血液製剤の考え方,使い方ver.2

  • ページ数 : 356頁
  • 書籍発行日 : 2011年4月
  • 電子版発売日 : 2012年7月28日
¥3,960(税込)
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商品情報

内容

血液製剤の「アレ」も「コレ」も全部教えちゃいます!
ユニークな登場人物たちの会話とウサギ2匹のつぶやきを読むうちに、血液製剤を使いこなす実力が身に付く!

医療関係者なら知らないですまされない、血液製剤。本書では、その現況と展望、そして「使い方」の根拠となる「考え方」を楽しみながら確実に理解できるように作られた。指導医を中心とした各キャラクターが会話形式で進める解説で内容が自然と頭に入り、専門医や製造会社協力のもと作成したQ&Aがさらに理解度を深めてくれる。確かな知識を得るのにまさに必携の書です!

序文

改訂2版のまえがき

「血液製剤の考え方,使い方」は,岩田健太郎先生の「抗菌薬の考え方,使い方」に続いて企画された本です.血液製剤についてのわかりやすい解説が受け入れられ,版を重ねることになりました.改訂版では,この数年の間に変更になった血液製剤の名称をただし,文章をより読みやすくして,最近の話題を載せました.

私が研修医の頃,内視鏡が上手な先生のもとで検査の助手を務めていた時の話です.もう自分独りでもできそうなぐらいの症例数を経験したある日,その先生は「内視鏡検査について本を1冊でも読みましたか」と尋ねられました.そして「自分で行う前に本の1冊でも読んでおかなければ,患者さんに失礼だとは思わないか?」と続けたのです.

最近,恩師の言葉と似た言葉に出合いました.「患者を診ずに本だけで勉強するのは,全く航海に出ないに等しい.反面,本を読まずに疾病の現象を学ぶのは,海図を持たずに航海するに等しい」.著名な医学教育者ウイリアム・オスラー博士の名言です.

読んで楽しいこの医学書であれば,1冊を読み通すことができるでしょう.そして,読み終えた時には,輸血療法の基本的な知識が身に付き,手元には資料が残ります.そんな赤本です.


大久保 光夫
埼玉医科大学 総合医療センター 輸血・細胞治療部 准教授



初版のまえがき

輸血療法では,赤血球濃厚液だけではなく,アルブミン,免疫グロブリン,凝固因子や造血因子など70種類以上の血液製剤についての知識が必要です.しかし,すべての血液製剤の使い方をまとめた本はありませんでした.そこで,これらの製剤の「使い方」とその根拠となる「考え方」を「やさしく」「わかりやすく」説明することを目的に,この本は作られました.また,多くの皆さんに手に取っていただけるように「読んで楽しい医学書」に仕上げました.


専門書を1冊読み通すことは容易な事ではありません.しかし,「読んで楽しい医学書」であれば興味が持続し,専門書や文献への道筋もつけられると思います.本書は,医療保健関係の学生,研修医,看護師,臨床検査技師,ME:臨床工学技士,薬剤師,MR:医薬情報担当者の初学者の皆さんが理解しやすいように,平易な文体で,時に小話を織り交ぜながら「血液製剤の考え方,使い方」を説いています.

この本にはもうひとつ特徴があります.それは,11人の専門医の先生に,それぞれ得意な分野の血液製剤について,インタビューに答える形で,「わかりやすく」解説をしていただいた文章を掲載したことです.また,血漿分画製剤と造血因子では,製造会社の学術部の方に製品を「やさしく」説明していただきました.これらページは,本文と相まって,読者の皆さんの知識を深めるのに役立つと思います.

本書の最後には,血液製剤の「使用上の注意点・禁忌」と「血液製剤,凝固因子製剤,造血因子の一覧表」を資料として配置しました.この資料は血液製剤を選択する際にあるいは管理するときにも役立つと思います.


安全で適正な輸血療法のために,この機会を逃さず血液製剤全般の知識を整理しておくことをお勧めします.

さあ,「そもそも輸血の適応は曖昧(あいまい)じゃないですか!」という研修医の質問から「血液製剤の考え方,使い方」をスタートします!


大久保 光夫
埼玉医科大学 総合医療センター 輸血・細胞治療部 准教授

目次

本書の読み方,血液製剤一覧および注意.

第1章 輸血用血液製剤の考え方,使い方

1.赤血球製剤

1-1.そもそも輸血の適応は曖昧(あいまい)じゃないですか!

1-2.世界に先駆けて日本が克服した輸血副作用とは?

1-3.血液製剤に放射線を当てても大丈夫?

1-4.非照射赤血球製剤もいまだに日赤で供給するのはなぜ?

1-5.白血球除去製剤になりました!

1-6.輸血関連急性肺障害「トラーリ」は肺に起こる輸血後免疫副作用

1-7.輸血後感染症は起こらなくなったか?

