臨床法医学テキスト[改訂2版]

  • ページ数 : 327頁
  • 書籍発行日 : 2012年2月
  • 電子版発売日 : 2012年9月1日
¥7,700(税込)
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商品情報

内容

これから法医学を学ぶ人のために、現時点での最新の知見をもとに法医学のすべてをわかりやすく解説したテキスト。法医学の基礎的事項にとどまらず、具体的な症例を通して臨床的、社会的応用を考えた記述を心がけた。社会医学としての法医学の役割を意識し、法医の実務での経験の集積を臨床へと還元するという視点によりまとめた新しい教科書である.
医学部・歯学部、看護学等の医療系の学生に限らず、臨床医師、歯科医師、司法及び法曹関係者、救命救急士、遺体衛生保全に関わる各々に法医学的な理解を深めていただける入門書です。

序文

近年,我が国では人権意識の向上,生活の多様化,医学・医療の著しい進歩とに伴い,法医学の知識を医療関係者のみならず,多くの分野においても必要とされてきている.

特に我が国では,社会的・臨床的に直接関係する「生体に関わる法医学」,すなわち,臨床法医学の専門書は,いままでに発刊されていない.

本書は,これから法医学を学ぶ人のために,現時点での最新の知見をもとに基礎的な法医学をわかりやすく解説するとともに臨床法医学の観点から応用しやすい教科書をめざしている.執筆は現在活躍している気鋭の先生方を中心としてお願いをした.各内容は簡明で臨床的,社会的応用を念頭に入れた記述とし,理解を深めるためにできるだけ多くの表・模式図や写真を採用している.

本書は,医学部・歯学部,看護学等の医療系の学生に限らず,臨床医師,歯科医師,司法及び法曹関係者,救命救急士,遺体衛生保全に関わる各々に法医学的な理解を深めていただける入門書となると信じている.

本書の出版にあたり,各分担執筆者ならびに中外医学社の方々に深く感謝申し上げます.


改訂にあたり,虐待症候群に新項目として嬰児殺を加え,さらにDV,性犯罪被害についての項の充実をはかりました.特に大規模災害による大量死体と個人識別の項では,2011年3.11東日本大震災における死体検案並びに身許確認について医科・歯科の両面から最新の情報を記載しています.


2012年 1月

佐藤 喜宣

目次

目 次

口 絵

第1章 法医学概論

A.法医学とは?

B.法医学の歴史

第2章 死の判定,死因

1.個体死

A.死の三徴候

B.死の判定と資格

2.死亡時刻

3.脳死

A.脳死の概念

B.脳死の死亡時刻

4.異状死

A.概念

B.異状死ガイドライン

C.診療行為に関連した死亡に対する近年の動き

5.解剖の種類

A.解剖の種類

1.系統解剖

2.病理解剖

3.法医解剖

4.診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業

B.関連法規

第3章 医学関係書類の書き方

A.一般病死体と異状死体

死亡の診断(確認)と異状死体届出義務

B.検死と検案

1.行政検視,検死・検案

2.司法検視,検死・検案

3.検死・検案の順序と注意点

C.死体解剖の規制と資格

1.死体解剖の許可

2.解剖についての遺族の承諾

3.監察医制度

D.法医解剖

1.行政解剖

2.司法解剖

3.法医解剖の実際

E.死亡診断書・死体検案書の書き方

1.死亡診断書の意義

2.死亡診断書の関係法令

3.病死体と異状死体(変死体)

4.死亡届(死亡診断書または死体検案書)はどう扱われるか

5.死亡診断書(死体検案書)の書き方

第4章 死体現象

A.早期死体現象

1.死体の冷却・体温の降下

2.血液就下・死斑

3.死後硬直

4.表皮の乾燥

5.角膜の混濁

6.眼圧の低下

7.死体の日焼け

8.鵞皮・立毛

B.晩期(後期)死体現象

1.自家融解

2.腐敗

C.特殊(異常)死体現象

1.ミイラ化

2.屍ろう形成

3.浸軟

4.エンバーミング

D.死体の損壊

1.地上死体の損壊

2.水中死体の損壊

E.死後経過時間の推定

第5章 内因性急死

内因性急死とは

1.心血管系疾患

A.一般的な事項

B.虚血性心疾患

C.心筋症

D.ウイルス性心筋炎

E.致死性不整脈

F.その他の心疾患

G.急性大動脈解離

H.肺動脈血栓塞栓症

I.その他の血管疾患

2.脳血管系疾患

A.概念

B.出血性疾患

1.くも膜下出血

2.脳内出血

C.虚血性疾患

1.脳梗塞

2.その他の虚血性疾患

D.発症背景

E.検案所見

F.解剖所見

G.臨床的対応と死因の判断

3.消化器系疾患

A.脂肪肝・肝硬変症

B.急性膵炎

C.腹膜炎

D.消化管出血

E.虚血性大腸炎

F.腸閉塞

G.胃癌・大腸癌などの悪性腫瘍

H.感染性胃腸炎

4.呼吸器系疾患

A.気管支喘息

B.気胸

C.肺炎

D.肺結核

E.肺動脈血栓塞栓症(肺塞栓症)

