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  • ブラッシュアップ神経症候―診察と診断のステップを究める

ブラッシュアップ神経症候―診察と診断のステップを究める

  • ページ数 : 322頁
  • 書籍発行日 : 2018年5月
  • 電子版発売日 : 2018年10月12日
¥6,820(税込)
ポイント : 186 pt (3%)
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商品情報

内容

多彩な神経症候から確定診断への道筋を導き出す!

外来・ベッドサイドで目にする多彩な神経症候について,症候それぞれの概念とメカニズム,診断と評価について図表を盛り込みながら,わかりやすくかつ精緻な解説。神経疾患の主訴を短時間で絞り込んでいく思考操作と、確定診断への最短コースをとるための診断手順がマスターできる!臨床医必携の一冊。

序文

これまで,神経診察法や神経診断学に関する多くの名著が世に出されてきたが,神経症候学に関する書は意外に少なかった.かねてから,臨床の場で実際の患者を前にして,患者が示してくれている一般的な症状から多くの鑑別診断により疾患を想起し,さらに神経学的診察によって得られた症候を加えることで神経疾患の適切な最終診断に至る「手順」を学び取ることができる,臨床の実践に役立つ書があれば,と考えていた.

神経疾患が呈する症状はきわめて多彩である.頭痛,めまい,しびれなどの一般的なもの,意識障害,筋萎縮,認知機能低下などの神経疾患に特異的なもの,さらには,あたかも一般内科的な腹痛,食欲不振,悪心・嘔吐にいたるまできわめて広い範囲にわたる.神経疾患の診察は,まず患者の訴える主訴や患者の呈する症候のなかから,神経疾患に由来するものかどうかを検討するところから始まる.広大な宇宙にばらまかれているような多彩な神経疾患の主訴や症状から,眼の前にいる患者が神経疾患患者であることを洞察し,さらに,主訴や症状を重み付けすることにより,患者にとって最も重要なものを抽出する作業が診断の第一段階である.バイタルサインのチェックを経て,神経学的診察に進み,病巣診断をへて,鑑別診断へいたる.そして,検体検査,画像,電気生理などにより疾患の全体像を把握して確定診断に到達する.このきら星のような神経疾患の主訴を短時間で適切に絞り込んでいく思考操作,そしていかに確定診断への最短コースを取ることができるかが,臨床医としての真の評価につながる.すなわち,神経疾患の診断には,「主訴・症状から確定診断への診断手順をマスターすることがきわめて重要である」ということができる.

神経疾患というと,一般に難病を中心とする狭い疾患群であるという印象を強く持たれている傾向がある.しかし,本書をお読みいただくと理解されるように,特に神経内科は初診の診断の時点ではいわば「総合診療医」的な役割を担っていることがわかる.このことは,内科系・外科系を問わず,臨床医学の多くの領域の現場に広く知っていただくべきであると考える.

本書は,このような神経疾患の多彩な症状の中から重要な「主訴」を抽出し,そこに潜む無限に近い疾患群をどのように鑑別診断し最終診断に至るか,という「診断手順」を学び会得していただくことを目的とした.主訴としては,神経疾患患者が自身の症状として訴えやすい代表的な17の表現を想定して解説した.すなわち「物忘れ」「しゃべりにくい,のみこみにくい」「言葉がでない」「ものが見にくい」「ものが2つに見える」「まぶたが下がる」「頭が痛い,顔が痛い」「眼が閉じない,口から水がこぼれる(顔がおかしい)」「めまいがする・ふらつく」「力が入りにくい」「勝手に手足が動く」「動作が遅い」「しびれる,痛む」「尿の回数が多い,尿が出にくい」「歩きにくい」「けいれんする」「意識が悪い」である.神経内科外来を初診として訪れる患者の主訴として90%以上がこれらに包含されると思われる.これらの主訴から,どのくらい鑑別疾患を想定し,神経学的検査,補助検査により確定診断に到達するか,ぜひ修練を重ねていただきたい.

