向精神薬の使い方に差がつく本

  • ページ数 : 152頁
  • 書籍発行日 : 2013年4月
  • 電子版発売日 : 2013年6月29日
¥2,860(税込)
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商品情報

内容

精神科薬理学、脳科学をバックグラウンドに、日々精神科臨床に取り組む著者が、その「ロジカルな」向精神薬の処方ノウハウを惜しみなく開陳する。

・マイナートランキライザーの適切な使い方とは?
  ・抗精神病薬のAugmentation(補助療法)とは?
  ・患者に適切な薬物療法を継続させるための鍵とは?
 
明日からの処方に「差がつく」ヒント満載の一冊です。

序文

はじめに

メンタルヘルスの向上が早急かつ重要な課題であるのは言うまでもない.しかしながら,国の示す指針とさまざまなプロパガンダを見聞するかぎり,そのどれもが臨床現場を理解しているとは到底思えないものばかりである.

メンタルヘルス向上の一翼を担う精神科医療の現場にも問題がある.それは精神科医の医療技術向上の問題である.

今の日本の医療の現場では,真摯に医療に取り組めば,取り組むほど最新の医療技術を得るための時間や機会に恵まれないという理不尽な状況に陥る.最新治療の効果を最も上げられる立場の医師ほどそれを行使できないのだ.精神科医療の要である薬物療法は日々進歩しているが,それをアップデートできないという意見もしばしば耳にするようになった.

以前にエントリー向けの精神科治療薬に関する総説書を執筆した.発刊後しばらくして,処方をチェックしてほしいという精神科医からカンファレンスの申し出や,講演会での討議で知り合った精神科医と何度かミーティングを開催した.どの医師も地域医療に貢献している立派な精神科医だが,薬理学が苦手で向精神薬の処方に,正直なところ自信がないという.

薬理学をいまさらというのもわかる.星の数ほどある文献のどれが良いかをセレクトするのも難しい.精神科治療に関する成書のほとんどが海外の文献のレビューでしかなく編者の意見もない.このような状況のなか何かできることとして草の根的に先のようなミーティングやレクチャーで著者の行っている向精神薬処方における脳科学的,精神科薬理学的なバックグラウンドと処方のロジックを伝えてきた.

それらの努力が評価され,この『向精神薬の使い方に差がつく本』として結実したのである.すでに研究の場から離れた一開業医が,これまで培った知識と技術をまとめたものではあるが,臨床においての実務の要である向精神薬の処方においては有用であると自負している.

本書が精神科医療に真摯に取り組まれている医師にとって有用だという評価が得られることを切に願う.


2013年 3月

姫井 昭男

目次

Chapter 1.脳神経ネットワーク

§1.高度な活動を支える神経伝達システム

§2.高次元ネットワークシステム

§3.ストレスが引き起こすネットワークトラブル

§4.システムトラブルと精神症状

§5.ネットワークシステムと神経伝達物質

§6.神経伝達物質共用によるメリットとデメリット

Chapter 2.神経伝達物質,いまわかっていること

§1.神経伝達物質と生理機能の関わり

§2.精神活動に大きく関与する神経伝達物質

§3.神経伝達機構のdysfunction

§4.個々の神経伝達物質が支配する生理機能

Chapter 3.向精神薬ができること

§1.精神症状はどのような状態で発現するのか?

§2.向精神薬は神経伝達物質にどう関わっているのか

§3.精神症状に向精神薬はどのように機能しているのか

§4.向精神薬の機能からみた精神症状への効果

§5.向精神薬の役割と限界

向精神薬の海外適応効果に対する考え方

Chapter 4.向精神薬を処方する前に

§1.向精神薬のプロファイルを知る

§2.個体差考慮のために添付文書を読み込む

§3.神経伝達システム異常連鎖を考慮する

Chapter 5.精神症状と神経伝達物質

§1.精神症状の成因を神経伝達物質の変化から考える

§2.抑うつ状態

§3.躁状態

§4.幻覚妄想状態

§5.不 安

§6.集中困難

§7.衝 動

§8.睡眠異常

Chapter 6.『うつ』における神経伝達物質の動態

§1.『うつ』に相関する神経伝達物質

§2.『うつ』のモノアミン仮説

§3.モノアミンの生理学的ファンクションと『うつ』の症状

§4.モノアミンの動態と『うつ』発現のプロセス

Chapter 7.抗うつ薬の処方のヒント

§1.『うつの治療』は新世代抗うつ薬のみで成立するのか?

