白血病診療ポケットブック

  • ページ数 : 386頁
  • 書籍発行日 : 2011年10月
  • 電子版発売日 : 2012年8月25日
¥6,820(税込)
ポイント : 124 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

白血病における最新の診断と治療をコンパクトにまとめた書。基礎から分類、症候、臨床検査、治療、造血幹細胞移植、支持療法までをわかりやすく解説。研修医の先生や白血病診療に携わる周辺スタッフがベッドサイドで開いて役立つのみでなく、専門医の先生の知識のブラッシュアップにも役立つレベルの内容です。

序文

─「白血病診療ポケットブック」刊行にあたって─


最近,私がなぜ血液内科を選択したのかを考えることがある.思い出すのは研修医の時に初めて経験した急性骨髄性白血病の症例である.抗がん剤の投与により,おもしろいように白血病細胞が減っていき,感染症で苦労しているうちに,やがて正常の造血が回復してくる.そして,嵐が去った後のような静けさが患者さんに訪れる.あの時の爽快感,満足感が私を血液学の道に誘ったのだと思い出す.それは私だけではなく,血液を専門とする多くの先生が,同じではないだろうか.攻撃としての抗がん剤治療,防御としての感染症治療など,白血病の治療は極めて多彩な局面から構成される.そして,攻撃と防御の両方に長けることが血液専門医には要求される.このために何が必要か? それは,治療における数多くのエビデンスを習得し,目の前の患者さんに適確に応用することである.また,近年,白血病の治療においては,分子異常・病態の理解は欠くことのできない時代となっている.

そんななか,中外医学社より本書の編集を依頼された.白血病診療に役立つ,しかも,分子病態から治療プロトコールまでをコンパクトにまとめた本という依頼であった.そこで,頁数を気にしながらも白血病の基礎から臨床まで,また,臨床では攻撃から防御まで,この本1冊で白血病のほとんどを理解できる項立てとした.また,読みやすくという観点から,箇条書きでの記載が可能な項目については,要点を箇条書きで記載していただいた.本書は,各領域の第一線の先生方にご執筆いただいたので,研修医の先生がベッドサイドで開いて役立つのみでなく,専門医の先生の知識のブラッシュアップにも役立つレベルの内容である.忙しいなか,本書を執筆していただいた各先生に感謝するとともに,本書が読者の先生方の日常診療の一助となることを期待してやまない.


2011年 8月

近畿大学医学部血液内科 松村 到

目次

§1 白血病の基礎知識

1.疾患概念と病態

・疾患概念

・病態

2.疫学

3.発症機構

A.正常造血幹細胞と白血病幹細胞

・正常造血幹細胞

・白血病幹細胞

B.分子(染色体,遺伝子,エピゲノム, microRNAなどの)異常

・染色体異常

・遺伝子異常

・epigeneticsの異常

§2 白血病の分類

1.FAB分類

・FAB分類の特徴

・AMLのFAB分類

・ALLのFAB分類

2.WHO分類

・WHO分類の特徴

・急性骨髄性白血病および関連前駆細胞腫瘍

・分化系統不明瞭な急性白血病

・ALL/前駆型リンパ球系腫瘍

§3 症候

1.急性白血病と慢性白血病

A.急性白血病

B.慢性白血病

§4 臨床検査

1.一般検査

・末梢血検査

・生化学検査など

・凝固検査

2.骨髄穿刺/骨髄生検

A.骨髄穿刺

・方法

・評価

B.骨髄生検

3.形態診断

・染色標本の評価

・芽球の定義と取扱い

・全有核骨髄細胞と非赤芽球系細胞

・形態学的異形成

・dysplasiaを伴う骨髄性腫瘍

4.細胞化学的検査(特殊染色)

・意義

・項目

5.細胞表面抗原検査

・意義

・検査概要

・検査方法

・結果の読み方

6.遺伝・分子生物学的検査

A.染色体検査(G染色法,FISH法)

