白血病・リンパ腫・骨髄腫 今日の診断と治療[改訂4版]

  • ページ数 : 544頁
  • 書籍発行日 : 2011年10月
  • 電子版発売日 : 2012年9月21日
¥13,200(税込)
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商品情報

内容

造血器腫瘍を包括する形で白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の診断と治療指針を簡潔にまとめた書です。

臨床医の先生方には造血器腫瘍診療における実践的な書として、また血液内科専門医の先生方には現場で役立つハンドブックとして、ぜひご活用いただきたい書です。

序文

造血器腫瘍を包括する形で白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫の診断と治療指針を簡潔にまとめた本書は1997年に出版され,血液疾患研究の進歩とともに数年毎に改訂を重ねてきた.第3版は2004年に出版されたが,その後も造血器腫瘍の分類が大きく変わるとともに分子病態を基盤とした治療法の進歩も著しいものがあるため,この度本書は改訂第4版を出版することとなった.

造血器腫瘍の分類は2001年に出版されたWHO分類が基盤となっているが,2008年には改訂第4版が出版された.第4版では新たな遺伝子異常に関する知見に基づいて骨髄系腫瘍およびリンパ系腫瘍ともに分類の変更や新たな概念の提示もなされた.さらに,この間には造血器腫瘍の治療法も大いに進展した.現在,造血器腫瘍の治療は分子標的療法が注目されているが,それとても慢性骨髄性白血病(CML)に対するチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)はメシル酸イマチニブからニロチニブやダサチニブなどの第2世代TKIの時代となり,より深い分子生物学的寛解を目指した治療が行われるようになった.さらに,これまで同種造血幹細胞移植以外に治癒を目指す治療法のなかった骨髄異形成症候群(MDS)に対してもレナリドミドやメチル化阻害剤などの薬剤が使用されるようになったり,多発性骨髄腫に対してはボルテゾミブ,サリドマイド,レナリドミドなどの新規薬剤がup-frontで用いられるようになり,より治癒を目指した治療法が志向されるようになってきた.このように,造血器腫瘍の分子病態解明の進歩は,これら疾患の分類,診断,治療法を大きく変えることとなった.われわれ臨床医は,これらの新しい知見を絶えずcatch-upして目の前の患者に対して正確な診断を下し最善の治療を行わなくてはならない.しかるに,われわれを取り巻く環境も大きく変化し,日常的にますます多忙を極めているのが現状である.

そのような状況を鑑み,今回の改訂第4版では多忙な臨床医が実際の診療に役に立てることができるように,まず造血器腫瘍の分子病態を理解した上で,診断や治療のポイントを簡潔に理解できるように大幅な改訂を行った.すなわち,造血器腫瘍の分類や治療に関する総論に続いて,各種疾患の分子病態や発症機構をわが国におけるエキスパートにわかりやすく概説いただいた後に,実際の治療のポイントを明確に記述していただくように工夫した.治療の項目を担当していただいた著者は第一線で治療にあたっておられる方々を選定させていただいた.

時代の変化を見据えて改訂された本書が,多くの臨床医の先生方に造血器腫瘍診療における実践的な書として,また座右の書として活用されることを期待している.また,お忙しいなかに本書を執筆いただいた先生方には心より御礼申し上げます.


2011年 8月

木崎 昌弘

目次

§1 総 論

1.造血器腫瘍の分類

A.WHO分類による骨髄系腫瘍の分類

a.骨髄増殖性腫瘍

b.好酸球増多症とPGDFRA,PDGFRB,またはFGFR遺伝子異常を有する骨髄・リンパ性腫瘍

c.骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍

d.骨髄異形成症候群myelodysplastic syndromes(MDS)

