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- 今日からできる!栄養管理のためのフィジカルアセスメント 知っておきたい基本のバイタルサインから,浮腫,低栄養の評価まで Web動画付
商品情報
内容
●月刊「臨床栄養」の好評別冊がバージョンアップし,待望の書籍化!
●バイタルサインの確認や,触診・聴診などの基本手技,身体各部位からのフィジカルアセスメント,人工栄養中のアセスメントまで広く紹介.栄養管理に役立つフィジカルアセスメントの基本から応用までを,この一冊で丸わかり!
●イラストや動画を数多く取り入れたわかりやすい解説で,学生や若手管理栄養士など初学者でも理解が進む!
●フィジカルアセスメントから得られた所見から栄養介入への多角的なアプローチをめざす! 管理栄養士の臨床を変える,一歩進んだ必読書!
序文
はじめに
皆さんは,新幹線に乗車しているときに「急病人が発生しましたので医療従事者の方がおられましたら至急○○号車までお越しください」という放送を聞いてどう思いますか.大半の皆さんは,助けに向かいたい気持ちはあるものの自分が駆け付けるには躊躇することでしょう.その理由は,自分が行っても何ができるのだろうかと不安であることが多いと予想します.著者は,麻酔科医ですので一目散に現場に向かった経験が何度かあります.目の前に瀕死の方がいるから救命処置をしてほしいというケースもまれにあります.車内にはAEDもありますし心肺蘇生の手技はかなり普及していますので救命処置は一般の乗客でも行われます.しかし,多くの場合,目の前に倒れている人がいるけれど新幹線を止める必要があるか否かの判断をしてほしいというアセスメントが求められています.たとえば,東海道新幹線ののぞみに新横浜駅から乗車すると,次の名古屋駅まで約90 分間ノンストップで走行します.ここで,車内で倒れている人がいたときに,名古屋駅まで待てるのか,すぐに最寄りの駅に止めるのかの判断がむずかしいのです.現場には聴診器や血圧計などの医療器具はもちろんありません.どんな場所でも,状況でも,役に立つスキルがフィジカルアセスメントです.著者が経験した例は,静岡駅付近で30代男性が口から泡を吹いて倒れたという状況で,上記の判断を求められました.著者は,意識,呼吸,脈拍をアセスメントして意識以外は安定していること,そして同席していたご家族からてんかんの持病があることなどを確認して,名古屋駅で救急車をよびましょうと指示をだすことができました.まさに,フィジカルアセスメントのスキルが役に立った瞬間でした.現代の麻酔はテクノロジーが発達して,高度の機能を有したモニタリングシステムが確立されています.麻酔科医は手術中は飛行機のコックピットのような空間で仕事をしています.しかし,目の前の患者が元気か否かの判断やアセスメントは,今でもフィジカルアセスメントなのです.優れたモニタが大丈夫と示していても,患者の身体を触り,皮膚の温かさ,脈拍の拍動,手を握る力強さ,これらを感じ取り目の前の患者が元気であることを確認する毎日です.
著者は,麻酔科医で,かつ栄養管理の専門家という稀有な存在かもしれません.稀有な存在である著者にしかできないことが,栄養管理のためのフィジカルアセスメントの知識を習得させること.医師や看護師はフィジカルアセスメントの教育を受ける機会にも臨床現場にも恵まれてきました.しかし,管理栄養士は大学でも社会人になってもその機会は少ない現状です.医療現場で働く管理栄養士が増えた現在,目の前に倒れている人がいても躊躇せずアセスメントできるスキルくらい有していないとなりません.さらには,医師や看護師とは違った視点から栄養管理に役立つフィジカルアセスメントのスキルを有していてほしい,栄養の専門家なのだからと思っています.
本書は,これから栄養管理を学ぼうとしている栄養管理の初心者がフィジカルアセスメントを目でみてわかるようにイラストや動画を多く取り入れています.そして,社会人管理栄養士が日頃の栄養管理において当たり前に理論に基づいてフィジカルアセスメントが実施できるようにわかりやすく解説しています.本書で系統的にフィジカルアセスメントの技術を習得すれば,読者の皆さんの栄養管理に欠かせない一生のスキルとなることを確信しています.
医師は病気を見逃さない,看護師はケアのポイントや患者の急変を見逃さない,管理栄養士は栄養不良(過多も含む)を見逃さないためにフィジカルアセスメントが実施されるのです.さあ,フィジカルアセスメントの世界を一緒に満喫しましょう.
目次
第1章 フィジカルアセスメントQ&A
Q1 どんなことが実施された場合,フィジカルアセスメントとよばれるのですか?
Q2 医師や看護師がフィジカルアセスメントするほかに,管理栄養士が実施する目的は?
Q3 フィジカルアセスメントって,管理栄養士がやってもよいのですか?
Q4 フィジカルアセスメントって,栄養管理に役立つのでしょうか?
Q5 フィジカルアセスメントって,どんな順番で実施するのでしょうか?
