認知症に伴う生活習慣病・身体合併症

  • ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2019年11月
  • 電子版発売日 : 2019年11月1日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

これからの認知症診療に不可欠な「包括的」視点を紐解く

高血圧、糖尿病、透析、排尿障害、骨粗鬆症、肺炎・誤嚥性肺炎
認知症患者にこんな併存症があるとき、あなたはどう治療しますか?

序文

はじめに

認知症診療で患者さんの臨床経過を診ていくと,認知症症状の進行悪化や行動・心理症状BPSDの出現などのように認知症由来の症状あるいは状態とともに生活習慣病の悪化あるいは転倒・骨折,けいれん発作,肺炎・誤嚥性肺炎,尿失禁などの身体合併症あるいは身体症状の発現をみることが多いと思います.さらに悪性腫瘍や心疾患,脳血管障害などを合併してくることがあるかもしれません.従来の認知症診療は,早期発見・早期対応が重要,認知症に対する医学的診断は医師の務め,患者さん本位の介護が柱になっていたかと思いますが,今後の認知症診療では,認知症患者さんに伴う身体合併症あるいは身体症状への治療や対応も重要な課題になってくると私は考えています.とくに高齢認知症患者さんでは,多くの併存疾患をもつことは当然のことだと言えます.認知症と生活習慣病との視点でみますと,認知症と糖尿病との関係がしばしば話題になるのですがそのほとんどは両者の病因あるいは病態から論じられるだけであり,では実際に認知症に伴う糖尿病をどう治療していけばよいのか,認知症患者さんに食事療法や運動療法の厳密な実施が可能なのか,糖尿病治療薬としてどの薬剤がより適切なのか,インスリン製剤を誰が打ったらよいのかなど具体的な治療や対応に関して議論されることが少ないように私は感じてきました.実臨床では病因や病態よりも糖尿病を持つひとりの認知症患者さんを前にしてどう治療を進めていったらよいかの課題が求められているのです.

今後,高齢認知症患者さんの増加とともにその患者さんがもつ身体合併症あるいは身体症状の治療にもわれわれ医師が今以上に目を向けていく必要があると考えています.認知症診療は,認知症があるのか否か,薬物療法をどう進めたらよいのかを中心とした診療からその患者さんがもつ身体合併症,身体症状をも含めた包括的認知症診療にそのスタンスを変えていくべきであると私は考えています.極論を述べると,その患者さんに認知症が存在しているのか否かを訴求するよりもその患者さんがもつ認知機能の低下を踏まえて身体的治療をどう進め,その患者さんがその後の人生をよりよく生きていけるお手伝いをすることが認知症診療に携わる医師の務めではないかと考えています.

本書は,上記の視点から認知症患者さんに伴う身体合併症,身体症状の治療に焦点を当て作成しています.私自身が個々の身体合併症,身体症状の治療に関して確固たる信念を持つ段階に至っているわけではありませんし実際の診療現場では試行錯誤を繰り返しながら身体合併症,身体症状の治療を行っているのが実情です.本書を作成するに際して可能な限りガイドラインや成書を参考にしておりますが,基本的なスタンスは私自身が実臨床で行っている治療の考えかたや治療薬選択を記述しております.本書の記載のなかで多くの疑問点や言及できていない事柄,曖昧な記載あるいは私の誤った解釈などについてはご海容下されますことをお願い申し上げます.本書の内容でひとつでも読者の方々のお役に立つことができればそれは私の喜びとするところであります.


2019年9月

川畑 信也

目次

第1章 服薬管理の問題

高齢者の服薬管理の問題

独居患者の服薬管理をどう進めるか

認知症患者にみられる拒薬とその対策

第2章 認知症由来の身体症状の治療

A 固執症状

B 反復行動

C てんかん・けいれん発作

ガイドラインからみた治療の考えかた

実臨床からみた薬剤選択の考えかた

カルバマゼピンをどう使用するか

第3章 認知症に伴う生活習慣病,身体合併症の治療

認知症に伴う生活習慣病の実態

A 高血圧

 ガイドラインからみた高血圧について

 認知症患者に対する降圧薬の選択をどう考えるか

B 糖尿病

 認知症をもつ糖尿病患者に対する治療概論

 認知症患者における食事療法,運動療法

 実臨床からみた糖尿病治療の問題点

 認知症の視点からみた糖尿病治療の実際

 認知症患者に適する糖尿病治療薬とは

 実臨床における治療の考えかたと手順

 低血糖の問題

C 脂質異常症

D 肺炎・誤嚥性肺炎

 わが国の肺炎・誤嚥性肺炎の実態

 医療・介護関連肺炎NHCAPの概念とその治療

 高齢者の誤嚥性肺炎

 高齢認知症患者にみられる肺炎の問題

E 心不全

F 歩行障害

 アルツハイマー型認知症の歩行障害とその治療

 レビー小体型認知症の歩行障害とその対策

 パーキンソン症状に由来する易転倒性への対策

 血管性認知症の歩行障害

G 排尿障害(尿失禁・頻尿)

 知っておきたい排尿障害の基礎知識

 排尿障害に対する治療薬の選択と注意点

 生活指導,非薬物療法

第4章 認知症に伴う睡眠障害の治療

ガイドラインからみた睡眠障害の薬物療法

実臨床からみた睡眠障害における薬物療法の実際

睡眠衛生指導を実施しにくい理由

事例から考える薬物療法のコツと注意点

レビー小体型認知症でみられる睡眠障害の薬物療法

睡眠薬の併用療法は効果があるのか

第5章 認知症に伴う骨粗鬆症・骨折の治療

認知症患者における転倒の実態

知っておくべき骨粗鬆症の知識

骨粗鬆症治療薬をどう選択するか

骨粗鬆症治療薬の効果

骨粗鬆症の治療目標

骨折の外科的治療とその問題点

高齢認知症患者の骨折に対する保存的治療の問題点

第6章 認知症を伴う透析患者の治療と対応

透析患者における認知症の実態とその問題点

腎障害からみた抗認知症薬処方の手順と注意点

腎障害からみた向精神薬処方の手順と注意点

透析開始と継続の意思決定プロセスについて

介護を進める上での注意点

第7章 認知症に伴う食行動障害の治療

認知症患者にみられる食行動障害をどう考えるか

食行動障害への具体的な対策

食行動障害に対する薬物療法の実際

第8章 入院認知症患者の治療と対応

認知症ケア加算からみた入院認知症患者の実態

入院認知症患者にみられるBPSDへの対策

事例から考える入院認知症患者の薬物療法

知っておきたい身体拘束の知識

第9章 在宅認知症患者の治療と対応

認知症初期集中支援チームについて

事例呈示

認知症初期集中支援チームの問題点

在宅認知症患者への援助,支援の注意点

第10章 認知症診療における法律問題

A 成年後見制度

成年後見制度の仕組みを理解する

成年後見制度の実態

成年後見人が行えること,行えないこと

B 日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業を理解する

C 認知症と消費者被害

認知症患者の消費者被害の実態

訪問販売,悪徳商法などへの予防とその対策

クーリングオフ制度を理解する

D 認知症患者への虐待

法的視点からみる高齢者虐待

全国統計からみた高齢者虐待の実態

高齢者虐待を発見する難しさ

第11章 認知症診療に関連する医療制度

A 自立支援医療制度

自立支援医療制度とはなにか

自立支援医療制度申請のしかたと自己負担金

B 精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳とはなにか

精神障害者保健福祉手帳申請のしかた


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書籍情報

  • ISBN:9784498229167
  • ページ数:216頁
  • 書籍発行日:2019年11月
  • 電子版発売日:2019年11月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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