・G染色法

・FISH法

B.クローン性解析

C.RT-PCR法

§5 治療総論

1.抗がん薬

A.作用機序と分類

・代謝拮抗薬

・アルキル化薬

・白金製剤

・自然界由来物質

・その他

B.副作用

・骨髄抑制

・消化器毒性

・心毒性

・腎・尿路系毒性

・肝毒性

・神経毒性

・血管外漏出

2.分子標的薬

・チロシンキナーゼ阻害薬

・分化誘導薬

・抗体薬

・免疫調整薬

・プロテアソーム阻害薬

3.放射線療法

・全身照射

・予防的全脳照射

・全脳全脊髄照射

・中枢神経系以外の髄外病変の放射線治療

§6 治療各論

1.急性骨髄性白血病の寛解導入療法

・概要

・プロトコール

・化学療法施行時の注意

・治療効果判定

2.急性骨髄性白血病の寛解後療法(移植適応を含む)

・概要

・プロトコール

・化学療法施行時の注意

・移植適応の判断

3.再発・難治性急性骨髄性白血病の治療(移植適応を含む)

・概要

・プロトコール

・造血幹細胞移植

4.初発急性前骨髄球性白血病の治療(移植適応を含む)

・病態

・治療のポイント

・処方例

5.再発急性前骨髄球性白血病の治療(移植適応を含む)

・病態

・治療のポイント

・処方例(再寛解導入療法)

6.二次性(治療関連)白血病の治療(移植適応を含む)

・二次性白血病の分類と病態

・治療方針と治療のポイント

・治療方針のまとめ

7.混合型急性白血病の治療(移植適応を含む)

・診断と分類の注意点

・病態

・治療成績と化学療法のポイント

・同種造血幹細胞移植の適応

8.急性リンパ性白血病(nonPh)の寛解導入療法

・急性リンパ性白血病の初回治療

・主な治療プロトコール

・寛解導入療法に使用される主たる抗白血病薬の特徴

・中枢神経浸潤の予防

9.急性リンパ性白血病(nonPh)の寛解後療法

・急性リンパ性白血病(ALL)の寛解後療法

・ALLの予後因子

・寛解後療法:併用化学療法

・寛解後療法:造血幹細胞移植療法(HSCT)

・標準リスクALLに対する寛解後療法

・高リスクALLに対する寛解後療法

10.再発・難治性急性リンパ性白血病(nonPh)の治療(移植適応を含む)

・再発・難治性急性リンパ性白血病の捉え方

・再発ALLの特徴

・治療抵抗性ALL

・再発・治療抵抗性ALLの治療法

・再発・治療抵抗性ALLにおける

中枢神経浸潤(CNS白血病)の治療法

・再発・治療抵抗性ALLに対するHSCT

11.Ph陽性急性リンパ性白血病の治療

・治療のポイント

・治療成績

・JALSG Ph+ALL202レジメン概要

・65歳以上症例への治療

・同種造血細胞移植の適応

・同種移植後のチロシンキナーゼ阻害薬

・再発・難治例への治療

12.青年期急性リンパ性白血病の治療

・青年期急性リンパ性白血病とは

・予後因子

・小児レジメンの治療コンセプト

・成人レジメンの治療コンセプト

・小児レジメン・成人レジメン治療成績比較

・青年期急性リンパ性白血病の治療

13.ハイリスクMDSの治療(移植適応を含む)