第2章 フィジカルアセスメントのはじめの一歩がバイタルサインの確認
フィジカルアセスメントのはじめの一歩がバイタルサインの確認
バイタルサインのアセスメントができていないと……こんな不幸な結末に:意識レベルのアセスメント例
栄養管理に必要な5つのバイタルサイン
意識レベル
ジャパン・コーマ・スケール(JCS)
グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)
栄養管理には,こう活かそう
経口摂取の開始目安
栄養指導が可能なレベル
栄養に関連して生じる意識レベルの低下症状
呼吸機能
呼吸回数をみる
呼吸回数の計測方法
呼吸状態の異常のサイン“頻呼吸”を見逃さない
呼吸パターンをみる
吸気と呼気のパターン
呼吸のリズム
胸とお腹の動き
これをみたら一大事の呼吸を知る
下顎呼吸,鼻翼呼吸,あえぎ呼吸
シーソー呼吸……食事と関連して起こることも
起坐呼吸
血圧,脈拍
言葉の定義……心拍数と脈拍数は違う
脈拍のアセスメント
橈骨動脈の触知方法
足背動脈の触知方法
総頸動脈の触知方法
体温
表面体温と深部体温(中核温)
体温計の種類
体温計測における留意事項
運動後や食後は体温が上昇する
日内変動に注意する
高齢者では腋窩温はあてにならない
体温は熱型が大事
稽留熱
弛張熱;spike fever
間歇熱
波状熱
バイタルサインモニタ
バイタルサインモニタを知る,読む
バイタルサインモニタのモニタリング項目
バイタルサインモニタの読み方
栄養管理のために生体情報(バイタルサイン)モニタをアセスメントする
バイタルサインモニタの血圧は,ここを見ましょう
第3章 フィジカルアセスメントの基本手技
フィジカルアセスメントを実施する前に必ずすべきこと
Step1.コミュニケーションをとることからはじめよう
Step2.徹底的な事前情報の収集をしてから臨もう
Step3.バイタルサインを確認してから臨もう
触診
四肢末梢の触診
手の触診
下腿の触診
筋肉・脂肪の触診
筋肉の触診
脂肪の触診
サルコペニアの抽出(スクリーニング)
腹部の触診
浮腫の触診
浮腫の基本的な見方
浮腫の原因を探索する見方
浮腫の原因と特徴
浮腫への対応
聴診
聴診器の正しい使い方
聴診器の各部位の名称
聴診器の使い方
聴診器の当て方
呼吸音の聴診
正常な呼吸音を知っておく
方法
異常な呼吸音を知る
腸管蠕動音の聴診
正常な腸管蠕動音を聴く
異常な腸管蠕動音を聴く
チューブ先端位置の確認音
X線撮影
胃液の吸引
聴診法
嚥下音
第4章 栄養診断のためのフィジカルアセスメント
顔貌からのアセスメント
栄養不良を疑う有名な顔貌
ヒポクラテス顔貌
デューラーのマザー顔貌
栄養管理に苦慮しそうな顔貌
パーキンソン様顔貌
Bell麻痺にみられる特徴的な顔貌
クッシング様顔貌
バセドウ病顔貌
頭髪からのアセスメント
スキンヘッド
年齢不相当な白髪
眼球・眼瞼からのアセスメント
眼瞼の異常
眼瞼浮腫
眼瞼下垂
貧血のサイン
眼球の異常
眼球突出
眼球黄染
眼球陥没
口腔,口唇,舌からのアセスメント
口腔内をアセスメントする方法
アセスメントの実際
口唇
歯牙
舌
口腔粘膜
口蓋垂・扁桃
頸部からのアセスメント
頸部の全体的な視診
頸静脈の観察
頸静脈怒張のアセスメント
胸腹部からのアセスメント
胸部
腹部
四肢からのアセスメント
手掌,手指からのアセスメント……離握手
離握手でわかる栄養管理への3つのヒント
注意点
爪と栄養状態
下肢からのアセスメント
末梢循環,体液状態
排出された体液からのアセスメント
尿からのアセスメント
尿量
尿の色調
便からのアセスメント
ブリストル(便)スケール
キングス・スツール・チャート(King's stool chart)
第5章 人工栄養中のフィジカルアセスメント
経腸栄養中のフィジカルアセスメント
経腸栄養開始時のアセスメント
経腸栄養中のフィジカルアセスメント
呼吸・循環が急激に変化した場合
胃管先端位置の確認方法
下痢を呈した場合
経静脈栄養中のフィジカルアセスメント
末梢静脈栄養中のフィジカルアセスメント
静脈炎の確認
ルート感染
頻脈,動悸
中心静脈栄養中のフィジカルアセスメント
カテーテル穿刺による有害事象
中心静脈栄養中の有害事象
第6章 ケーススタディ
脱水症のフィジカルアセスメント
栄養管理に関連した心不全のフィジカルアセスメント
アナフィラキシーショックを疑った場合のフィジカルアセスメント
肝硬変の重症度のフィジカルアセスメント
Q&A
付録
1.栄養管理のためのフィジカルアセスメント記録用紙
2.フィジカルアセスメント手順書
3.管理栄養士がフィジカルアセスメントに携帯したい7つ道具
4.栄養管理に役立つフィジカルアセスメントに活用したいパルスオキシメータ
索引
Memo
痛み刺激を与える方法
チョークサイン(choke sign)
手のひらから貧血を診断
30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)
抗癌剤の副作用
眼球・眼瞼・眼窩の場所を再確認
眼瞼結膜の見方,注意点
触診の前に
Coffee break
意識障害の鑑別「あいうえおちっぷす」
誤嚥性肺炎は左右どちらに起きやすいか,ご存じですか
痛みは第5のバイタルサイン
アナフィラキシーと呼吸症状
咽喉マイクを使用した連続的な嚥下音の聴取
白髪が増える機序
オレオの食べ過ぎにだまされた
静脈の太さから体液を推測する方法(エコー法)
どちらの腹痛に緊急性があるか─押したとき痛いor離したとき痛い?
握力計の正しい計測方法(+管理栄養士のフィジカルアセスメントで持ち歩きたい7つ道具)
高齢者では尿の色調は脱水症の検出に適していない
食欲をアセスメントする
急性脱水症・慢性脱水症
世界基準となりつつあるGLIMクライテリアを知る
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書籍情報
- ISBN:9784263708538
- ページ数:184頁
- 書籍発行日:2024年7月
- 電子版発売日:2024年8月16日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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