• m3.com 電子書籍
  • それ、小児POCUSでできます! ~臨床に活きる子どものエコーの上手なあて方・見かた、教えます!~

それ、小児POCUSでできます! ~臨床に活きる子どものエコーの上手なあて方・見かた、教えます!~

  • ページ数 : 279頁
  • 書籍発行日 : 2025年1月
  • 電子版発売日 : 2025年1月30日
¥5,500(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 100pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当
point-info
お気に入り
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

小児POCUSを「活用したい」,「身に付けたい」に応えます!
救急外来や病棟・ICUなどの場面別に,小児のコモンな疾患に対するPOCUSの適応や描出方法,ピットフォール,活用の限界などを解説!POCUSを活用すれば,小児診療ならではの悩み・難しさを克服できる!

序文


~ POCUS を臨床で活かすためのロジックと本書の使い方~

本書を手にとっていただきありがとうございます.

兵庫県立こども病院 救急科の竹井寛和と申します.

「突然ですが,皆さま,臨床現場でエコーしてますか?」

すでに毎日のようにプローブを握っている方もいれば,よっしゃこれからエコー頑張っていくでー!と心新たにしている方もいるかと思います.

2011年のMoore のNEJM 総説1)を皮切りにPOCUS の隆盛をきわめた2010年代でしたが,AI テクノロジーの導入2),CT/MRI の進化は目覚ましく,特に成人領域では一部のシチュエーションを除いてエコーの優位性が疑問視されつつあります.

しかし,小児領域は別です.X 線写真,CT,MRI は小児にとって身体的・精神的侵襲性が大きく,Child First マインドを鑑みるとエコーの優位性はいまだ健在です.診療のなかでなんとかエコーを使いこなしたいと強く思う小児医療従事者は多いのではないでしょうか.

本書はそんな小児医療従事者の方々を対象にしています.小児科医,救急医,初期研修医,若手,ベテランを問いません.小児のPOCUS に少しでも興味がある方なら,きっと共感できる内容になっていると思います.

ここで,臨床でエコーを活かすにはどうしたらよいのか?を考えてみましょう.I-AIM モデルという方法論を紹介します(図1)3).“I-AIM”とは,Indication(適応),Acquisition(画像取得),Interpretation(画像解釈),Medical Decision Making(臨床への統合)を指し,臨床現場でPOCUS を実施するための段階的ロジックです.

1)Indication(適応)

Indication(適応)ではEvidence-based な医学的適応に加えて,救急外来の状況でPOCUS を実施するかどうかを判断します.医学的適応としては,2023年に日本小児救急医学会から“小児POCUS 教育コンセンサス”が発表されており参考になります(図2)4).

2)Acquisition(画像取得)

Acquisition(画像取得)については,4P を意識します.4P とは,Patient(患者の体位,対象部位の露出,ディストラクション),Probe(プローブ,エコーゼリーなどの音響媒体,プローブ操作,プローブをあてる部位),Picture(走査方法,knobology),Protocol(確実な画像や動画の記録・保存)です.画像取得スキルは項目や部位によって差がありますが,おおよそ25 ~ 50 回の検査経験が推奨されています5).小児ではディストラクション(気を逸らすノウハウ)もスキルの1 つです.

3)Interpretation(画像解釈)

Interpretation(画像解釈)には,エコー画像への理解,解剖・疾患の知識が必要です.正常画像と異常画像を比較認識する能力が重要といわれていますが,実際には取得した画像のなかに解釈に十分な情報が含まれていないことも多いです.画像解釈のスキル上達にははっきりいって個人差があり,画像取得スキルを上達させるより難度が上がります.

4)Medical Decision Making(臨床への統合)

Medical Decision Making(臨床への統合)は,I-AIM のなかで最も重要で,指導や評価をするのが難しい部分です.エコーで得られた情報を現場の決断にどう使うのか,それはまさに個々の臨床力そのものです.エコーで得られる画像情報は思っている以上に強烈で,臨床医の心を奪い,容易にバイアスを生みます.POCUS の魅力にとり憑かれていればいるほど,常に冷静に総合的な臨床決断を意識しなければいけません.

本書の各稿の見出しは,このI-AIM モデルを,Q & A 形式に落とし込んだ形式をとっています.