本書作成にあたり,執筆いただいた慶應義塾大学医学部神経内科出身の多くの先生方に深甚の謝意を表する.特に,編集作業で私の右腕となって支えてくださった同神経内科専任講師清水利彦先生に心から感謝する.


2018年3月吉日 医学部信濃町キャンパス教授室にて

鈴木則宏

目次

神経症候と神経診察

I.神経症候

II.神経診察

A.意識・精神状態

B.言語

C.利き手

D.脳神経

E.運動系

F.感覚系

G.反射

H.協調運動

I.髄膜刺激徴候

J.脊柱

K.姿勢

L.自律神経

M.起立,歩行

神経症候 1.物忘れ

I.物忘れ

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.症候の種類と解釈および診察の方法

C.鑑別診断

II.失行の診察

III.失認の診察

IV.前頭葉症状の診察

神経症候 2.しゃべりにくい,のみこみにくい

I.構音障害

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診察の方法

C.症候の種類と解釈

1.構音の3要素

2.構音を司る部位

D.鑑別診断─構音障害がみられる疾患

II.嚥下障害

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.嚥下障害の診察

C.症候の種類と解釈

1.嚥下の中枢

2.嚥下障害の症状

D.補助的テストおよび検査─嚥下障害に対する各種テスト

E.嚥下障害の鑑別

神経症候 3.言葉がでない

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.診察の方法

C.症候の種類と解釈

1.言語の中枢

2.失語の症状

3.失語の鑑別

4.右半球での失語

5.その他特別な言語障害

6.失語がみられる疾患

神経症候 4.ものが見にくい

I.視力低下

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診察の方法

C.症候の種類と解釈

D.補助的検査

E.鑑別診断─視力低下を示す主な疾患

II.視野障害

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診察の方法

C.症候の種類と解釈

D.補助的検査

E.鑑別診断

1.障害部位に基づく検討

2.視野障害を呈する主な疾患

神経症候 5.ものが2つに見える

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.診察の方法

1.眼位

2.眼球運動

3.瞳孔径,対光反射

4.輻輳調節反射,近見反射

5.眼瞼下垂

C.症候の種類と解釈および鑑別診断

1.動眼神経

2.滑車神経

3.外転神経

4.垂直性眼球運動障害

5.輻輳麻痺と輻輳攣縮,開散麻痺

神経症候 6.まぶたが下がる

I.眼瞼下垂のアプローチ

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診断の方法

C.症候の種類と解釈,補助的検査および鑑別診断

II.重症筋無力症の眼瞼下垂

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイントおよび症候の種類と解釈

B.神経学的診察の方法および補助的検査

III.眼瞼下垂に類似した神経症候

神経症候 7.頭が痛い,顔が痛い

I.頭が痛い

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

1.急性に生じている頭痛

2.亜急性〜慢性に経過している単相性の頭痛

3.慢性的に繰り返す頭痛

B.神経学的診察の方法

C.症候の種類と解釈─症候を説明する病態

1.頭痛発生の解剖学的・生理学的基礎

2.片頭痛の病態生理

3.群発頭痛の病態生理

4.緊張型頭痛の病態生理

D.補助的検査および鑑別診断の進めかた

II.顔が痛い

A.症状のとらえかたおよび診断の進めかた

B.症候の種類と解釈

1.三叉神経痛

2.その他の顔面痛をきたす疾患

神経症候 8.眼が閉じない,口から水がこぼれる(顔がおかしい)

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診察の方法

1.顔面筋の診察

2.顔面筋以外の症候の診察

C.症候の種類と解釈

D.補助的検査および鑑別診断の進め方

1.病巣部位の診断

2.原因疾患の鑑別

3.顔面神経麻痺をきたす主な疾患

神経症候 9.めまいがする・ふらつく

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診察の方法

1.眼振

2.歩行

3.腕(示指)偏倚試験

4.Romberg試験

5.閉眼足踏み試験

6.閉眼歩行試験(Babinski-Weil試験)