e.急性骨髄性白血病acute myeloid leukemia(AML)および関連する前駆細胞腫瘍

B.WHO分類によるリンパ系腫瘍の分類

a.WHO分類の思想

b.WHO分類第4版の成立過程

c.WHO分類第4版の概観と第3版との相違点

d.WHO分類第4版の指針

2.造血器腫瘍の治療

A.化学療法剤

a.化学療法による治療戦略

b.作用機序からみた抗がん薬の分類

B.分子標的療法

a.大きな前提としての検査

b.急性骨髄性白血病

c.慢性骨髄性白血病

d.B細胞性リンパ腫

e.T細胞性リンパ腫

f.多発性骨髄腫

g.奏効するかどうかをみる血液領域におけるバイオマーカー

h.その他の血液内科医が管理すべき,知っておくべき分子標的療法

C.造血幹細胞移植の適応と実際

a.日本における移植の現況

b.同種移植の適応

c.同種移植の実際

d.治療関連毒性

e.同種移植に伴う免疫反応

f.感染症(特に,ウイルス感染)

g.その他

D.支持療法

1.造血器腫瘍に合併する感染症の特徴,予防と治療

a.感染症の特徴

b.感染症の予防(予防的投与)

c.治 療

2.輸血療法の実際

a.輸血の歴史と血液型

b.輸血療法の手順

c.輸血療法の副作用・合併症と対策

d.造血器腫瘍における輸血療法

3.DICに対する対策

a.造血器疾患に伴うDICの特徴

4.造血器腫瘍治療時の栄養管理

a.栄養状態の評価

b.投与経路

c.栄養投与量の設定

d.製 剤

e.通常の化学療法での栄養管理

f.放射線療法単独あるいは放射線/化学療法併用における栄養管理 74

g.自家あるいは同種造血幹細胞移植の栄養管理

h.終末期

5.抗腫瘍薬の非血液毒性とその対応

a.悪心・嘔吐

b.腎障害

c.肝障害

d.心毒性

§2 急性白血病

1.急性白血病発症の分子病態

a.転写因子の異常

b.非受容体型チロシンキナーゼの異常

c.受容体型チロシンキナーゼの異常

d.その他の異常

e.白血病における遺伝子発現変化

2.急性白血病の診断アプローチ

a.急性白血病の臨床症状と血液検査所見

b.急性白血病の骨髄検査

c.WHO分類に基づいた診断アプローチ

3.急性骨髄性白血病(AML)の治療

A.AMLの治療理念

a.AML治療の理念

B.AMLの化学療法

a.AML治療の概観

b.治療の目標点

c.寛解導入療法

d.寛解導入療法の工夫

e.寛解後療法

C.AML対する造血幹細胞移植

a.AMLの予後予測因子

b.AMLの薬物療法

c.第1寛解期AMLにおける薬物療法と造血幹細胞移植の比較

d.正常核型AMLの第1寛解期における薬物療法と造血幹細胞移植の比較

e.第1寛解期AMLに対する自家造血幹細胞移植

f.高齢者の第1寛解期AMLにおける薬物療法と造血幹細胞移植の比較

g.第2寛解期以降のAMLにおける薬物療法と造血幹細胞移植の比較

D.再発・難治AMLの治療

a.再発AMLの予後因子

b.サルベージ治療とその特徴と注意点

c.プロトコールの選択方法

E.急性前骨髄球性白血病(APL)の治療

a.未治療APLの治療

b.高齢者APLの治療

c.PML-RARAを用いたMRDの評価

d.再発APLの治療

e.APLにおける造血幹細胞移植

4.急性リンパ性白血病(ALL)の治療

A.ALLの化学療法

a.化学療法の原則

b.成人ALLの化学療法

c.中枢神経系に対する予防と治療

d.新しい試み

B.ALLに対する造血幹細胞移植

a.ALLの移植適応

b.ALLの予後不良因子

c.MRDの有用性

d.第1寛解期における造血幹細胞移植の検討

e.非血縁者ドナーからの同種移植

f.再発後のALLに対する移植

g.RICについて

h.若年成人への移植

i.Ph染色体陽性ALLへの同種移植

C.フィラデルフィア染色体陽性ALL

a.診断と頻度

b.予後因子

c.治 療

d.移植の適応

e.移植後のTKIの使用

f.今後のポイント:TKIの使用法

D.小児および思春期ALLに対するアプローチ

a.ALL治療の特徴

b.小児プロトコールの基本骨格

c.治療成績

d.今後の展望

E.再発・難治ALLの治療

a.再発後の成績

b.非寛解期における移植

c.救援化学療法

d.新規治療薬

e.MRD測定による高リスク群の同定

f.Ph陽性ALLに対する治療

5.高齢者急性白血病の治療

a.高齢者白血病治療上の留意点

