学、プロテオーム科学などの研究者や、臨床検査などの実務者に役立つ内容となっている。

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序文

はしがき

生体の約60%を占める液体成分のうち8%ほどが血漿である. その中には6~8%のタンパク質が含まれている.その種類は多く,血液の機能に直接関与するタンパク質,生体成分を運搬するタンパク質,組織から漏出したタンパク質などさまざまなタンパク質が存在することが知られている.これまでの研究で多くの血漿タンパク質種が浸透圧の調整や,アミノ酸,金属イオン,脂肪酸,ホルモン,酸素の輸送,あるいはストレス耐性などに係わっており,細胞の活動や生体機能の調節において重要な役割を果たしていることが明らかにされた.今後,さらに多くの血漿タンパク質種,できればすべてのタンパク質種の発現と機能が解明されれば,病気の原因の究明,発症機構の解明などの研究が大きく進展すると考えられる.また,病気の診断,治療,及び予防のための新しい技術の開発につながる研究基盤が得られると期待される.

1980 年代から質量分析計など生体中のタンパク質の発現を解析する技術が発達した.1990 年代にはプロテオームの概念が生まれ,新しい技術によって血漿中に存在するタンパク質を網羅的,かつ定量的に同定する血漿プロテオーム解析が可能になった.その結果,血漿中にどのような種類のタンパク質があるのか,さまざまな生理的条件,ストレスや疾患によってタンパク質のプロファイルがどのように変化するのか,などに関する膨大な情報が集積し始めた.

ヒト血漿タンパク質に関する書籍としては,1974~1976 年にA. C. Allison 編"Structure andFunction of Plasma Proteins"( 全2 巻), そして,1975~1987 年にF. W. Putnam 編"The PlasmaProteins"(全5 巻)が出版された.これらの本には,血漿タンパク質の全体像や主要な血漿タンパク質の構造と機能,あるいは病気との関係などが記述されている.また,2008 年にJ. Schaller らが著した"Human Blood Plasma Proteins Structure and Function"が出版された.この本には,主な血漿タンパク質の立体構造と機能について解説がある. 一方,わが国でも1968 年に河合 忠著"血漿タンパク質,その基礎と臨床"が,1979 年に平山千里・右田俊介編"血漿タンパク質,構造・機能・病態"が出版されている.これらの本には,臨床検査と関連した主要血漿タンパク質に関する解説がある. また,2001 年には,長澤滋治編"血漿タンパク質"(全2 冊)が出版された.これには,血漿の主要タンパク質の構造的特徴や機能などが記述されている.しかし,いずれの書籍にも近年のプロテオーム解析で得られた結果に関する記述はほとんどない.

河合の著書の出版から半世紀,また,長澤らが編集した本の出版から20 年以上が経過した.その間にプロテオーム分析手法を用いた血漿タンパク質の解析が急速に進展した.そこで,この機会にプロテオーム研究の成果を含めた新しい血漿タンパク質の書籍の出版を企画した.本書を読んでいただき,最新のヒト血漿プロテオーム解析技術,血漿プロテオームを構成するタンパク質の種類と特徴,各種疾患によって発現変動するタンパク質,血漿タンパク質バイオマーカー開発の流れと現状などについて理解を深めていただければ幸いである.

なお,血漿プロテオーム,あるいは血漿タンパク質に関する論文はきわめて多く,すべての文献を調査することはできなかった.しかし,本書が,研究の現状を反映したものになっていると確信している.基礎医学,臨床医学,生化学,タンパク質科学,プロテオーム科学などの研究者や学生,臨床検査などの実務者の今後の調査・研究に本書を役立てていただきたい.

本書作成に際しては,原稿が揃った時点で,プロテオミクスに関する記述については主として平野が,また,医学・医療に関する記述については主に白川が専門性を活かして校閲した.最後に,本書上梓に当たり,貴重な情報や図を提供して下さった方々,及び横浜市立大学学術情報センターに謝意を表したい.また,本書の企画・出版をお世話下さった糠塚さやか氏をはじめとする丸善出版株式会社企画・編集部の方々に心からお礼申し上げる.


2024 年春

平野 久・白川 純

目次

第1部 血漿プロテオームの特徴

第1章 タンパク質の一般的特徴

1.1. タンパク質の構造

1.2. 機能ドメイン、モチーフ、モジュール

1.3. プロテインファミリー

1.4. アイソフォーム

1.5. 翻訳後修飾

1.6. タンパク質の総体:プロテオーム

1.7. プロテオフォームとタンパク質種

1.8. タンパク質とRNAの発現

第2章 血漿プロテオーム

2.1. 血漿と血清

2.2. 血漿タンパク質の特徴と分類

2.3. 血漿プロテオーム解析の方法

2.4. 血漿プロテオーム解析のガイドライン

2.5. 血液タンパク質の合成と分解

2.6. 血漿プロテオーム構成タンパク質の種類

2.7. 血漿由来の細胞外小胞のプロテオーム

2.8. 高濃度血漿タンパク質

2. 9. 血漿タンパク質の構造的特徴

2.10. 血漿タンパク質の機能

2.11. 血漿タンパク質の翻訳後修飾

2.12. タンパク質の量的形質遺伝子座

2.13. プロテオゲノミクス

第2部 プロテオームの発現異常と疾患

第3章 プロテオームの発現異常と疾患

3.1. プロテオーム不均衡(インバランス)

3.2. タンパク質の発現や存在量を制御するシステムの異常

3.3. 翻訳のエラー

3.4. 遺伝的変化

3.5. 相互作用の異常、複合体形成の不均衡

3.6. タンパク質の不適切な局在

第4章 血漿タンパク質の異常と疾患

4.1. 疾患関連血漿タンパク質の検出事例

4.2. 遺伝的変異と血漿タンパク質レベルの変化

4.3. タンパク質の翻訳後修飾の異常と疾患

第5章 疾患関連血漿タンパク質解析及びバイオマーカー探索の現状

5.1. バイオマーカー探索の流れ

5.2. 癌

5.3. 心血管疾患

5.4. 血液・凝固疾患

5.5. 脳卒中

5.6. 呼吸器肺疾患及び障害

5.7. 自己免疫疾患

5.8. 骨疾患

5.9. 代謝異常関連脂肪性肝疾患

5.10. 神経・精神疾患

5.11. 感染症

5.12. ウイルス感染症

5.13. 婦人科及び妊娠関連疾患

5.14. 先天性疾患

5.15. 糖尿病

第6章 臨床検査と血漿タンパク質

6.1. タンパク質ネットワークとバイオマーカー

6.2. 血清タンパク質ネットワークの機能

6.3. 血清タンパク質ネットワークは遺伝学と病気を連結する

6.4. 血清タンパク質ベースのバイオマーカープラットフォーム: 個別化医療の実現

6.5. 実用化されたバイオマーカーが少ない理由

第3部 疾患関連血漿タンパク質の特徴                   

第7章 疾患関連血漿タンパク質の物理化学的及び生理・生化学的特徴

参考文献


索引

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書籍情報

  • ISBN:9784621309834
  • ページ数:320頁
  • 書籍発行日:2024年7月
  • 電子版発売日:2024年7月31日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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