1-8.献血血液の日本縦断の旅

1-9.緊急O型濃赤輸血とは?

1-10.濃赤の投与量は大雑把(おおざっぱ)?

1-11.出血患者への輸血量と製剤の種類

1-12.人工血液はどこまで研究が進んでいるの?

1-13.血液型はなぜ存在するのか?

1-14.血液型が変わる場合はあるのか?

1-15.全血製剤はリストラされた

1-16.赤血球製剤の考え方,使い方のまとめとポイント

2.新鮮凍結血漿

2-1.FFP投与指標のプロトロンビン時間とは?

2-2.凍結したり,融かしたりそれでも新鮮?

2-3.FFPのメインの効能は何か?

2-4.FFPは使いすぎと言われているけれど本当?
(前埼玉社会保険病院麻酔科部長,現東京女子医科大学准教授 小高光晴先生)

 

2-5.新鮮凍結血漿の考え方,使い方のまとめとポイント

3.血小板製剤

3-1.貴重な血小板製剤,無駄には使えない

3-2.血小板数の謎,製剤にはなぜ規定以上の血小板数が含まれているのか?

3-3.輸血すると血小板の3分の1が消える.なぜ?

3-4.血小板輸血の適応とトリガー(実施のひきがねの値)

3-5.血小板輸血の効果がない場合がありますが?

3-6.最も貴重で高価なHLA適合血小板とは何か?

3-7.CCIの計算をしないで効果判定をする方法

3-8.血小板製剤ではアレルギー反応が出やすいのはなぜ?

3-9.洗浄血小板の問題点

3-10.血小板製剤の考え方,使い方のまとめとポイント


第2章 血漿分画製剤の考え方,使い方

1.アルブミン製剤

1-1.そもそもアルブミン製剤とは何? 血液? 薬剤?

1-2.生物由来製品とは何? さらに特定生物由来製品とは?

1-3.アルブミン製剤を投与する目的は何でしょう?

1-4.アルブミン使用量削減キャンペーン中,その理由は?

1-5.輸入原料血漿アルブミン製剤の正義について哲学しようじゃないか

1-6.アルブミン製剤の考え方,使い方のまとめとポイント

2.免疫グロブリン製剤 ―多目的用途―

2-1.免疫グロブリンとは何? イムノグロブリン,γ(ガンマ)グロブリン,IgGとは?

2-2.免疫グロブリンは抗原特異的な認識を行う免疫分子

2-3.免疫グロブリン製剤の種類と安全性

2-4.免疫グロブリン製剤の一般的な適応と難病への適応

2-5.ではなぜ免疫グロブリン製剤がITPと川崎病に効くのか?

2-6.人免疫グロブリンの考え方,使い方のまとめとポイント

3.免疫グロブリン製剤 ―限定用途―

3-1.適応限定の免疫グロブリン製剤とは?

3-2.抗破傷風人免疫グロブリンはどのように作られるのですか?

3-3.破傷風トキソイドワクチンと 抗破傷風人免疫グロブリンの投与法は?

3-4.B型肝炎予防のための特異的な免疫グロブリンはどのように使うのか?

3-5.RhD因子陰性の妊産婦の抗体産生予防の注意点は?

3-6.適応限定の免疫グロブリン製剤のまとめとポイント

4.凝固因子製剤

4-1.はじめに

4-2.凝固系とは? そして血友病にはどの凝固因子製剤が必要か?

4-3.血液凝固第VIII因子製剤,血液凝固第IX因子製剤の投与法について

4-4.血友病になぜ第VII因子を投与する場合があるのか?

4-5.現時点の凝固因子製剤の感染症安全対策

4-6.原料血漿が献血と非献血で安全性に違いがあるの?

4-7.その他の血漿分画製剤

4-8.血液凝固因子製剤の考え方,使い方のまとめとポイント


第3章 細胞治療と造血因子の考え方,使い方

1.自己血

1-1.貯血式自己血は自分のための献血か?

1-2.自己血は完璧な輸血ではない! 自己血の問題点とは?

1-3.自己血貯血する患者さんの心理

1-4.希釈式自己血と回収式自己血はどのような自己血ですか?

1-5.産科の自己血輸血

1-6.自己血製剤の考え方,使い方のまとめとポイント

2.エリスロポエチン(Erythropoietin)

2-1.遺伝子組換え造血因子登場

2-2.エリスロポエチンは輸血後肝炎を減らした

2-3.エリスロポエチン製剤の選び方,使い方

2-4.自己血貯血でのエリスロポエチンの使用

2-5.エリスロポエチン製剤の考え方,使い方のポイント

3.造血幹細胞移植

3-1.骨髄移植と末梢血幹細胞移植の違いは?

3-2.造血幹細胞移植で重要なHLAとは何?

3-3.骨髄採取はどのように行われるのか?

3-4.末梢血幹細胞採取はどのように行われるのか ?