5.その他の内因死

乳幼児突然死症候群(SIDS)

第6章 外因死

創傷の一般的事項

1.創傷を観察する目的

2.基本用語の説明

3.創傷の分類

4.創傷の部位の名称と観察のポイント

1.損傷とは

1.鈍的創傷

A.創口の開いていない創傷

1.表皮剥脱

2.皮膚変色

3.皮膚の腫脹

B.創口の開いた創傷

2.鋭器による創傷

1.刺創

2.切創

3.割創

3.銃器損傷

A.銃器に関する基礎知識

1.銃器の種類

2.実包

3.発砲のメカニズムと弾丸の威力

B.銃創の性状

1.射入口の一般的所見

2.射撃距離別にみた射入口

3.射出口の性状

4.銃創管の性状

5.散弾銃(猟銃)による銃創

C.銃創をみた際の留意事項

4.頭部損傷

A.頭皮の損傷

1.皮下血腫

2.帽状腱膜下血腫

3.骨膜下血腫

B.頭蓋骨骨折

1.頭蓋冠骨折

2.頭蓋底骨折

C.頭蓋内損傷

1.硬膜外血腫

2.硬膜下血腫

3.くも膜下出血

4.局所性脳損傷

5.びまん性外傷性脳損傷

D.脳ヘルニア

1.帯状回ヘルニア

2.テント切痕ヘルニア

3.小脳扁桃ヘルニア

E.脳振盪

5.交通損傷

A.現状

B.自動車事故損傷

1.自動車乗車中の損傷

2.歩行中の損傷

3.自動二輪および原動機付自転車乗車中の損傷

4.自転車乗車中の損傷

C.鉄道事故

D.船舶の事故

E.航空機の事故

F.交通事故の法的責任と法医解剖

1.法的責任

2.交通事故の法医解剖

6.その他の損傷

A.転倒・転落損傷

B.落下損傷

C.挟圧損傷

7.臨床的対応

2.窒息

A.窒息の基礎

B.窒息と窒息死の機序

1.窒息の経過と症状

2.遷延性窒息

C.鼻口閉鎖による窒息死

D.気道内閉塞による窒息死

E.縊死

1.分類

2.縊死の機序

3.外表所見

4.内部所見

5.自他為事故の別

F.絞死

1.絞死の機序

2.外表所見

3.内部所見

4.自他為の別

5.診断・検査の留意点

G.扼死

1.扼死の機序

2.外表所見

3.内部所見

H.溺死

1.溺死の機序

2.外表所見

3.内部所見

4.診断

I.その他の窒息

1.胸腹部圧迫による窒息

2.空気中の酸素欠乏による窒息

J.臨床的対応

3.異常環境による外因死

A.熱傷

1.概念

2.熱傷深度分類

3.重症度判定

4.法医学的判断

B.焼死

1.概念

2.特徴的所見

3.死因の判断

4.法医学的判断

C.凍死・低体温

1.概念

2.凍死の発生条件

3.特徴的所見

4.法医学的判断

D.熱射病・熱中症

1.概念

2.特徴的所見

3.法医学的判断

E.臨床的対応

4.その他の外因死

A.感電死・落雷死

1.概念

2.感電死の条件

3.受傷背景

4.特徴的所見

5.法医学的判断

B.咬虫症

1.概念

2.法医学的判断

第7章 虐待による死

1.虐待死・虐待症候群

A.子ども虐待

法医学の役割および医療機関との連携

B.臨床法医学的所見

1.創傷の見方と診断の重要点

2.皮膚変色

3.二重条痕

4.表皮剥脱

5.挫創,裂創

6.刺切創

7.火傷・熱傷

8.シェイクン ベビー症候群(SBS)

9.子どもを代理としたミュンヒハウゼン症候群(MSBP)

2.子どもの虐待をめぐって

症例1

症例2

症例3

3.嬰児殺

A.定義と問題点

1.定義

2.医学的特殊性

3.法律的特殊性

4.法医診断事項

B.胎・嬰児の発育程度と生活能力

1.発育の程度

2.生活能力

C.生産・死産の鑑別

1.死産児の徴候

2.生産児の徴候

D.分娩後生存時間の推定法

1.外表所見

2.内部所見

E.死因および手段・方法

1.嬰児殺の種類と特徴

2.窒息

3.損傷

4.消極的殺児

5.墜落分娩(墜落産)