・骨髄異形成症候群(MDS)の病態

・ハイリスクMDSの定義と予後

・ハイリスクMDSに対する治療

・薬物療法

・脱メチル化薬が予後を延長する

・移植療法

14.高齢者白血病の治療

・高齢者白血病の治療上の問題点

・高齢者急性骨髄性白血病(AML,M3以外)の治療

・高齢者急性前骨髄性白血病(APL)に対する分子標的療法

・高齢者AMLに対するミニ移植

・高齢者急性リンパ性白血病(ALL)の治療

・高齢者慢性骨髄性白血病(CML)に対する分子標的療法

・高齢者慢性リンパ性白血病(CLL)に対する化学療法・免疫化学療法

15.小児の急性骨髄性白血病の治療

・診断学の進歩

・AMLの原因と基礎研究の成果

・AMLの治療と予後

・AMLにおけるMRDの意義

16.小児の急性リンパ性白血病の治療

・診断学の進歩

・ALLの予後因子

・ALLの治療と予後

17.初発慢性期慢性骨髄性白血病の治療

・病態

・初発CML-CPに対するイマチニブ治療と治療効果判定

・初発CML-CPに対する第二世代TKI

・初発CML-CPに対する処方例

18.イマチニブ抵抗性・不耐容の慢性期の慢性骨髄性白血病の治療

・イマチニブ抵抗性・不耐容とは

・治療のポイント

・処方例

19.移行期,急性期の慢性骨髄性白血病の治療

・移行期,急性転化期への進行機構と治療方針

・CML-APの治療

・CML-BPの治療

・第二世代TKIsとallo-HSCTの位置づけ

20.慢性リンパ性白血病の診断・分類・治療

・診断

・分類

・治療

§7 造血幹細胞移植

1.HLA適合とドナーソース

・HLA検査

・HLA不適合の影響とドナー選択

・非血縁者間臍帯血移植とHLA 2抗原以上不適合血縁者間移植

・HLA適合血縁ドナーからの移植における骨髄移植と末梢血幹細胞移植の比較

2.移植前処置

・移植前処置の基本

・TBI前処置と非TBI前処置の選択

・ミニ移植

・再生不良性貧血に対する移植前処置

・各薬剤投与時および全身放射線照射時の注意事項

3.移植片対宿主病と移植片対白血病効果

・移植片対宿主病

・薬物による急性GVHDの予防

・T細胞除去による急性GVHDの予防

・急性GVHDの診断と治療

・慢性GVHDの診断と治療

・GVHDとGVL効果の関係

4.同種移植:合併症

・同種移植後合併症

・感染症

・生着不全

・SOS/VODとは

・SOS/VODの診断

・SOS/VODの予防

・SOS/VODの治療

5.AML,ALLに対する自家移植の位置づけ

・急性骨髄性白血病

・急性リンパ性白血病

6.バンク移植の実際

§8 支持療法

1.合併症の治療

A.播種性血管内凝固症候群(DIC)

・白血病に合併するDICの特徴

・診断

・治療

B.腫瘍崩壊症候群

・概要

・診断

・予防

・治療

2.輸血

A.輸血用血液製剤とその適応

・血液製剤の種類

・赤血球輸血

・血小板輸血

・新鮮凍結血漿輸血

B.輸血の副作用

・分類

・溶血反応

・非溶血性急性反応

・輸血関連急性肺障害

・輸血後移植片対宿主病

・感染症

・輸血後鉄過剰症

3.感染症

A.クリーン管理

・環境対策

・食事

・医療者の教育・管理

・面会者

B.サイトカイン

・G-CSF投与の基本的注意点

・G-CSF投与の適応

・その他の特殊な適応

C.感染症の予防

・患者指導

・感染症予防

D.感染症の治療

・白血病およびその治療による免疫機構の破綻

・発熱性好中球減少症に対する対策

・特定の起因菌による感染症

4.粘膜障害

・粘膜障害を起こしやすい薬剤

A.口内炎

・予防

・口内炎発症時の管理

・感染症

B.下痢

・予防

・下痢出現時の管理

・感染性腸炎による下痢

・ダサチニブによる消化器症状

附.各種連絡先

索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:14.3MB以上(インストール時:31.2MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:57.2MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:53.4MB以上(インストール時:133.5MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:213.6MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784498125681
  • ページ数:386頁
  • 書籍発行日:2011年10月
  • 電子版発売日:2012年8月25日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。