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- 医師と薬剤師が考える処方箋のつくり方
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序文
はじめに
●処方箋は誰がつくるのか?
本邦の医師法・薬剤師法などに基づけば,「処方権」は医師・歯科医師・獣医師が,「調剤権」は薬剤師が有しています.処方箋は医師が作成し,薬剤師はそれを確認したうえで,調剤・交付を行うことになっています.一方,諸外国に目を向けてみると,英国では薬剤師に独立型処方権が認められ,一定のトレーニングプログラムを修了することで処方権を取得することができますし,米国でも「一定の条件下」において処方箋を発行できる依存型処方権があり,プロトコルに基づいた処方が行われているようです.
日本でも時折,「薬剤師に処方権を!」という話題が出てくることがあります.ここではその是非については触れませんが,今後も検討されていく可能性は高い問題だと思っています.ただし,まずは現状体制における医師と薬剤師の共同作業がどこまでできるのか?を考えてみるほうが有益だと考えています.すなわち,医薬分業で「処方権」と「調剤権」が職種で分かれている現状でどんなことができるだろうか?という視座で,「どんなアプローチがあるのかを一緒に考えてみよう!」というのが,本書のねらいです.
医療の世界では多職種協働の重要性が叫ばれ,本邦でも多職種連携におけるコンピテンシーが提唱されています.この中でコア・ドメインとして,連携のコアは患者中心性と職種間コミュニケーションであるとされ,さらに,それを支える4つのドメインに,①職種役割を全うする,②他職種を理解する,③関係性に働きかける,④自職種を省みる,が挙げられています.
本書では,医師と薬剤師がそれぞれの職種役割を全うし,関係性に最大限働きかけたら,どんな処方箋ができるだろうか?という問いに対して,盟友の青島周一先生と一緒につくりあげた処方箋です.今回のやり取りを通して,私自身が薬剤師という職種の理解が深まるとともに,医師という自らの職種を省みる機会となりました.
本編では,症例提示,医師と薬剤師の対話を提示することによって,医師と薬剤師がどのように判断し,処方箋を検討・修正し,決断していくのかというプロセスを明らかにしました.患者との対話を通して得られた情報が医師と薬剤師の判断にどのように影響するのか,その判断の結果,どのように見える景色が変わり,新たな物語が見えてくるのか,ぜひ一例一例考えていただければと思います.
2024年7月吉日
著者 矢吹拓
目次
序章 薬剤師による処方提案と医師との関係性
1章 経口血糖降下薬:2型糖尿病患者における第二選択薬
2章 睡眠導入剤:若年男性の不眠への対処
3章 抗菌薬:単純性膀胱炎
4章 高脂血症治療薬:脂質異常症
5章 便秘薬:便秘症
6章 鎮咳薬:咳喘息
7章 降圧薬:高血圧
8章 解熱鎮痛薬:片頭痛
9章 骨粗鬆症治療薬:骨粗鬆症
10章 抗菌薬:感染性胃腸炎
11章 抗ヒスタミン薬:花粉症
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書籍情報
- ISBN:9784621310007
- ページ数:184頁
- 書籍発行日:2024年9月
- 電子版発売日:2024年9月19日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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