§2.新世代抗うつ薬

§3.新世代抗うつ薬の特性

§4.抗うつ薬の使い分け

§5.SSRI,SNRI,NaSSAの選択

§6.新世代抗うつ薬は単剤処方

§7.抗うつ薬の効果判定

§8.抗うつ薬の治療を終えるとき

§9.抗うつ薬の減薬

§10.Discontinuation syndrome(中止後発現症状)

〔NaSSA(noradrenergic and specific serotonergic antidepressant): ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬〕とドーパミン神経

NaSSAの副作用

パロキセチン5 mgの有用性

抗うつ薬と慢性疼痛

Chapter 8.マイナートランキライザーの処方のヒント

§1.ストレス社会とマイナートランキライザー

§2.マイナートランキライザーの定義

§3.2つのマイナートランキライザー

§4.ベンゾジアゼピン

§5.ベンゾジアゼピン系薬剤と非ベンゾジアゼピン系薬剤

§6.マイナートランキライザーの問題点

§7.過量のマイナートランキライザーの作用は"気絶"

§8.マイナートランキライザーの至適用量

§9.マイナートランキライザーが抱える問題

医原性薬物依存症

第一次薬物乱用期と現在

Chapter 9.マイナートランキライザーを適切に使うには

§1.抗不安薬は本当に不安を改善するのか?

§2.マイナートランキライザーの現代の存在意義

§3.どのタイミングで処方するのか?

§4.どのタイミングでやめるのか?

§5.睡眠導入剤の処方を考える前に

§6.睡眠導入剤で改善する不眠,改善しない不眠

§7.睡眠導入剤服用における注意と問題

§8.睡眠導入剤の中止プログラム

§9.睡眠導入剤に対する誤った認識

§10.まとめ: マイナートランキライザーの処方で困らないようにするには

特殊な性質をもつ睡眠導入剤

高齢者への睡眠導入剤の処方

ラメルテオン(ロゼレム(R))は催眠剤

Chapter 10.抗精神病薬による薬物療法で知っておくべきこと

§1.抗精神病薬による治療のプライオリティー

§2.繰り返される再燃を防ぐことの本当の意味

§3.第1世代抗精神病薬の薬理学的効果

§4.抗精神病薬の世代間の違い

§5.抗精神病薬が効果を最大限に発揮できる条件

創製されるヒントの意外性

スルピリドと胃・十二指腸潰瘍

Chapter 11.抗精神病薬の処方のヒント

§1.抗精神病薬多剤併用が適切な薬物療法でないという理由

§2.多剤併用のもう一つの問題

§3.新規抗精神病薬への適切な切り替えの条件

§4.単剤化の計画の基本理念の認識

§5.第1世代から第2世代への切り替えの際の薬剤選択

§6.Switchingの実際

§7.Switchingを行うときの落とし穴

§8.非定型抗精神病薬の使い分け

orphan drug的なクロザピン

頓服としての抗精神病薬液剤の有用性

Chapter 12. 抗精神病薬のAugmentation(補助療法)

§1.Augmentation(補助療法)とは

§2.症状評価と神経伝達物質

§3.Psychopathology Scale(総合精神病理評価尺度)

§4.各神経伝達物質関連症状へのaugmentation

Chapter 13.Mood stabilizer(気分安定薬)

§1.作用機序は未解明?

§2.Mood stabilizerの役割

§3.神経伝達レベルでの気分の揺らぎ

§4.ノルアドレナリン神経系に作用するmood stabilizer

§5.興奮神経系に作用するmood stabilizer

§6.ドーパミン神経系に作用するmood stabilizer

§7.Mood stabilizerの処方における注意

Mood stabilizerとしての抗てんかん薬の作用機序

Chapter 14.精神科薬物療法をよりよくする知識

§1.副作用のない薬剤は存在しないという認識の啓発

§2.医療情報氾濫時代の薬物療法の注意点

§3.薬物療法を継続させる鍵は......

§4.抗精神病薬を処方するときに伝えていること

§5.患者にすべて伝える

§6.自己判断での服薬中断を防止するには


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書籍情報

  • ISBN:9784498129528
  • ページ数:152頁
  • 書籍発行日:2013年4月
  • 電子版発売日:2013年6月29日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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