Indication:適応は?

Acquisition:方法は?

Interpretation:エコー所見は?エビデンスは?

Medical Decision Making:臨床でのリアルなピットフォールは?

特にMedical Decision Making の部分は書籍だけではなかなか網羅できません.ぜひ読者の皆さまが実際の臨床でうまく統合できるのか,self-feedback をくり返し,個々のI-AIM モデルを強化していっていただければと思います.

最後に,I-AIM モデルに基づくQ & A 形式以外の本書の特徴を5 つ述べます.

①救急外来,病棟,ICU というシチュエーション別の構成としています.対象疾患は外因から内因まで多岐にわたり,さらには診断のためのエコーだけではなく,手技のお供や病態把握のためのエコーもとり上げています.

②各項目のオープニング・クロージングが会話形式となっています.1 人の若手医師が,7 人の指導医にPOCUS の指導を仰ぎながら徐々に成長していくというストーリーです.読者の皆さまもこの若手医師になったつもりで読んでいただければ,きっとエコーマインドが根付き,芽を出し育ってくるのを感じるはずです.

③執筆者面々は小児救急,集中治療領域の現場で,まさにバリバリの現役プレイヤーとして活躍している若手のドクターたちです.皆,卒後10年目前後の脂の乗った臨床医であり,それこそPOCUS を現場ごとに工夫して使っている方々です.エコー検査の専門家ではない彼らがどのように試行錯誤しながらエコーを勉強しているのか,現場で使えるエコーに落とし込んでいるのか,が滲み出ていると思います.

④執筆者面々にはそれぞれが担当する項目に関して,できるだけ耳学問(手学問?)ではなくしっかりとPOCUS の文献を読み込んでまとめてもらいました.日本全国の小児POCUS に興味のある皆さまに一般化できるスキルをお届けするため,できるだけEvidence-based にI-AIM を言語化してもらいました.一方でディストラクション・声かけ・特殊な体位など小児特有のNarrative-based なアプローチも織り交ぜていただきました.現役プレイヤー達の試行錯誤しながらのリアルな工夫を感じてもらえると思います.

⑤内容の一部がチャレンジングな項目であることにも注目ください.小児救急のPOCUSは2010年代から徐々にエビデンスが積み上げられてきましたが,実際の臨床現場ではもっとエコーの使い方が多様化しています.臨床現場で『こう使えばおもしろいんじゃないか?』というアイデア項目をいくつか混ぜ込んでいます.POCUS の可能性を感じてもらえればと思います.

引用文献

1) Moore CL & Copel JA:Point-of-care ultrasonography. N Engl J Med, 364:749-757, 2011(PMID:21345104)

2) Díaz-Gómez JL, et al:Point-of-Care Ultrasonography. N Engl J Med, 385:1593-1602, 2021(PMID:34670045)

3) Bahner DP, et al:I-AIM: a novel model for teaching and performing focused sonography. J UltrasoundMed, 31:295-300, 2012(PMID:22298874)

4) 森 崇晃,他:小児POCUS(point-of-care ultrasound)教育コンセンサス作成ワーキンググループ活動報告-日本版小児POCUS 教育コンセンサス作成の試み-.日本小児救急医学会雑誌,22:415-417,2023

5) Ultrasound Guidelines: Emergency, Point-of-Care, and Clinical Ultrasound Guidelines in Medicine. AnnEmerg Med, 82:e115-e155, 2023(PMID:37596025)