3-5.造血幹細胞移植の考え方,使い方のポイント

4.G-CSF(granulocyte colony stimulating factor: 顆粒球コロニー形成刺激因子)

4-1.G-CSF第2の(任務)ミッション

4-2.G-CSF製剤の使い方

4-3.HIV治療薬からの大転換,失敗は成功の母

4-4.血小板増多因子(トロンボポエチン:Thrombopoietin)よ,今どこに?

4-5.G-CSFの考え方,使い方のポイント

5.細胞治療

5-1.伝統ある学会名が変わる意味

5-2.細胞治療の源流と現状

5-3.抗原特異的T細胞療法

5-4.再生医療の突破口は企業から

5-5.細胞治療の課題と将来像


第4章 専門医が説明する 血液製剤の考え方,使い方

1.赤血球製剤の考え方,使い方

福島医科大学 輸血・移植免疫部 大戸 斉先生,菅野隆弘先生,馬場千華子先生

2.血小板製剤の考え方,使い方(特にHLA適合血小板,洗浄血小板)

金沢大学医学部 輸血部長 准教授(血液専門医) 高見昭良先生

3.自己血輸血におけるエリスロポエチンの考え方,使い方

東京慈恵会医科大学 輸血部 副部長 田崎哲典先生

4.血漿交換 / 交換輸血の血液製剤の考え方,使い方

神奈川県赤十字血液センター 所長  稲葉頌一先生

5.術中術後のアルブミンと新鮮凍結血漿の使い方と注意点

埼玉医科大学総合医療センター 麻酔科 教授 小山 薫先生

6.救急医療での新鮮凍結血漿とアルブミンの考え方,使い方

埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター 准教授 間藤 卓先生

7.肝疾患における新鮮凍結血漿とアルブミンの考え方,使い方

福島医科大学 第2内科 教授(肝臓学会指導医) 大平弘正先生

8.小児領域におけるγグロブリンの考え方,使い方

福島医科大学 小児科 教授 細矢光亮先生

9.RhD因子陰性妊婦への抗D免疫グロブリンの考え方,使い方

秋田県赤十字血液センター 面川 進先生

10.DICにおける血漿分画製剤の使い方,

特にアンチトロンビン濃縮製剤の使い方

 富山大学医学部 臨床検査医学 / 輸血・細胞治療部 教授 北島 勲先生

11.手術時(特に産婦人科)における凝固因子製剤の考え方,使い方

順天堂大学医学部 産婦人科 教授 竹田 省先生


第5章 製造者が説明する血漿分画製剤,造血因子の考え方,使い方

1.アルブミン製剤(人血清アルブミン:等張,高張)

CSLベーリング株式会社 マーケティング本部

2.人免疫グロブリン製剤(献血,ポリエチレングリコール処理)

田辺三菱製薬(株)・(株)ベネシス カスタマーサポート部 くすり相談室

3.抗HBs人免疫グロブリン製剤

田辺三菱製薬(株)・(株)ベネシス カスタマーサポート部 くすり相談室

4.遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤

バクスター株式会社 メディカル本部バイオサイエンス学術情報サービス部

5.乾燥人血液凝固第IX因子複合体

日本製薬株式会社 営業本部 医薬学術部

6.遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤

ノボノルディスク ファーマ株式会社 メディカルアフェアーズ&サイエンス部

7.血友病インヒビター治療剤

バクスター株式会社 メディカル本部バイオサイエンス学術情報サービス部

8.乾燥濃縮人血液凝固第XIII因子製剤

CSLベーリング株式会社 マーケティング本部

9.乾燥濃縮人C1-インアクチベーター製剤

CSLベーリング株式会社 マーケティング本部

10.乾燥濃縮人アンチトロンビンIII製剤

日本製薬株式会社 営業本部 医薬学術部

11.生体組織接着剤

化学及血清療法研究所 営業管理部 学術第一課,帝人ファーマ(株)

12.抗ヒトTリンパ球ウサギ免疫グロブリン

日本臓器製薬株式会社 学術部

13.遺伝子組換えヒトG-CSF製剤(レノグラスチム)

中外製薬株式会社 オンコロジー製品政策部第4グループ


第6章 血液製剤,凝固因子製剤,造血因子一覧

1. 血液製剤共通の禁忌と注意点

1-1.血液を原料とした製剤の注意書

1-2.血漿を含むあるいは血漿を原料とした血液製剤の注意書

1-3.添加物などに関する注意書

1-4.併用,相互作用に関する注意

1-5.投与スピードに関する注意

1-6.副作用

1-7.その他の禁忌

2. 血液製剤と造血因子等の一覧表


付.引用文献・参考図書

あとがき / 謝辞

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書籍情報

  • ISBN:9784498017719
  • ページ数:356頁
  • 書籍発行日:2011年4月
  • 電子版発売日:2012年7月28日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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