実践Onco-Cardiology がん臨床医と循環器医のための新しいテキスト

  • ページ数 : 196頁
  • 書籍発行日 : 2018年9月
  • 電子版発売日 : 2018年9月21日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

腫瘍循環器学のStandard!

循環器学・臨床腫瘍学双方の分野から、腫瘍循環器のエキスパートが集結して著した唯一無二のテキスト!腫瘍循環器外来の実際、腫瘍循環器学のパースペクティヴから見た、がん治療・がん患者の問題点とそのマネジメントを実践的に解説する。

序文

わが国において死因のトップはがんであるが,後期高齢者に限ると循環器疾患で亡くなる人のほうが多い.したがって高齢者はがんか循環器疾患で亡くなることが多く,またがんと循環器疾患をともに発症する人も多いと考えられる.一般的に循環器疾患にがんはないが,がんと循環器疾患では2つの接点がある.1つは,アドリアマイシン心筋症に代表される抗がん剤による心筋傷害である.再発を繰り返す白血病や肉腫の患者に対しては,現在も大量のアドリアマイシンが投与されるために,がんは克服したものの後年重症な心不全を発症することがある.アドリアマイシン心筋症は予後が大変不良であり,心移植が必要となることも多い.アドリアマイシンほど心毒性は強くないものの,ほとんどの抗がん剤には心毒性がある.例えば乳がんの治療薬であるトラスツズマブは,心筋細胞にとって最も重要な保護シグナルであるニューレギュリン-ErbBシグナルを抑制し,大腸がんなど多くのがんの治療に用いられているベバシズマブは心臓にとって重要な血管新生を抑制する.これらの抗がん剤は,単独では強い心機能障害をもたらさないかもしれないが,高血圧などの合併症や心筋梗塞の既往などのある人やアドリアマイシンとの併用では高率に心不全を惹起する.高齢者は皆心不全予備軍ともいえるので,高齢者に対する抗がん剤治療は十分な注意が必要である.もう1つのがんと循環器疾患の接点は血栓である.高齢者が血栓塞栓症を発症したらがんを疑えというくらい,担がん患者では血栓塞栓症を発症することが多いことは昔からよく知られていたが,抗がん剤による治療がさらに血栓塞栓症を促進することはあまり知られていない.また担がん患者は易出血性でもあるため,血栓塞栓症に対する抗凝固療法も容易ではない.外来治療を受けている担がん患者の死因の第2位,約10%は血栓塞栓症であるといったデータもある.

腫瘍循環器の目指すべきゴールは,担がん患者が上記のような循環器疾患を発症しないで十分ながん治療を可能とすることである.そのためには,実態把握のためのレジストリー研究を行い,さらに抗がん剤の心毒性や血栓形成の分子機序の解明から新規の予防法や治療法を開発することが重要である.がん専門医と循環器専門医が連携することにより腫瘍循環器学が進歩し,ひとりでも多くの担がん患者が救われることを祈念したい.


2018年6月

東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
小室 一成

目次

第1章 腫瘍循環器外来とその実際

1.腫瘍循環器外来の役割

2.マルチヒット仮説

3.がん治療前の心血管リスク評価

4.がん治療中の心血管モニタリング

5.がんサバイバーに対する長期的なフォロー

6.今後の課題

第2章 がん治療に伴う心血管毒性とそのマネジメント

A 心不全:CTRCDがん治療関連心筋障害とそのマネジメント

1.1型心筋障害(アントラサイクリン心筋症)

 1.アントラサイクリン系抗がん剤の使用

 2.アントラサイクリン心筋症の臨床症状

 3.アントラサイクリン心筋症の予後

 4.アントラサイクリン心筋症のメカニズム

 5.アントラサイクリン心筋症のリスク因子

 6.アントラサイクリン心筋症の予防

 7.アントラサイクリン心筋症の治療

2.2型心筋障害(トラスツズマブ心筋症)

 1.2型心筋障害の概要,疫学,分子機序

 2.‌2型心筋障害の診断,有用な検査,治療,マネジメントの現状

トピック CTRCDの診断

 1.CTRCDの診断基準

 2.CTRCDのリスク・原因

 3.CTRCDの診断のために

 4.血液検査

 5.心電図

 6.画像診断

B 新しいがん治療において注目される心血管毒性とそのマネジメント

1.血管新生阻害薬

 1.CTRVDの予防・低減へのアプローチ

 2.Perspective

2.白血病治療と血管病変

 1.慢性骨髄性白血病の病態と治療

 2.TKI内服に際して注意すべき心血管有害事象

 3.TKI内服時の心血管有害事象のマネージメント

3.虚血性心疾患と放射線関連心疾患(RIHD)

 1.虚血性心疾患

 2.放射線関連心疾患(RIHD)

 3.RIHDのスクリーニング

 4.心筋障害

 5.弁膜症

 6.伝導障害

 7.心膜炎

 8.冠動脈疾患

4.免疫チェックポイント阻害薬の循環器系への影響

 1.夢の新薬─免疫チェックポイント阻害薬

 2.悪性疾患と心血管病

 3.ICIsの有害事象

 4.ICIsによる心臓障害

 5.心血管系副作用の発現機序

 6.心血管有害事象の対応と治療

 7.今後の課題

トピック 腫瘍医からみた心血管合併症への対応

 1.がんと心血管系障害

 2.がんと静脈血栓塞栓症(VTE)

 3.血管新生阻害薬による心血管毒性

 4.その他の抗がん剤による心血管系合併症

第3章 腫瘍循環器学における問題点とそのマネジメント

1.がん関連血栓症

 1.CATの疫学

 2.がんと血栓症との関連

 3.がん患者のVTEの予防と治療

 4.DOACによるがん患者に合併したVTEの治療

2.がん治療関連高血圧症とその対応

 1.がん治療における血管新生阻害薬と高血圧

 2.がん治療関連高血圧への腫瘍循環器学的アプローチ

 3.がん治療関連高血圧症の問題点とその将来

3.がんと腎臓と心血管毒性(onco-nephrology)

 1.がん薬物療法時の腎機能評価

 2.がん治療と急性腎障害

 3.腫瘍崩壊症候群

4.がんと高齢者と心血管毒性

 1.がん治療による心血管毒性による合併症

 2.がん治療に起因する心血管毒性のリスク因子

 3.高齢者に対する治療別の影響

 4.高齢者におけるがん治療の管理

5.がんサバイバーと腫瘍循環器

 1.がんサバイバー

 2.腫瘍循環器学

 3.小児がんサバイバーに対する循環器ケアの課題

 4.成人がんサバイバーに対する循環器ケアの課題

 5.がんサバイバーに対する腫瘍循環器ケア

 6.CVDと乳がん─共通するリスク

 7.最新のがん治療に対応したがんサバイバー・ケア


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書籍情報

  • ISBN:9784498134362
  • ページ数:196頁
  • 書籍発行日:2018年9月
  • 電子版発売日:2018年9月21日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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