7.聴力検査

C.症候の種類と解釈

1.「めまい」の種類と病態

2.末梢性めまいと中枢性めまいの鑑別点

D.鑑別診断

1.良性発作性頭位めまい症

2.前庭神経炎

3.Ménière病

4.脳血管障害

5.脳腫瘍

6.脊髄小脳変性症

7.起立性低血圧

8.薬剤の副作用

9.片頭痛

10.てんかん

神経症候 10.力が入りにくい

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診断の方法

C.症候の種類と解釈─上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害

D.鑑別診断

1.筋力低下の分布から考える

2.筋萎縮から考える

神経症候 11.勝手に手足が動く

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

1.発症時期

2.発症様式

3.合併症・薬剤歴

4.家族歴

B.神経学的診察の方法

C.補助的検査

D.症候の種類と解釈

1.振戦

2.舞踏運動,コレア

3.アテトーゼ

4.バリスムまたはバリスムス

5.ジストニア

6.ジスキネジア

7.ミオクローヌス

8.チック

9.スパズム

10.筋けいれん

11.発作性誘発性不随意運動症

12.下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群)

13.顔面けいれん

14.眼瞼けいれん

15.首下がり症候群

神経症候 12.動作が遅い

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診察の方法

1.筋強剛の評価

2.姿勢保持障害の評価

3.書字障害の評価

4.構音障害の評価

5.回内回外試験

6.指タッピング運動

C.症候の種類と解釈

1.パーキンソニズムを説明する病態

2.「動作が遅い」状態をきたしうる病態

D.鑑別診断の進めかたおよび補助的検査

1.PDの鑑別診断と「嗅覚障害」の評価

E.確定診断までの行程

1.鑑別に有用な病歴,神経所見

神経症候 13.しびれる,痛む

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経学的診察の方法─感覚障害の診察と分布の記載

C.症候の種類と解釈─感覚障害の分布からみた病巣の局在診断

1.末梢神経障害による感覚障害

2.脊髄後根障害

3.脊随障害

4.脳幹の障害による感覚障害

5.視床の障害による感覚障害

6.大脳の障害による感覚障害

D.鑑別診断─感覚障害の分布パターン別から

1.末梢神経障害の原因

2.脊髄後根の障害の原因

3.脊髄障害の原因

4.脳幹障害の原因

E.しびれの鑑別診断および補助的検査

1.しびれの時間経過

2.しびれの分布

3.しびれと合併する症状

4.既往症・薬品曝露の確認

F.疼痛の鑑別診断および補助的検査

1.頸部痛

2.胸痛

3.背部痛

4.腹痛

5.腰痛

6.四肢の疼痛

神経症候 14.尿の回数が多い,尿が出にくい

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

1.下部尿路症状

2.排尿症状の程度

B.診察の方法

1.前立腺の触診

2.神経診察の進めかた

C.症候の種類と解釈および鑑別診断

1.尿の回数が多い(蓄尿症状)

2.尿が出にくい(排尿症状)

3.尿失禁

4.神経因性膀胱

D.その他の自律神経症状

1.排便障害

2.起立性低血圧

3.発汗障害

4.インポテンス

神経症候 15.歩きにくい

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経的診察の方法

1.立位の診察

2.歩行の診察

C.症候の種類と解釈

1.痙性歩行

2.失調性歩行

3.Parkinson歩行

4.小刻み歩行

5.間欠性跛行

6.鶏歩

7.動揺性歩行

8.歩行失行

9.ヒステリー歩行

D.補助検査および鑑別診断の進めかた

神経症候 16.けいれんする

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

B.神経的診察の方法

C.症候の種類と解釈

D.補助的検査および鑑別診断の進め方

E.確定診断までの行程

神経症候 17.意識が悪い

A.症状のとらえかたと病歴の取りかたのポイント

1.意識障害の状態・程度の記載

2.病歴把握の重要性

B.診察の方法

1.一般身体所見

2.神経学的診察

C.脳ヘルニアによる意識障害

D.意識障害における鑑別診断の進めかた


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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784498328167
  • ページ数:322頁
  • 書籍発行日:2018年5月
  • 電子版発売日:2018年10月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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