理論から攻める合格点の感染症診療

  • ページ数 : 180頁
  • 書籍発行日 : 2024年12月
  • 電子版発売日 : 2025年1月7日
4,400
(税込)
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商品情報

内容

「とことん読みやすく分かりやすい」感染症診療の入門書
日経メディカル Onlineの好評連載に大幅加筆!


多くの臨床医にとって、避けては通れない感染症診療。一方で、ともすると自身や先輩医師の経験に基づいた“とりあえず”の選択を取ってしまいがちです。でも、感染症診療には普遍的な「理論」があり、それをなぞっていくだけで日常診療はかなり楽になります。

本書では、5つの要素から成る感染症診療の「理論」について、具体的な症例やありがちなシチュエーションを挙げながら紹介します。難しいことは一切なし。微生物や抗菌薬の名称は最低限に、軽妙な語り口で「合格点の感染症診療」のために必要な知識をとことん分かりやすくお届けします。医師、医学生はもちろん、看護師や薬剤師などにも手に取っていただきたい、入門書として最適の1冊です。

序文

はじめに


世間が令和という元号に順応し、2000年代生まれの初期研修医が誕生し始めたこの時代。書店には臨床感染症の教科書が所狭しと並んでおり、ウェブ上でも「感染症 教科書」と検索すれば誰でも知っているメジャーなものから、通好みのマイナーなものまで無数の教科書がヒットします。

その中から何をどの順番で読み、学べばよいのか悩ましく思う若手医師は多かろうと想像します。一冊で総論から各論まで網羅できる分厚い教科書を買うべきか、カテゴリごとに評判の良い教科書を買いそろえるかなど、やり方は色々です。同じ教科書でも人によって合う・合わないもありますし。

本書はといいますと、昨今では珍しく微生物や抗菌薬、疾患の各論的情報を一切排し、臨床感染症の根幹たる理論部分のみをコンテンツとする教科書です。めくっていただければお分かりになると思いますが、微生物の名前も抗菌薬の名前もほとんど出てきません。感染症診療にまつわる書籍の巻末でよく見かける、腎機能別の抗菌薬投与量の表すら付けていません。あるのは感染症に対峙したときに必要となる基本的な思考プロセスの話だけ、兎にも角にも理論の話に振り切った内容にしています。

ですので、すみません。感染症診療の全てを掌握する、すなわち微生物の何たるかを知り尽くし、抗菌薬を華麗に使いこなす、それをこの一冊で成し遂げるのは、無理です。この一点については謹んでお詫び申し上げます。

しかし、です。各論に全く触れない分、総論部分については誰でも確実に習得できるように綴りました。およそ医学書とは思えないライトな筆致にし、分かった気分になるためだけの図表も可能な限りなくし、思考回路とシンクロしてスイスイ読めるようレイアウト・配色も工夫しました。医師はもちろんのこと、看護師(診療看護師は特に!)、薬剤師、臨床検査技師などなど、様々な職種でご活躍の皆様に手に取っていただき、エッセイ本でも読むような気軽さで読み進めていただければ幸いです。読み終える頃には感染症診療の基本となる頭の動かし方が体得されていることでしょう。

なお、本書ならびにそのベースとなる連載「感染症診療のマテリアル」(2023年1月~ 2024年3月に日経メディカル Onlineの若手医師・医学生向けサイトCadetto.jpにて掲載)は、本邦における偉大な先人の一人である、大曲貴夫先生(国立国際医療研究センター病院副院長・同国際感染症センター長)による『感染症診療のロジック』(南山堂、2010年)に計り知れないインスピレーションを受けて筆を執ったものです。大曲先生にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

発刊に際し、連載時から毎回原稿を厳しくチェックして下さった小田智三先生、より実臨床的な視点でご意見を下さった谷山大輔先生にはお礼の申し上げようもございません。感謝っ・・・・! 圧倒的感謝っ・・・・!

そして、僕の素人丸出しの原稿を突き返すことなく優しく朱を入れてくださった日経メディカル編集部の宇佐美知沙様。連載初期、右も左も分からなかった僕に執筆の道筋を示してくださった、同じく日経メディカル編集部の江本哲朗様。大変お世話になりました。お二人にご担当いただけていなかったら、僕、多分挫折してました。

最後に、僕が仕事をするのをニコニコ見守ってくれた長男の準、一生使えるアイコン(帯や各章冒頭にある似顔絵)を描いてくれた長女の雪、連載時には各項の冒頭にお手製のイラストを添え、本書の著者校正では原稿の全てを一緒に音読しチェックしてくれた妻の麻依子、三人には最高級の感謝を申し上げます。


それでは…準備はよろしいですか?

ゆめと ぼうけんと!

かんせんしょう しんりょうの せかいへ!

レッツ ゴー!


2024年12月

髙野 哲史

目次

第I章 感染症診療の「5つの要素」

・「理論」をなぞれば感染症診療は楽になる

・より適切な感染症診療のための「5つの要素」

第II章 「5つの要素」理論編

要素1 患者背景・経過の把握

1. 原因微生物の候補は患者背景で大いに変わる

2. 原因微生物の推定に大きく関わる「免疫不全」

3. 皮膚だけじゃない、正常解剖構造の異常

4. 気付くことが重要、細胞性免疫障害

5. 脾摘後患者に要注意、液性免疫障害

6. 感染症のリスクに直結、好中球減少状態

要素2 感染臓器の検索

1. 感染臓器の検索なくして原因微生物の予想なし

2. 抗菌薬は感染臓器によって変わり得る

要素3 原因微生物の推定

1. 微生物学的診断を妥協してはならない理由

2. 血液培養(1)陰性を喜ぶ検査です

3. 血液培養(2)採取のお作法を確認しておこう

4. 黄色ブドウ球菌(1)よく出会うからと侮るなかれ

5. 黄色ブドウ球菌(2)SAB のマネジメントはとにかくキッチリ

6. 緑膿菌(1)どこにでもいるブドウ糖非発酵菌

7. 緑膿菌(2)特別扱いが必要な理由

8. 緑膿菌(3)「緑膿菌カバー」に気を取られすぎない

要素4 抗微生物薬の選択

1. 抗菌薬は「決める」のではなく「決まる」

2. 「最適」な治療薬を選ぶための3ステップ

3. 薬剤感受性検査結果は「共通言語」

4. 「S なのにSじゃない」一体なぜ?

5. S、I、R にSDDってどういう意味?

6. MICの正しい使い方

要素5治療経過の予想・推定

1. 治療効果を「目視」せよ

2. 経過観察でも感染症の「原因」を意識

第III章 「5つの要素」実践編

症例問題

1. 「肺炎」だけで終わらせない

2. 困難は細かく分割し評価せよ

3. 膝の異物にご用心

4. レベルはいいから物理で殴れ

マイナートラブルシューティング

Q1 CRP上昇=抗菌薬を投与すべき?

Q2 抗菌薬は何に溶かせばいい?

Q3 軽症なら抗菌薬を減らしていい?

Q4 抗菌薬の投与設計、カルテ記載時の注意点は?

Q5 治療開始後も培養検査って必要?

Q6 血培ボトルの供給不足、どう対応?

Q7 感染症って、どう勉強したらいい?

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書籍情報

  • ISBN:9784296205790
  • ページ数:180頁
  • 書籍発行日:2024年12月
  • 電子版発売日:2025年1月7日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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