b.高齢者急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia;AML,M3以外)の治療

c.高齢者acute promyelocytic leukemia(APL)の治療

d.高齢者acute lymphoblastic leukemia(ALL)の治療

§3 骨髄異形成症候群

1.MDSの発症機構,分類,診断,鑑別診断

a.発症機構

b.分 類

c.診 断

d.鑑別診断

2.MDSの治療

A.低リスクMDSの治療

a.MDSの治療における基本的な考え方

b.低リスクMDSに対する治療

B.高リスクMDSの治療

a.治療のための層別化の問題点

b.化学療法

c.造血幹細胞移植

d.DNAメチル化阻害剤

e.鉄キレート薬

f.National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインによる治療戦略

C.MDSに対する造血幹細胞移植

a.MDSに対する同種造血幹細胞移植の現状

b.低リスクMDSに対する同種造血幹細胞移植

c.高リスクMDSに対する同種造血幹細胞移植

d.治療関連MDS

D.MDSに対する新規治療薬

a.lenalidomide(レブラミド)(免疫調節薬:IMiDs)と5q―MDS

b.DNAメチル化阻害薬(azacitidine,decitabine)

c.ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬

d.その他の新規治療薬

§4 慢性骨髄性白血病

1.CMLの病態と診断

a.分子病態

b.臨床病態と診断・検査

2.初発慢性期CMLの治療

a.概 要

b.imatinib治療の進め方

c.第2世代TKIによる初発慢性期CML治療

3.imatinib抵抗性・不耐容慢性期CMLの治療

a.imatinib抵抗性・不耐容の定義

b.imatinib耐性・不耐容の治療

4.移行期/急性転化CMLの治療

a.治療方針

b.移行期

c.急性転化期

§5 骨髄増殖性腫瘍

1.骨髄増殖性腫瘍発症の分子機構

a.MPNとキナーゼ変異

b.JAK2 V617F変異によるMPN発症の分子機構

c.MPNにおいて認められるその他の分子異常

d.MPNの病型進展に関わる遺伝子異常

2.真性赤血球増加症の診断と治療

a.定義・概念

b.疫 学

c.病因・病態生理と分子メカニズム

d.臨床症状

e.検査成績

f.診 断

g.治療と薬理メカニズム

h.経過・予後

3.本態性血小板血症の診断と治療

a.分子異常を中心とした病態

b.症 状

c.診 断

d.治 療

e.予 後

4.原発性骨髄線維症の診断と治療

a.概 念

b.臨床症状と検査所見

c.診 断

d.予 後

e.治 療

§6 悪性リンパ腫およびリンパ系腫瘍

1.悪性リンパ腫発症の分子機構

a.B細胞性リンパ腫

b.T/NK細胞リンパ腫

c.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL/L)

d.ALK陽性未分化大細胞リンパ腫(ALK+ALCL)

e.T/NKリンパ腫とEBV

2.悪性リンパ腫の診断アプローチ

a.悪性リンパ腫を疑う所見

b.リンパ節腫脹の鑑別診断

c.病変部の生検

d.病理診断のプロセス

3.悪性リンパ腫の病期診断,予後予測因子

a.病期診断

b.予後予測因子

4.低悪性度B細胞性リンパ腫の治療(濾胞性リンパ腫,MALTリンパ腫など)

a.MALTリンパ腫

b.濾胞性リンパ腫

5.中悪性度リンパ腫の治療(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を中心として)

a.分類・予後因子

b.進行期DLBCLの治療

6.高悪性度リンパ腫の治療(リンパ芽球性リンパ腫,Burkittリンパ腫)

a.リンパ芽球性リンパ腫

b.Burkittリンパ腫

7.特徴的なリンパ腫の治療

A.皮膚T細胞リンパ腫の治療

a.皮膚T細胞リンパ腫

b.菌状息肉症/Sezary症候群

c.原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(C-ALCL)

d.皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphoma(SPTCL)

