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- 小児超音波検査のみかた,考えかた
商品情報
内容
自信を持って的確に小児超音波を使いこなすために、美しい画像に加えて「診断に至るまでの思考プロセス」も丁寧に解説しました。バラエティに富む疾患への対応が迫られる小児科診療の現場で必ず強い味方になる一冊です。
序文
はじめに
超音波検査は,被曝がなく非侵襲的で,ベッドサイドで繰り返し行えるメリットがあります.小児の特徴として,放射線感受性が高く侵襲に弱いことがあげられます.また,CT やMRIは,病棟から離れた場所で行われ,小児では鎮静が必要な場合があり,全身状態に影響を与える可能性があります.このようなことから,超音波検査は特に小児できわめて有用な画像診断であると言えます.
このような有用性が知られていながら,未だ超音波検査を積極的に用いている小児科医は多くありません.その原因は,超音波検査が検査者の技量に依存するので,まったくの初心者には始めづらいのです.しかし,他の画像診断においても初心者の診断能力は劣るので,超音波検査が特別な訳ではありません.要は,画像をきちんと評価できるように,勉強して知識を得ることです.超音波検査では,それに加えて,画像をどのようにして得るかも勉強する必要があります.
本書の題名は「小児超音波検査のみかた,考えかた」となっています.今までの教科書は,疾患別にその超音波所見が書かれていました.本書では,自分で検査を進めるような内容にしています.どのような時に超音波検査を行うべきか,どのようなことに注意しながら検査を進めるか,そして診断へたどりつくのですが,そのプロセスにおける考えかたが大切です.単なる画像の「見かた」でなく,考えかたも含めた「診かた」が書いてあります.それを理解するため,あらかじめ本書を通読することをお勧めします.そして,この本があなたの「味方」になってくれます.
もうひとつ通読していただきたい理由があります.それは,いろいろな臓器,疾患に超音波検査を利用してもらいたいのです.超音波検査はあらゆる臓器が対象になります.そのため,本書ではすべての臓器について記載することにしました(呼吸器,運動器,手技の補助については割愛しましたが,機会があればぜひ触れたいと思います).バラエティに富む疾患を診なければいけない小児科の特徴として,幅広く超音波検査ができることは大きなメリットになります.
本書は,大学の附属病院ではありますが地域の中核病院としての特徴を有する自治医科大学附属さいたま医療センター小児科で経験した症例のみで構成されています.そのため,多くの疾患は,読者が明日経験するかもしれないものばかりです.日頃から超音波検査を積極的に行うことにより,子どもの被曝機会を減らし,鎮静をせず安全に,早期に診断してあげることができるようになります.本書がその手助けの一つとなれば幸いです.
最後に,本書の企画立案の段階から支援していただいた中外医学社の牧田里紗氏に深く感謝申し上げます.
2017年3月
市橋 光
目次
1 超音波の基礎知識
I●超音波による画像表示
II●走査方式(探触子の種類)
1 リニア走査方式
2 セクタ走査方式
3 コンベックス配列方式
III●ドプラ法
Question:連続波ドプラにサンプルボリューム?
IV●分解能
V●アーチファクト
1 屈折
2 多重反射
3 鏡面反射
4 減衰が関係するアーチファクト
2 経頭蓋エコー
I●検査の適応
II●検査方法
1 機器の設定
2 断層画面の描出方法と正常像
1.基準断面
2.透明中隔腔とベルガ(Verga)腔
3.大泉門以外のアプローチ
III●異常エコー所見
1 占拠性病変
1.頭蓋内出血
2.脳腫瘍
2 輝度異常
1.脳室周囲白質軟化症
2.脳梗塞
3.感染症
4.脳室の大きさ
5.脳奇形
6.細菌性髄膜炎の経過観察
IV●脳血流診断
3 体表エコー
I●検査の適応
II●検査方法
1 機器の設定
2 児の体位
3 断層画像の描出方法
III●実際のエコー像
1 頭部
1.外傷(頭部打撲)
2.拍動を伴う頭頂部の母斑
3.頭部腫脹の鑑別
2 副鼻腔炎
3 耳介前部から下顎の腫脹(耳下腺)
1.耳下腺のエコー
2.耳下腺の腫脹のみ
3.耳下腺に低エコーが斑状に見える
4.耳介前部の血管性母斑を伴った耳介前部の腫脹
5.耳下腺内の内部が不均一な腫瘤
4 頸部の腫脹
1.リンパ節
2.腫脹,発赤,熱感を有する場合
3.腫脹と疼痛を有する場合
4.隔壁を有する管腔構造の集合
5.筋性斜頸
5 甲状腺
1.甲状腺のびまん性腫大
2.甲状腺の萎縮
6 陰嚢の腫大
1.乳児の陰嚢腫大
2.急性陰嚢痛
4 心エコー
I●検査の適応
II●検査方法
1 機器の設定
1.プローブ(探触子)の選択
2.フレームレート
2 児の体位
3 基準断層画像の描出方法と正常像
1.胸骨傍アプローチ
2.心尖部アプローチ
3.心窩部アプローチ
4.胸骨上窩アプローチ
追加:血管輪をエコーで否定する(否定することは簡単)
4 区分診断法の活用
1.心房位の確認
2.心室位の確認
3.大血管の確認
5 Mモード法による計測
1.左室収縮の評価
2.下大静脈径の評価
6 ドプラによる計測
1.パルスドプラ
2.カラードプラ
3.連続波ドプラと圧較差の推定
III●先天性心疾患(心臓の構造の異常)
1 チアノーゼ性心疾患
1.診断のプロセス
2.異常像と疾患
2 非チアノーゼ性心疾患(見逃しやすい疾患が重症疾患)
1.新生児期に大きな心室中隔がある場合
2.心室中隔欠損を疑うが,エコーで異常を認めない
3.心臓内に異常構造物を認める
4.房室弁の位置の異常
IV●その他
1 川崎病
2 収縮能の低下
3 壁の異常
1.壁の肥厚
2.緻密化障害
3.心臓腫瘍
4 心膜液貯留
5 肺高血圧
1.三尖弁逆流血流速度から右室収縮期圧を指定する
2.右室流出路血流波形から肺高血圧を推定する
3.心室中隔,左室の形態から右室圧を推定する
5 腹部
I●検査の適応
II●検査方法
1 機器の設定
2 児の体位
III●断層画像の描出方法と正常像
1 肝臓・胆道系
1.縦走査
2.右肋間走査
3.右肋骨弓下横走査
4.心窩部横走査
5.左肋骨弓下横走査
6.左肋間走査
2 胆嚢・胆管
3 膵臓
4 腎臓・副腎
5 脾臓
6 膀胱
7 消化管
IV●疾患
1 新生児〜乳児期の嘔吐
1.胃食道逆流症
2.乳児肥厚性幽門狭窄症
3.腸回転異常症および中腸軸捻転
4.腸重積症
2 新生児〜乳児の黄疸
1.新生児肝炎
2.胆道閉鎖症
3.先天性胆道拡張症
3 幼児〜学童の腹痛
1.先天性胆道拡張症
2.急性虫垂炎
3.回腸末端炎
4.腸間膜リンパ節炎
5.O157腸炎・溶血性尿毒症症候群(HUS)
6.IgA血管炎
7.ウイルス性腸炎
4 その他
1.川崎病における胆嚢水腫
2.水腎症
3.FAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)
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書籍情報
- ISBN:9784498145481
- ページ数:122頁
- 書籍発行日:2017年4月
- 電子版発売日:2017年10月6日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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