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- さらにワンランク上の産科麻酔に必要なエビデンス
商品情報
内容
序文
序文
この度は,「さらにワンランク上の産科麻酔に必要なエビデンス」をお手に取っていただいただけでなく,序文にまで目を通してくださり,心から嬉しく思います。
2017年に刊行した「ワンランク上の産科麻酔に必要なエビデンス」は,日々の臨床に活かせる厳選された文献に加え,専門家によるeditorial commentsが学びを深め,文献レビューの枠組みに囚われない一冊で,増刷されるほど好評でした。これもひとえに,多くの麻酔科医,産婦人科医だけでなく,集中治療医,救急救命医,さらに助産師,薬剤師など,多くの方々が『産科麻酔』に興味をもち,支えてくださっている賜物です。
前作から7年の月日が流れ,日本の産科麻酔診療は大きく変化しております。多くの医療者が硬膜外産痛緩和,いわゆる無痛分娩に関わるようになってきたとともに,学会や団体も活発になってきております。今回の書籍では,前回同様「帝王切開の麻酔」「産痛緩和」「安全管理:母体編」「安全管理:胎児編」の4章立てで構成されていますが,小項目をなくし,25項目から21項目へ厳選しました。定評のあるeditorialcommentsも,ボリュームが圧倒的に増えています。前回は麻酔科医の先生だけにご依頼させていただきましたが,今回は産婦人科医や新生児科医,助産師など,麻酔科医以外のプロフェッショナルによる視点も盛り込んでおります。また,新たな試みとして,編集・監修側から一部の著者の先生へぜひ取り上げていただきたい論文を指定させていただきました。前作との違いも見比べて,楽しんでいただければ幸いです。
帝王切開の麻酔では,実臨床における個々のテクニカルな技術から,周術期管理全体を俯瞰してアップデートできるように,術中管理だけでなく,術後管理として術後回復力強化(ERAS)について取り上げました。出産後回復は,近年欧米の産科麻酔を中心にホットトピックのひとつであり,周術期管理の専門家として,麻酔科医のコミットメントが求められています。術中だけにしか関与しない前時代的な術後鎮痛から,しっかりと麻酔科医が術後に痛みを診断し,治療計画を立て,早期回復に関与できるような時代の一助となって欲しい想いがこもっております。
痛いのが当たり前と考えられていた,日本の出産は大きな転換点を迎えています。医師の働き方改革,周産期医療の構造変化,出産の保険化など,学術団体だけでなく行政も積極的に関わるようになってきました。2024年5月に公表された「出産なび」では,全国2,044施設の情報が掲載され,病院または診療所における硬膜外産痛緩和への対応状況は46%(著者調べ,2024年9月5日)と,もはや当たり前の診療になりつつあります。産痛緩和の項では,最新のトレンド,胎児・新生児への影響,さらに非薬物的産痛緩和まで,幅広くカバーしました。麻酔薬によらない産痛緩和も,匠の技として使いこなせる麻酔科医が増えていって欲しく,取り上げさせていただきました。
安全管理については,母体側の視点,胎児・新生児側の視点,双方から幅広くトピックを選びました。産科麻酔診療において,重症例には「いつも突然に」遭遇します。日常臨床において,どのくらい想定をするか,その範囲を可能な限り広げることで,より安全で質の高い周産期診療へ,麻酔科側からサポートできることは少なくありません。ぜひとも,落ち着いたときに学んでいただき,緊急時に備えてください。
本書をお届けするにあたり,埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔および川越周産期麻酔フェローシップで研修された先生の協力なしでは,成し得ませんでした。この場をお借りして,厚く御礼申し上げます。また,同センターや学会活動,SNSで情報交換させていただいている多くの先生には,突然執筆のお願い差し上げたうえ,編者のこだわりに付き合っていただき,ありがとうございました。垣根を越えた情報交換ができるよう,これからも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。さらに,常に助言をくださり,優しく見守ってくださる照井克生教授の深い愛情に,改めて感謝いたします。照井先生との出会いがなければ,私は夢を叶えることも,楽しく人生を謳歌することもなかったでしょう。感謝してもしきれないとは,まさにこのことと常に感じながら過ごしております。本当にありがとうございます。最後に,刊行にあたり,企画からタイトルの選別,締め切り間際の激励など最後まで迷惑をかけっぱなしだった克誠堂出版の手塚雅子様に心より御礼申し上げます。
私事となりますが,やりたいことに没頭できる環境を支えてくれる妻奈津子,成長しても気苦労の絶えない3人の息子たち(龍典,隼典,叡典)に,この場を借りて改めて感謝します。
2024年秋 東京にて
埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科客員准教授 松田 祐典
目次
第1章 帝王切開の麻酔
1.脊髄くも膜下麻酔後低血圧予防……渡辺 楓・松田 祐典
2. Enhanced recovery after cesarean……鬼塚 一聡・松田 祐典
3.術後悪心・嘔吐……酒巻 大輔・松田 祐典
4.全身麻酔……加藤 梓
5.妊婦の気道管理……齋藤 朋之
6.子宮収縮薬……成瀬 智
7.髄膜穿刺後頭痛……近藤 弘晃・日向 俊輔
第2章 産痛緩和
1.脊髄幹鎮痛のトレンド……須賀 芳文
2.硬膜外鎮痛が分娩転帰に与える影響……伊集院 亜梨紗・佐藤 正規
3.硬膜外鎮痛の胎児・新生児への影響……今西 洋介
4.非薬物的産痛緩和……田辺 けい子
第3章 安全管理:母体編
1.妊娠高血圧症候群……小嶋 宏幸・松田 祐典
2.産科危機的出血
3.羊水塞栓症……秋永 智永子
4.心疾患合併妊婦……肥塚 幸太郎・松田 祐典
5.母体の集中治療……加藤 崇央
6.母体の心肺蘇生……細川 幸希
第4章 安全管理:胎児編
1.胎児治療の麻酔……山下 陽子
2.新生児蘇生……藤本 健志・難波 文彦
3.産科麻酔と発達脳への影響……松田 祐典
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書籍情報
- ISBN:9784771905986
- ページ数:272頁
- 書籍発行日:2024年11月
- 電子版発売日:2025年1月28日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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