4.DV(domestic violence)

A.「女性に対する暴力」をめぐる情勢

B.家庭内暴力(DV: domestic violence)の実態

C.DV防止法

D.DV防止法施行後の現状

E.対応の実際

1.基本原則

2.診察の前に

3.損傷所見のとり方

4.診察のあとで

F.鑑別疾患

5.性犯罪

A.わが国の現状

1.強姦

2.強制わいせつ

B."secondary victimization(the second rape)"

C.わが国の被害者対策

D.欧米での試み

E.対応の実際

1.問診

2.診察

F.新たな展開

6.臨床的対応

7.身体的虐待,ネグレクトの歯科的評価

A.身体的虐待の歯科所見

B.外傷による歯・歯周組織の二次的変化

C.ネグレクトの歯科所見

第8章 中毒

1.中毒とは

A.毒性の種類

B.毒性の強さ

C.薬毒物の代謝と排泄

D.薬毒物の中毒量・致死量

E.薬毒物を規制する法律

2.主な中毒

1.一酸化炭素(CO)

2.シアン

3.アルコール

A.アルコールの吸収と代謝

1.エタノールからアセトアルデヒドへの代謝

2.アセトアルデヒドから酢酸への代謝

3.酢酸の代謝

B.アルデヒド脱水素酵素の多型と飲酒

C.アルコールと酩酊

4.医薬品

A.バルビツール酸系薬物

B.ベンゾジアゼピン系薬物

C.抗精神病薬

D.抗うつ薬

5.乱用薬物

A.アヘンアルカロイド類

B.覚せい剤

C.コカイン

D.大麻

E.その他

6.農薬

A.有機リン系

B.カルバメート系

C.有機塩素系

D.パラコート,ダイコート

E.アミノ酸系除草剤

7.自然毒

A.ヘビ毒

B.フグ毒

C.植物毒

D.キノコ毒

8.化学剤

9.その他: サリン中毒

3.臨床的対応

A.中毒死とは

B.最近の中毒事例の発生状況

C.中毒死症例に対して医師のとるべき処置

1.届出事項

2.試料の採取・保管

第9章 血液型と個人識別

A.血液型の種類

B.血液型の応用

1.赤血球型

2.HLA型

3.血清型および酵素型

4.血小板型

5.DNA型

第10章 物体検査

血痕に関する検査

第11章 大量死体と個人識別

1.歯科所見による個人識別

A.歯科所見が個人識別に有用な3つの根拠

B.異同識別と情報の提供

1.異同識別

2.情報の提供

C.歯科(口腔内)所見からわかる項目

1.年齢

2.性別

3.人種

4.血液型

5.習慣・習癖

6.風俗・風習

7.社会経済状態

8.DNA型

9.その他の口腔領域の特徴

D.歯科所見採取の実際

1.ご遺体からの所見採取

2.生前情報のまとめと転写

E.歯科記録の比較における注意点

1.経時的変化の考慮

2.歯科所見の不可逆性変化

3.同種類の情報同士による比較

2.その他の個人識別

A.指掌紋による個人識別

1.形状・指紋価による指紋の分類

2.掌紋の分類

3.特徴点による個人識別

4.指掌紋の採取方法

5.遺留指紋の採取方法

6.身元不明死体からの採取法

B.スーパーインポーズ法による個人識別

C.その他の身体特徴を用いた個人識別

D.血液型やDNA型を用いた個人識別

E.着衣や所持品を用いた個人識別

F.大規模災害時の個人識別

G.医療現場における個人識別

第12章 賠償医学

A.賠償医学とは

B.過失と責任,注意義務

C.人口動態統計と損害賠償

D.死亡時の損害賠償額

1.逸失利益

2.死亡慰謝料の目安

E.賠償医学各論

1.交通事故とむち打ち損傷

2.PTSD(心的外傷後ストレス障害)

3.保険をめぐる問題

4.製造物責任とPL保険

第13章 医療事故

A.医療事故と医療過誤

B.医療事故の現状

C.医療事故と法律

1.民事責任

2.刑事責任

3.行政処分

第14章 医の倫理

A.医の倫理

B.医の倫理に関する宣言,綱領など

C.良心的輸血拒否

D.尊厳死と安楽死

1.尊厳死

2.安楽死

E.脳死と臓器移植

F.生殖医療,体外受精

1.人工授精

2.体外受精―胚移植

3.凍結胚,精子凍結

4.代理懐胎(代理母)

G.出生前診断

H.クローン問題,ES細胞

I.バイオバンク(遺伝子バンク,DNAバンク)

1.バイオバンク

2.犯罪捜査

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書籍情報

  • ISBN:9784498007017
  • ページ数:327頁
  • 書籍発行日:2012年2月
  • 電子版発売日:2012年9月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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