B.マントル細胞リンパ腫の治療

a.初発症例に対する治療

b.再発/難治例に対する治療

C.消化管リンパ腫の治療

a.消化管リンパ腫

b.胃リンパ腫

c.十二指腸リンパ腫

d.小腸リンパ腫

e.大腸・直腸リンパ腫

f.腸症型T細胞リンパ腫

D.血管内大細胞型B細胞リンパ腫の治療

a.診 断

b.治 療

E.NK/T細胞リンパ腫の治療

a.治療上重要なENKLの特徴的所見

b.限局期鼻咽頭原発ENKLの治療

c.進行期,再発・難治ENKLに対する治療

8.Hodgkinリンパ腫の治療

a.Hodgkinリンパ腫の治療方針

b.再発・難治性HLに対する治療戦略

c.今後の展望

9.成人T細胞白血病/リンパ腫

a.診 断

b.臨床病型分類

c.治 療

10.慢性リンパ性白血病および類縁疾患の治療

a.慢性リンパ性白血病の治療

b.CLL類縁疾患の治療

§7 多発性骨髄腫および類縁疾患

1.多発性骨髄腫の発症機構

a.MMとMGUSの染色体異常

b.染色体異常形成の初期変化としての抗原刺激

c.骨髄腫における腫瘍細胞の起源

d.形質細胞分化の制御分子とIGH転座

e.IRF4 addiction

f.IGH転座の相手染色体と脱制御遺伝子

g.IGH転座形成のDNA再構成機構

h.MM進行に関与する分子遺伝学的ならびに生物学的機構

2.多発性骨髄腫の診断および鑑別診断

a.疫学と病因

b.病態と症状

c.診 断

d.病型分類と鑑別診断

e.病期分類

f.予後因子

3.若年者多発性骨髄腫の治療

a.多発性骨髄腫治療における完全寛解の重要性

b.多発性骨髄腫の治療法

c.自家造血幹細胞移植

d.本邦における自家造血幹細胞移植

e.同種造血幹細胞移植の位置づけ

4.移植非適応高齢者多発性骨髄腫の治療

a.MP-T療法:thalidomide+MP療法

b.V-MP療法:bortezomib(ベルケイド)+MP療法

c.MPR療法:lenalidomide(レブラミド)+MP療法

d.Ld療法:lenalidomide(レブラミド)+少量dexamethasone療法

e.新規薬剤同士の併用療法:V-MP療法との比較試験

f.通常化学療法(新規薬剤を用いないレジメン)

g.副作用・合併症のマネージメント

5.再発・難治多発性骨髄腫の化学療法

a.再発・難治例治療の日本での現状

b.thalidomide

c.bortezomib

d.lenalidomide

e.同種移植

f.具体的な薬剤選択と将来への展望

6.骨髄腫治療における地固め・維持療法

a.骨髄腫における地固め・強化維持療法

b.移植適応症例における地固め・維持療法

c.移植非適応症例における地固め・維持療法

d.地固め療法としての新規薬剤と自家移植

7.多発性骨髄腫における骨破壊機構とその治療

a.骨髄腫骨破壊機構

b.骨病変の診断・評価

c.骨病変に対する治療法

8.原発性マクログロブリン血症の治療

a.治療適応

b.初回治療

c.維持療法

d.再発・治療抵抗性WMの治療

e.治療効果判定基準

9.原発性アミロイドーシスの治療

a.原発性アミロイドーシスの臨床像

b.原発性アミロイドーシスの治療理念

c.原発性アミロイドーシスの治療効果判定

d.原発性アミロイドーシスの治療の実際

10.Castleman病の治療

a.Castleman病の分類と診断

b.Castleman病の病因

c.UCDの治療

d.MCDの治療

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書籍情報

  • ISBN:9784498125193
  • ページ数:544頁
  • 書籍発行日:2011年10月
  • 電子版発売日:2012年9月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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