はじめに

最近の医学・医療の進歩はめざましいものがあり、整形外科領域も例外ではありません。また、急速な高齢者人口の増加や物価高騰など、医療者を取り巻く環境も激変しています。私たちは、環境の変化に適応しつつ、新しい知識や技術を身につけていく必要があります。一方、日常業務はあまりに忙しく、学習に多くの時間を割くこともできません。そこで、すき間時間に読んだり、患者さんに説明しながら自分も勉強したりできるような、この増刊号を企画しました。

全国の病院で行われている手術のなかで、症例数の多いものの大部分を対象として取り上げています。また、それぞれのエキスパートの医師に執筆を依頼していますので、新しい知識や技術を含んだ非常に充実した内容となっています。各項目の構成として、手術の紹介、術前の注意事項、実際の手術の流れ、術後の注意、看護師による術後ケアとなっています。「患者さん向け」と「看護師向け」に分類されていますが、「患者さん向け」というのは、看護師さんが患者さんに説明をすることを前提としていますので、看護師さんも読んで理解しておくことが重要です。キーポイントとなるイラストや手術中の写真を多数掲載していますので、理解に大いに役立つと思います。さらに、今回の増刊号には各部位の解剖イラストなどが載ったミニブックが付いています。本文を読むときに参考にしてください。

術中写真を患者さんに見せることに迷われる場合もあるかもしれません。見せる前に聞いてみてください。私の経験では、テレビで医療ドラマが多数放映されている影響か、受け入れてくださる患者さんも増えているように思います。

監修した私も、各項目の内容の充実ぶりに感動しました。きっと皆さまのお役に立つと確信しています。

津村 弘
社会医療法人社団大久保病院 統括院長