2025年1月

兵庫県立こども病院 救急科
竹井寛和

目次

第1章 POCUSを行うために必要な基礎知識

1 超音波の基礎 〜最低限のルールを押さえよう【市村 将】

第2章 救急外来

1 小児のFAST 〜4部位で11ポイントを確認しよう 難易度★☆☆【木下正和】

2 心エコー 〜これだけできれば十分! 難易度★★☆【本間利生】

3 腸重積症 〜疑えばエコーをしない理由はない 難易度★☆☆【大西康裕,竹井寛和】

4 急性虫垂炎 基本編 〜"手の技術"と"目の技術"を鍛えよう 難易度★★☆【本間利生】

5 水腎症 〜水腎症を呈する原因まで検索を 難易度★☆☆【市村 将】

6 頸部腫脹 〜頸部リンパ節と耳下腺をマスターしよう 難易度★★☆【木下正和】

7 股関節液体貯留 〜液体貯留があるかないか,それが重要だ 難易度★★☆【木下正和】

8 急性陰嚢症 〜Time is testicle! 難易度★★☆【木下正和】

9 鼠径部腫脹 〜腫れの原因はヘルニア?それとも…? 難易度★★☆【木下正和】

10 蜂窩織炎 〜"皮下組織"の異常に注目しよう 難易度★☆☆【吉井拓眞】

11 皮下異物 〜X線に写らない…そんなときは! 難易度★☆☆【市村 将】

12 肘内障 〜輪状靱帯を"見る"ことができるのはエコーだけ 難易度★★☆【木下正和】

13 急性虫垂炎 応用編 〜症例から学ぶ虫垂炎エコーのピットフォール 難易度★★★【本間利生】

14 急性膵炎 〜忘れた頃にやってくる! 難易度★★★【本間利生】

15 急性腸炎 〜病歴と身体診察にエコーを添えて 難易度★★☆【本間利生】

16 肥厚性幽門狭窄症 〜早期乳児の反復する嘔吐ではエコーが必須 難易度★★☆【竹井寛和】

17 腸回転異常症・中腸軸捻転 〜発生と病態を理解すると見えてくる 難易度★★★【本間利生】

18 イレウス・腸閉塞 〜左上から右下へ全体を眺めて評価 難易度★★☆【本間利生】

19 卵巣出血 〜女児の下腹部痛にはぜったいエコー 難易度★★★【市村 将】

20 卵巣茎捻転 〜女児の下腹部痛にはやっぱりエコー 難易度★★★【本間利生】

21 Toddler’s fracture 〜エコーは歩行障害,下腿痛の強い味方 難易度★★★【吉井拓眞】

22 前腕骨骨折 〜診断より整復で真価を発揮! 難易度★★☆【木下正和】

23 頭蓋骨骨折 〜血腫の直下にある骨折線を見つけよう 難易度★★☆【吉井拓眞】

24 鼻骨骨折 〜できると選択肢の幅が広がる! 難易度★★☆【吉井拓眞】

第3章 病棟・ICU

1 膀胱 〜ちょいあてエコーの代名詞 難易度★☆☆【市村 将】

2 血管確保 〜末梢静脈路,動脈ライン,PICC,CVCなど 難易度★☆☆【村田 慧】

3 IVC評価 〜使えるのか使えないのかどっちなんだい 難易度★★☆【村田 慧】

4 気胸 〜アーチファクトは強い味方 難易度★☆☆【木下正和】

5 無気肺・肺炎 〜コロナ禍で圧倒的に発展したPOCUS 難易度★☆☆【本間利生】

6 腹水 〜マニアックな腹腔内貯留液の評価法 難易度★★★【本間利生】

7 気管挿管の確認 〜救急医なら習得必須の気道エコー 難易度★☆☆【本間利生】

8 胃管位置確認 〜X線だけじゃイカン!そんな時代かも 難易度★★☆【吉井拓眞】

9 声帯麻痺 〜小児の気道エコーのトレンド 難易度★★☆【竹井寛和】

10 DOPE 〜これがホントのlung pulseの使い方!? 難易度★★★【竹井寛和】

第4章 こんなときにも活用できるPOCUS

1 心停止 〜もはや当たり前!?CPRで使うエコー 難易度★☆☆【吉井拓眞】

2 胆嚢壁肥厚 〜POCUSを超えてる!でも面白い! 難易度★★★【本間利生】

3 骨膜下膿瘍,骨髄炎 〜蜂窩織炎エコーの発展型 難易度★★☆【市村 将】

4 縦隔腫瘍 〜使い方注意!でもこれこそPOCUSかも 難易度★★★【本間利生】

5 ED tube(幽門後チューブ)留置法 〜胃管位置確認の応用編 難易度★★★【本間利生】


索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:20.3MB以上(インストール時:46.7MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:81.3MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:20.3MB以上(インストール時:46.7MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:81.3MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758124256
  • ページ数:279頁
  • 書籍発行日:2025年1月
  • 電子版発売日:2025年1月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍アプリが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。